Episode108
翌日、ノアはクロエを連れてルークとの約束を守りに王城へと訪れる。
武装した門番が二人、城の城壁の上に見張りとして二人、そして城壁の外には見回りとして常に二人一組の兵士が徘徊している。
「止まれ、何者だ!」
「用件を言え!」
フルプレートの二人は槍を交差させ、通れないように門を道を塞ぐ。
「あらら。暫く来ないうちに仰々しい感じになったんだね。」
「来るって伝わってないのかしらねぇ?」
そんなことを言いつつノアのことしか見てないクロエは、ノアにベッタリをくっついている。
「名乗れと言っている!」
「何用だ!」
門番の二人の兵士はノアに向って槍を向ける。
「はぁもういいや。萎えちゃった。帰ろうかクロエ。」
「は~い。ねぇノア、露店寄って行かない?」
「いいね、小腹がすいたしね。行こう。」
二人はプイっと王城に背を向けると、来た道を戻り始める。
「あ、そうだ...」
「どうしたのよ?」
「多分イザベラの所へ寄って、作ってもらってた家紋を身に付ければ王城もすんなりと入れる気がする。」
「あぁ、そう言うことなのね。じゃあ、露店に寄ってから冒険者ギルドへ向かうわよ。はい、じゃあ手、繋いで? この国まだ良く知らないから迷子になっちゃうかも。ダメかしら?」
「そうだね...何か楽しそうだね、クロエ。」
そう言ってノアの手を取ると、満足気なクロエは歩き出す。
「クロエ、露店そっちじゃない。」
「ちょっとぉ、本当に迷子になっちゃうじゃない...」
すぐさま伏線を回収しにかかるクロエであった。
***
「あ~ん、すごい美味しいぃ。」
露店で甘菓子を買って食べるクロエ。
「ノアもほら、あ~んして?」
「あ~ん」
「どう? あ、ちょっと待ってね。」
ノアの鼻についたクリームを指で取って舐めるクロエ。
「なんか、今のエロかったね。」
「あらぁ? 欲情しちゃった? 私はいつでも良いのよ、ノア。」
そう言って胸元を強調するクロエ。
「お前の脳内はいつもピンクかっ!」
ノアは目の前でこちらを向いてしゃがむクロエの胸を揉む。
「あんっ、お家帰る? 帰ってすぐ続きするぅ?」
発情するクロエの手からいつの間にか甘菓子を奪い取ったノアは、満足げに噛り付く。
「これ、すっごく美味しいな。今度レイナとシュヴァルツも連れて来てあげよーよ。」
懲りずに鼻にクリームを付けながら、ご機嫌でむしゃむしゃと甘菓子を頬張るノアを見て、クロエは「何この可愛い生物! 飼いたい! ずっとお家で監禁して、堪能したいっ!」と心の中で悶え苦しむのであった。
結局その後、クロエとノアで一つずつ新しい甘菓子を追加購入して、食べ歩きながら冒険者ギルドへと向かった。
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