Episode98
ベランダから戻ったノアはレイナに捕まる。
「ノア。捕まえた。」
「あ、レイナ酔ってるね?」
抱き上げられたノアはレイナの大きな胸に包み込まれる。
「魔族になったから、どんなに飲んでもほどほどにしか酔わないの。すぐ解毒されてしまうわ。」
そう言ってノアをひょいと肩車するレイナ。
「おぉ。レイナ力持ちだ。」
「生まれ変わって身体能力や魔力とか諸々が人外の領域へと踏み出しているみたい。あとノアが軽すぎるの。」
「そうみたいだね! ははっ高い!」
そこにノックの音が響く。
ベンブルック家の使用人が近くまで寄って来ると、来客があったとの報告をしてくれる。
「通していいよ。」
ノアがそう言うとドアが開き現れたのは冒険者ギルドのギルドマスター:イザベラだった。
「お、遅かったねイザベラ」
「うぬ、すまないね。折角呼んでくれたのに、少し問題が発生してね。」
「そうか、やはりこちらへ向かって来ているんだね?」
「流石に貴様は早耳だな。そう、ここに、シリウス王国へと魔物の大群が向かって来ている。」
「今うちの子に見に行かせたよ。」
!?
「それは...大丈夫なのか?」
「うんもうすぐ帰って来るかな~。」
レイナの横にゲードが開く。
「ただいま戻りました。数が少なければ私共で片付けようかと思いましたが、如何せん想像よりも遥かに多く、報告しに戻ってきました。」
「お疲れ様セシル。どうだった?」
レイナがセシルへ労いの言葉を掛ける。
「魔物約十万のスタンピードをこの目で確と見てまいりました。」
「はぁ。多いね。」
「うん、思ったよりも多い。」
ノアは苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべ、レイナと顔を見合わせる。
「ちょっと待て、嘘だろ? ノア、お前魔族まで手名付けたのか!? しかもかなり高位な魔族だろそれ。」
「あ? なんだ人間。ぶち殺しますよ。」
「セシルやめなさい。」
「はい、レイナ様。」
「はぁ~竜王の次は魔族かぁ...ちょっと眩暈がする。椅子に座っても?」
「いいよ、今席が整った所だし座って話そうか。」
使用人が先ほどの食事などを綺麗に片付け、食後のコーヒーが注がれている。
イザベラとセシルの元には料理が運ばれ、それ以外の者にはデザートが運ばれた。
クロエもいつの間にか戻っており、シュヴァルツにアリアやエリザベスなど、全員が席に着く。
「さて、今王国の北で何が起こっているのかと、これからどうするかと言う話なんだけど。」
「先ずは初めての方も居るので自己紹介をさせてもらおう。私はイザベラ。このシリウス王国で冒険者ギルドのマスターとやっている者だ。よろしく頼む。」
「んじゃ、クロエにセシルもお願い。」
「えぇ、クロエと申します。ちょっと前にノアに封印を解いてもらって仲間に入れてもらったわ。よろしくね。昔は氷の魔女なんて呼ばれて怖がられていたけど、仲間には何もしないから安心してねぇ。」
「氷...厄災の魔女か!? 何年も前の文献でしか見たことが無いような人物が目の前に居ると言うのか。こう言うのも失礼だが、少し信じがたいな...」
「あらぁ、じゃあ少しお見せするわね。」
そう言ってクロエはテーブルの中心に、氷で出来たノアの彫刻のようなものを作り出した。
「氷魔法!? この世界でただ一人しか使えた者は居なかったという...本物なのか...?」
イザベラは前代未聞の事態に開いた口が塞がらないのであった。
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