Episode106
シュヴァルツの高濃度魔力ブレスによって先陣を切って入ってきた魔物は一万ほど消滅した。
だが残り九万の魔物が次々と流れ込んで来ており、トラップは既に大量の魔物で埋め尽くされてようとしていた。
「じゃあ次は私ね。」
クロエは飛行魔法でトラップの中央まで移動する。
「雪の反逆」
クロエの言葉と共に、空が曇り雷が鳴り始める。
トラップ内の温度が急激に下がり始め雪がちらつく。
徐々に渦巻くように風も強く吹き始め、吹雪と化した。
トラップ内の魔物はやがて凍り付き死滅していく。
クロエがパチンッと指を鳴らせば、凍り付いた魔物全てが砕け散り、そこには魔石が残るだけとなった。
氷の壁の上までクロエが戻ると、ルークと魔族二体は案の定騒いでいた。
「これは凄いぞノア! 文献通りの氷の魔女本人じゃないかっ! 素晴らしい...本当に綺麗な光景だった...」
ルークはクロエの大技に見入ってしまったみたいだ。
「これが人族だと言うのですか? あり得ません、天候を操りしかも範囲まで指定できるなど人族の領域を逸脱しているではないですかっ。」
「これでは勝てるはずもない。」
セシルとオリバーも想定外の規模の大技だったようで、これが魔界で放たれていたらと考えると寒さも相まってか、身震いするのだった。
「どう?ちょっと足りなかったかしら?」
「三万くらいはいったんじゃないかな?」
「ならいいわ。」
クロエはノアの言葉に満足した様子だ。
「じゃあ最後は私。」
トラップ内を見るとまだまだ魔物が入り混んでくるのが見える。
「クロエ、壁壊したらごめん。」
「いいわよ。今のレイナの攻撃で耐えられるような氷じゃないから。」
そう告げるとレイナは上空へと浮遊する。
一瞬身体が炎に包まれると、中からは燃え盛る炎のように黒髪から赤へと染まったレイナが現れる。
根本は濃い赤となっており、毛先へ行くほどに薄くなっていくようなグラデーションが綺麗な髪色だ。
「やはり魔王様はこうでなくてはなりませんね。」
「あぁ、お美しい。」
「凄い! 凄いよ! ノア! これが魔族化って言うやつかい? 今日は凄いものをいっぱい見れる日だ!」
魔族も絶賛のレイナの姿だったが、ルークも興奮しているようだ。
レイナが両手を左右に広げ、魔力を練っているのが分かる。
その更に上空には巨大な火の玉が十個ほど出来上がって来ており、こちらまでジリジリとした熱が伝わってくる。
「隕石。」
レイナは広げていた両手を真下の魔物に向って振り下ろすと、上空に漂っていた巨大な火の玉が順番に落下する。
轟音を響かせながら慈悲もなく魔物を鏖殺していく様は、まるで地獄絵図のようだった。
全てが落下し終わったころには魔物は一体も残っておらず、燃え盛る大地と崩れ落ちる氷の壁の音だけがその場を支配していた。
それを氷の壁の外側から見ていた白夜率いる王国の冒険者一行と、シリウス王国軍及び王国騎士団は、目の前で繰り広げられる人知を超越した光景に、成す術も無くただ呆然と眺めるばかりだった。
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