Episode99
「ゴホン。よぉし、厄災の魔女クロエさんが本当に文献にある通りにあの時代を生きて。そこからコールドスリープに入り最近目覚めて仲間になったことは分かった。納得はしていないけど取り敢えず分かった。では次にそこの魔族の説明をしてもらおうか。なぜ人族の敵である魔族がしれっと仲間になっているのかを!」
イザベラは理解出来ない出来事を、無理矢理にでも水で流し込むような勢いで次の話題へと移る。
「そうだね。先ずは今レイナに部下として付いて居る魔族は二体居るんだ。一体は今スタンピードを監視していて、名前はオリバー・ブラウン。頼れる堅実な男だよ。そしてもう一体はここに居るセシルだ。」
ノアがセシルに自己紹介をするように流れを作り、目配りをするのだが当のセシルはノアの言うことなど毛頭聞く気が無いので、ノアの合図に対してもぷいっとそっぽを向いて知らぬ存ぜぬと言う雰囲気だ。
「ほら、セシル自己紹介して。」
それを見兼ねたレイナが、セシルに指示を出す。
「ハッ。本来であれば下等な人族風情に名乗る名など無いのですが、レイナ様の命であれば仕方無いですね。元摩天楼最高幹部:セシル・ティレモア 現在は新魔王様であるレイナ様にお仕えしてます。」
「何、ちょっと待ってくれ頭が付いて行かない。剣神レイナが新魔王!? どういう事なんだ?」
も~駄目だとばかりに、処理が追い付かず頭の中がパニックになっているイザベラ。
「私は一度敵地であった魔界で死んだの。それを発見したセシルが、私の身体を新たな魔王の器として使い、前魔王ルージュ・メテオノールの再降臨の儀式を行った。儀式は成功し、この身体には紅蓮の魔王ルージュ・メテオノールが入ったのだけれども、私にその力と記憶の全てを譲渡して、輪廻転生をして生まれ変わると言い残し消えていったわ。」
そう言い終えるとレイナは椅子から立ち上がり、少し離れたところでその証拠として魔族化して見せる。
抑えていた魔気を一気に開放し、全身が炎に包まれたと思えばすぐにそれも消え火の粉が渦巻くように舞い上がる。
髪や眉、まつ毛さえもが深紅に染まり、黒髪だった時のレイナとは全く正反対の印象を与える。
老若男女全ての者が目を奪われるような圧倒的な『美』がそこにあった。
「なんと美しい。前魔王ルージュ・メテオノールの紅蓮の力その物を継承しているんだね。それで剣技も今まで通り使えるのかい?」
「そうねそれ以上かも...でも生半可な剣では炎の熱に耐えきれなくて溶けてしまうの。」
「そうか...一気に聞くには情報量が多過ぎて付いていけてないが、言いたいことは分かった。」
「そうですわよね。わたくしも初めて聞いた時には耳を疑いましたわ。氷を使われる魔女と魔王になったレイナ様が仲間になりましたわ。なんて、早々に信じられることではありませんもの。その時はレイナ様は既にこの赤い状態での説明だったのと、クロエ様も目の前で氷魔法をこうやってお見せになられたので、疑いこそしませんでしたが...」
そう苦笑交じりでイザベラを慰めるエリザベスだったが、綺麗に巻いた金髪縦ロールの髪は、誰よりも存在感を誇っていたのであった。
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