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4、初日 ①

 やっと働き始めます・・・?

 メイドの朝は早い。学園でもそう教えられてきた。


 しかし、フランシスの屋敷に勤める執事・メイドたちはそれ以上に早く起きていた。何故なら、フランシス自身が業務のため起きるのが早いからである。

 今日から働くブリジットもそれに漏れず、集合時間を伝えられていた。集合場所は本邸の広間である。

 

 ブリジットは屋敷で働く人の顔と名前を覚えるため、集合時間より早めに広間に着くように支度を始める。

鏡の前にある洗面台で顔を洗い、新品のメイド服に着替える。


 メイド服に着替えたブリジットは着心地の良さに驚いていた。


 メイド服は生地もサイズも彼女の身体にぴったり合っていて、非常に上品で華やかな装飾となっていた。

生地はこの国で採れる綿花が使われており、派手にならないよう紺色だ。

またパフスリーブと呼ばれる肩周りを膨らませた袖に、スカート丈は足が隠れるほど長いものになっている。

 エプロンもシンプルながら、裾部分にはレースが使われていた。

ブリジットが着ると更に品の良さが際立っている。



・・・馬子にも衣装ってやつかしら。



 と自分を皮肉りながら着替えた姿を見ていた。

 ブリジットは、淡いゴールドピンク色の手入れがしっかりされている髪。

手足は日焼けをしておらず、まるで全身化粧でもしているのか、と思うほど白く美しい。

そんな彼女にはシンプルな紺色のメイド服が非常に似合っていた。


 側から見れば美しい部類に入る彼女だが、残念ながら本人は非常に疎いのであった。



 準備が終わった後、鏡を見る。これが彼女の習慣であった。

鏡に映る自分の顔をまじまじと見ていると、ブリジットはふと昨日の事を思い出す。



・・・やってやる、公爵を見返してやる!



 再度決意をし、彼女は集合場所の広間に向かうのであった。



 広間に着くと、既に二人が来ていた。一人はヨハンである。

もう一人は女性。チョコレートのような茶色い髪をお団子に結んでいる。

執事であるヨハンと親しそうに話していた。


 その光景を見て瞬時に女性の立場を理解したブリジットは、挨拶に向かう。

そしてその様子に気づいたヨハンが、話していた女性に後ろを向くように伝えてくれた。

ブリジットはヨハンにお礼のため軽くお辞儀をする。ヨハンはにこりと微笑んで手を軽く上げた。

 と同時に、背中を向けていた女性が綺麗な動作で振り返る。

その女性は教育ママのような眼鏡を掛けていて、いかにも厳しそうな雰囲気を醸し出していた。


 それだけではなく、新人メイドからすれば泣く人もいるのではという程の威圧を醸し出している。

が、ブリジットからすれば、問題ない程度の威圧である。何事もなく普段通りに挨拶をした。



「初めまして、私ブリジットと申します。今日からご指導よろしくお願い致します。」

「メイド長をしています、ジーンです。」

 


 ブリジットが顔を上げた瞬間、ジーンと目があった。ジーンは眼鏡を掛けていたが、ブリジットを見る目の鋭さは眼鏡で隠すことができなかった。むしろ彼女は隠していないのかもしれない。

  


「学園首席、と聞いています。即戦力になるよう鍛え上げますので、そのつもりで。」



 ジーンはブリジットの堂々とした様子に満足したらしい。それだけ言うとブリジットに背を向けた。

ブリジットには見えていないが、ヨハンにはジーンの満面の笑みが見えていた。

 こんな満面の笑みはいつぶりだろう、とヨハンは思っていた。彼女も小声で「腕がなるわあ」「ビシビシシゴくわよ」等、つぶやいている。


 

「あまり厳しくしないようにお願いしますよ?」



 ブリジットの代わりにヨハンはジーンにそう声を掛け、満面の笑みの彼女を見つめていた。

 働き始めた!と思ったらメイド長の紹介で終わりました。あれま(笑)

多分次からはちゃんと働き始める・・・はずです。


 次の更新は、引き続き明日の18時予定です。

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