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【小話】そして・・・・

美しい花々が咲き誇る季節。

とある国の王女が、部屋の中で手紙を読んでいた。

その手紙は、覚えたばかりの外国語を、不慣れな文法で綴られていた為、お世辞にも読みやすいとは言い難かった。

しかし王女は、それすらも愛おしそうに目元を緩めながら熱心に読んでいた。

王女の座るテーブルには、同じようなデザインの便箋がいくつも乱雑に置かれており、色褪せた様子から過去に送られてきた手紙のようであった。

王女は、その手紙を丁寧に取り出しながら、一枚、また一枚とゆっくりと目を通していく。


手紙の内容には、差出人の国のことが書かれており、春に咲く珍しい花のことや、王都で行われた祭りなど、明るい話題ばかりが綴られていた。

王女はそれらに目を通しながら、「あら、こんなことも書いてあったわね。」などと言いながら、時折ころころと笑いながら読み耽っていた。

その時、ノックと共に部屋の扉がゆっくりと開かれた。


「そろそろ時間ですよ……て、随分懐かしいものを引っ張り出してきましたね。」


扉を開けて入ってきたのは、すらりと背の高い青年だった。

秀麗な顔に微笑みを浮かべながら、愛おしそうに王女を見つめる青年は、彼女の手の中にあった手紙に気づき、懐かしそうに顔を綻ばせてきた。


「ふふふ、懐かしいでしょ?」


「そうですね、でもそんなに熱心に見られると、恥ずかしいです。」


「あら、貴方がくれた手紙じゃない。」


「そうですけど……。」


王女の言葉に、青年は恥ずかしそうに言ってきた。

相変わらず目の前の青年は、昔と変わらず照れ屋らしい。

背丈も顔付も立派な青年へと成長したのに、昔の面影を残した可愛い笑顔を見せるなんて、ずるいと思った。

一つしか歳の違わない青年の、この可愛さは反則だと王女は内心で、ちょっぴり不満を零す。


その時――

式の開始を知らせる、鐘の音が鳴り響いてきた。


「あ、そろそろ行かなくちゃ!」


「ええ、それでは、行きましょうか。」


王女の言葉に、青年は柔らかく笑うと手を差し出してきた。


「ふふ、今日はエスコートよろしくね。」


王女はそう言って、青年の手に己の手を添え立ち上がる。


「もちろんです。僕のお妃様。」


純白のドレスに身を包んだ、今日の主役である王女をエスコートしながら、この国の第二王子は幸せそうな顔で妻になる人の名を呼ぶと、二人仲良く式場へと向かったのであった。


色とりどりの花が咲き誇り、空は青々と晴れ渡るこの善き日。


この国の第二王子と隣国の第一王女は、沢山の人々に祝福されながら結婚式を挙げたのであった。




【完】


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