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8.お茶会2

そして、部屋へと入った瞬間、突然侯爵令嬢が小さな悲鳴を上げながら倒れてきたのだ。

先導していた第一王子妃は、侯爵令嬢の巻き添えになって一緒に転んでしまった。


「お嬢様!!」


二人の侍女が、王子妃に駆け寄る。


「大丈夫ですか?」


残った侍女が、侯爵令嬢に声をかけてきた。


「え、ええ大丈夫よ。ごめんなさい、急に眩暈がして……」


そう言って、侯爵令嬢は侍女の手を借りながら立ち上がると、またふらりとよろめいてしまった。

その際、近くにあった棚へと手を付き、何とか転倒は免れた。

その時、侯爵令嬢は、袖の中に隠し持っていた小さな小瓶を、棚の死角に気づかれないように置いた。


「まあ、大丈夫でございますか?こちらで少し休んで行かれては?」


そう言って、侯爵令嬢を介抱しながら、侍女が部屋の中にあったソファを勧めてきた。


「大丈夫よ。」


侯爵令嬢はそう言いいながら棚から離れると、既に二人の侍女に助け起こされていた第一王子妃に声をかけてきた。


「第一王子妃様、お見苦しい姿をお見せしてしまい申し訳ありません。お怪我はありませんでしたか?


「ええ、私は大丈夫です。貴女こそ大丈夫でしたか?」


「はい。本当にお見苦しい所を、申し訳ありませんでした。」


そう言って深々と頭を下げる侯爵令嬢に、第一王子妃は慌てて面を上げさせた。


「帰る途中で、また倒れては大変だわ。わたくしの侍女に送らせましょう。お願いね。」


「はい。」


第一王子妃は、尚もふらつく侯爵令嬢を案じて、介抱している侍女に送るよう命じてきた。


「申し訳ありません。それではお言葉に甘えて、失礼いたします。」


侯爵令嬢は、そう言ってカーテシーをすると、見送りの侍女と共に部屋を後にしたのだった。




「やれやれ、やっと帰りましたね。」


「ええ、本当に。」


「もう、あなた達ったら。」


侯爵令嬢を見送った後、侍女たちの言葉に、第一王子妃は困ったように眉根を下げる。


「しかし、まさかこう来るとは思いませんでしたわ。」


侍女の一人が、意味ありげな笑みを浮かべながら、呟いてきた。


「あれで上手くいったと、思っているのかしら?」


それに肯定するように頷きながら、もう一人の侍女は、わざとらしく肩を竦めてみせる。


そんな二人に苦笑を零しながら、第一王子妃は先ほど侯爵令嬢がよろめいていた棚を、じっと見ていたのだった。




一方その頃。

侯爵令嬢は、部屋を出て暫く行った所で付いて来た侍女に、ここでいいからと言って帰してしまった。

侍女が帰っていく後ろ姿を見つめながら、侯爵令嬢は、にやりと口角を上げていき


「ふふふ、これであの醜女姫も終わりね。」


と、不敵な笑みを浮かべるのであった。


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