Episode109
イザベラを訪ねて冒険者ギルドへと顔を出した二人だったが、イザベラは忙しいようで取り敢えず応接室へと通されたのだった。
待ち時間が少しあった為、クロエの膝枕でスヤスヤと夢の世界へと旅立ってしまったノア。
垂らしたよだれを拭かれると「むにゃむにゃ」と言いながら寝返りを打ち、クロエの方を向く。
そこにノック音が響き、イザベラが入ってくる。
「すまない。スタンピードの件でまだ立て込んでいてね。って寝てるのか!?」
「ごめんなさいね、いっぱい歩いて露店で買い食いしたて、お腹一杯になったから眠くなっちゃったみたいなの...あぁ、愛おしい。尊いわ...」
クロエは顔を赤らめながら、愛おしそうにノアの髪を触る。
「キミ、クロエさんだっけ、だいぶ拗らせてるね。」
「そうかしらぁ? え、貴女もしかしてノアの魅力に気付いてないの?」
「なんだその、人族誰しもがそいつを愛してますみたいな? ...え? 私がおかしいのか?」
「貴女...そう、思い出したわ。あの時の、なるほどね。」
「なんだ、何を知っているんだっ!」
「あれよねぇ、ノアが折角誘ったのに、自分の気持ちに正直になれなくて、断ったあの時の子ね。」
「ぐっ、何でそれを、知って...」
知られたくない過去を暴露され、顔が真っ赤になるイザベラ。
「私、長いことノアと五感や感情を共有してたから。」
「うっ...そうだよ。あの時の私はソレから逃げたのだ。」
「それはそれは今後100年と語り継がれるほどの愚行ね。」
「そうかもな、私は、あの頃の私は、ソレに惚れていたんだ。誘われた時も何もかも捨てて付いて行こうかと思ったほどに。」
「私ならノアを選ぶわ。何を捨ててもノアを選ぶ。」
「そうだな。だがな、私は普通の人間なんだ。不老不死でも、魔族でも、氷の魔女でもなく只の人間なんだ。私だけ老いてくんだよ...そんなの耐えられなかった。」
「だから逃げたのね。」
「そう、この仕事を言い訳にしたんだ。私はね...今でも―――」
その時ノアの身体かビクンッと跳ねる。
「どうしたの?」
驚くクロエとイザベラを横目に起き上がるノア。
「ハァハァ...やっばい、甘菓子のクリームで溺れる夢を見た...」
相当変な夢だったのだろう、放心状態のノアを見て二人は笑い出す。
「フハハハ! 何を言っているんだ貴様は。」
「ノア、夢の中まで甘菓子が出てきたの? 凄く気に入ったのね。」
「いやいや、笑い事じゃないよ。クリームが襲って来たんだ...」
その後数分に亘りバカにされるノアだった。
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