表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/48

二十八話 水

 俺たちが逃げ込んだ部屋は不自然に天井が高かった。そしてよく見ると、天井には三つの穴が空いている。



「ねえフィアールカさんや」

「なぁに?」

「俺の上から降りてくれない?」

「どうして?」


 フィアールカは俺の腹に馬乗りになった状態から動こうとしない。俺としては違和感を感じるこの部屋から早く出たい。それにそんな場所に座られたら色々と元気になってしまいそうだ。


「いやどうしてって、そこに座ってたら俺動けないじゃん」

「あらぁ、足の方に下がった方が良いかしら」


 言いながらフィアールカは、お尻を浮かせないまま、ゆっくりと股間の方にズラしてくる。痴女かこいつ!


「よーし、ありがとうフィアールカ! お陰で動けるようになったぞ!」


 俺はバネのように上体を起こすと、素早くフィアールカを持ち上げて脇に座らせた。危なかった。もう少しで股間の仕込み刀に気付かれる所だった。


「ねえ、さっき硬いものに当たった気がしたのだけれど」

「ほらアレだよ。この辺に生えてるキノコじゃないかな」


 その時、天井の方から何かが降ってくる気配があった。

 見上げると、まるで塊のような量の水が落ちてきている。


「伏せろフィアールカ!!」


 俺はフィアールカに覆い被さった。直後、すさまじい水圧が俺の背中を襲う。こんなものガキの頃やらされてた滝行に比べたら大したことないぜと言いたい所だが、今度はどんどん部屋に水が溜まり始めた。


「フィアールカ! 俺の背中に掴まれ!」


 俺はフィアールカを助け起こし、背中に負ぶった。

 天井に空いた三つの穴のうち二つから水が流れ込んできているが、右端のやや小さい穴は水が出ていない。恐らくあそこから出られる。

 急速に水は溜まり続け、すぐに俺の身体は浮き始めた。こんな事なら水蜘蛛を持ってきとけば良かった。


「フィアールカ、大丈夫か?」

「ええ。問題無いわ」


 フィアールカは俺の耳のすぐ近くで囁いた。それは息遣いの感じられる湿った声だ。当然喜んでいる余裕など無い。

 すると今度は俺の耳が生暖かい感覚と痛みで包まれた。あれ? 何だろう。と思って後ろを振り返ろうとすると、フィアールカの顔がすぐ近くにあるではないか。


「今俺の耳噛んだろ!」

「はい」

「はいじゃないわ!」

「嬉しい?」

「うん嬉しい!」


 水量はどんどん増していき、とうとう穴の前まで迫った。水の中にいながらも、身体はどこか熱っぽい気がする。特に下半身の方が。


 俺は頭を振って雑念を振り払い、素早く穴に手を掛けて水から出た。


お読みいただきありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ