Episode96
食事も落ち着き、各自が席の近い者同士で仲良く雑談して交流を深めている中、ノアは一人夜風に当たりにベランダへと出る。
「お、クロエも居たんだね。湯冷めしないようにね?」
「あら、ノアも涼みに?」
「うん、アリアの作ったお粥が思いの外絶品でね。おかわりまでしたら熱くなっちゃった。」
「ふふっ、かわいい。」
クロエの横まで近寄り手すりの部分へともたれ掛かるノア。
「なぁクロエ。」
「なぁに?」
月明りに照らされて、普段のクロエより更に一段と美人に見える。
「うまく言えないけど、僕はクロエがここに居てくれること。仲間になってくれたこと。何よりも産まれてきてくれたことに感謝してるよ。ありがとう。これからもよろしくね。」
「何よ。急にそんなこと言い出して...」
クロエは先ほどまでとは打って変わり、悲しげな表情へと変わる。
「今朝夢を見たんだ。辛くて苦しくて、切ない夢。多分クロエが数日僕に付きっきりで看病してくれたことで魔力が一時的に同期したからなのか分からないけど。きっと君が見ていた過去の夢だったんだろうと思ってね。」
「そうなのね。あれを見たのね。どうだった昔の私は。愚かで見ているのも退屈だったでしょう?」
クロエは声を震わせ顔を伏せてしまう。
「そんなことないよ。クロエは出来る限りのことを常にやっていたし、生きることに一生懸命で素敵だった。」
「そうかしら...」
塞ぎ込むクロエとは対照的にノアは少し興奮気味だ。
「そして、なんて愛くるしい姿だっただろうか!あーんなにも可愛い姿だったなんて!地下迷宮で出会ったミニクロエその者だったじゃないか!かわいい!可愛すぎる!あぁ、もう一度会いたい...あって抱きしめて嘗め回したい!!っていうか戻れないの?時間とか老いとか止められるんなら巻き戻しとかできないの?戻ってほしいのだけど?無理かな?いや、いけると思うんだよね。クロエはどう思う?」
「あはははは。ノアもうちょっと、やめてよ。凄くセンチメンタルな気分だったのに。」
「え?そう?僕のクロエへの愛が伝わったかな?」
「分かった、伝わったわ。主にミニクロエに対してだけどね。」
「そうか、それならいいけど。」
「でも、ありがとう。慰めに来てくれたんでしょう?」
「まぁ、そんなとこ。」
「好きよノア。」
「ありがとう。ミニクロエのことは愛してる。」
「ちょっとぉ、私はどうなのよぉ!」
「ははっ!さぁ、どうかな~?」
ノアは意地悪な笑みを浮かべ、室内へと戻って行ってしまう。
「もう、これ以上惚れさせてどうするのよ。ばか...」
クロエは夜空で煌めく星を見上げながら、飲みかけのワインを飲み干すのだった。
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