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俺は、何故か疎遠になった幼馴染の心が読める  作者: さーど
アフターストーリー
34/42

その八【恥ずかしがる幼馴染】

「……ふう」


 しっかりと残り10分をウォーキングに勤しみ、俺は汗をタオルで拭いながら一息つく。


 結構汗がでてるけど、40分でこれはやはり運動不足は深刻なのだと思う。

 運動に縁がない人生だったため一般論はわからないけど、多分そのはずだ。


──もう10分くらいたったけど……


 ……で。


 脳内に響く声を訊く限り、目の前にある扉を開けたら……恐らく、瑞希みずきがいる。


 俺のメッセージをちゃんと読んだらしく、起きて軽くルーティンをしてから出迎えるために玄関へと来たらしい。

 律儀で可愛らしい瑞希に頬が緩みはする、けど……同時に、あることが浮かぶ。


「まるで仕事帰りの新婚夫婦みたいだな、今は早朝だけど……」


 自分で言ってて、思わず顔を熱くする。

 ……多分、付き合ったとてこれは瑞希は気づいていないだろうな。こういうのに前々から疎いし。


 と、そんなことを考えて長く瑞希を待たせるのも申し訳がたたなくなる。

 やはり緊張はするため軽く深呼吸をすると、俺は扉を引いた。


<ガチャッ>


「あっ!──おかえり、しゅーくん……」


 扉を開けた途端、やはりいた瑞希は顔を輝かせたけれど、すぐに頬を赤く染めて俯く。


「お、おう……ただいま」


 と、瑞希に吊られて気まずさを感じながら返し、新婚夫婦とは程遠い?状況。

 ……どうしたのかと瑞希の心境を知ろうと脳に意識を集中させるけど、何故か何も聞こえない。


──うぅ……


 ……ただ、微かに呻きだけ何故か聞こえてくる。


「ど、どうしたんだ?」

「え?あ、ううん!なんでもない!」


 心配になって瑞希を呼びかけたけど、すぐに瑞希は顔を上げて首をブンブンと横に振る。

 ただ、その頬はやはり赤い。


──しゅーくんの入院中に学校でしゅーくんのこと考えてたのを知られてたのがわかってしゅーくんのことを見るとまた恥ずかしくなってきただなんて今は言えないぃ……


 ………。


「あ、愁くんおかえりなさい。運動後ってことはシャワー浴びるんですよね?どれくらいで上がりますか?」


 とてつもないスピードで脳内に流れてくる事柄に圧倒されていたら、リビングの方からしずくさんが顔を出した。

 「え?」って素っ頓狂な声をあげるも、すぐに理解して俺は雫さんの方に振り向いて頷く。


「ただいまです。シャワーは多分10分くらいで上がると思いますよ」

「わかりました。じゃあ、それくらいに合わさるように準備しておきますね」

「ありがとうございます」


 リビングに雫さんが戻っていくのを確認すると、俺は瑞希の方へ振り向く。

 なんとも気まずさを感じながら、俺は洗面所の方を指さした。


「じゃ、じゃあシャワー浴びるから、またあとでな」

「う、うん……」


 未だになお頬を赤く染める瑞希を一旦置いておき、俺は洗面所へと入る。

 そこで──


──……って!もしかしてさっきのってしゅーくん聞こえてた!?


「!?」


 突然脳内にそんな大声が聞こえてきて、俺は驚き体を跳ねさせる。

 すると考える間もなく、立て続けに<ドンドン>と背後で扉を叩く音が聞こえて……


「しゅーくん!?ねえ、さっきのって聞こえてたの!?」


 ……考えた思い当たりがあったのか、どうやら瑞希が焦って扉を叩いているらしい。

 ガッツリ聞こえては、いたのだけど……


「ど、どうしたんだ瑞希?聞こえたって……さっき、何か考えたのか?」


 俺は声を張ってすっとぼける。


「っ!なんでもないよ!」


──聞こえてなかったよね!聞こえてなかったんだよね!!


 嬉しいことだからウォーキング中は頷いたけど、あまり触れない方が良さそうだな……

 ……本当に、あれは嬉しいことではあったんだけどなあ……

 

 恥ずかしがる可愛い幼馴染のそんな心境に、俺は呆れと仕方なさでため息を吐いた。

 この作品って実はカクヨムコン6に応募しているのですが、まさかの中間考査突破致しました!!


 というわけで、不定期にも短めの最新話をちょくちょく投稿しようと思ってます。

 できればカクヨムでも応援してくれると、作者はとてもうれしいです。

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