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29、当日の夜

一章終了です。

 4度目の執務室に向かうブリジット。

彼女の今日の足取りは少しだけ重く、元気がないように見える。

勿論、給仕の疲れもあるのだが、それ以上に気を重くするのが侯爵関係だ。

 彼女としては、この屋敷に残って仕事をしたい、と考えているが

最終的な決定権は公爵家にある。そのため、もし彼女が移るように言われれば、そうせざるを得ないのだ。


 足取りは重いが、フランシスを待たせるわけにも行かない。

憂鬱な面持ちで彼女は、執務室の中にいるフランシスに入室の許可をもらう。


 フランシスもブリジットの訪問がだいたいこの位になることを分かっていたようだ。

少し硬い表情で、彼女を机の前に立たせ、一つため息をついてからブリジットを見遣った。



「単刀直入に言う。ポスフォード侯爵の使用人として移動を考えているか教えてくれ。」



 彼は無表情を装いながらも、心の中では焦っていた。彼女を手放したくないと言う思いが強いのだ。

ブリジットは心の中で気合いを入れ直してから



「私は……もし旦那様が認めて頂けるのであれば、この屋敷で働かせて頂きたいと思っております。」



 彼女からフランシスの表情は見えない。見えない状況ではあったが、何故かフランシスがホッと胸をなで下ろしているのではないか、と感じていた。

 彼女の返答に落ち着いたフランシスは、顔を上げる。



「今の所、公爵家ではブリジットを手放すことは考えていない。」



 その言葉を聞いて今までこわばっていた表情を見せていたブリジットの口角が緩んだように見える。

その様子を見たフランシスは、少しだけほおを緩めていた。



「だが妙だな、ポスフォード侯爵が君をこれ程欲しがる理由が分からない。今まで求婚を受けていたりはしたか?」

「いいえ、そのような事は一度も……」

「そうか。分かった、ありがとう。もし何かブリジットに協力が必要な時はまた連絡する。その時は協力してくれるか?」

「勿論でございます。」



 その返事を聞いたフランシスは彼女に、退室して休むように伝える。

彼女が退室した後は、ヨハンに先程の話を伝え、ブリジットは移動させない旨を伝える。



「ただし、交換制度を使われたら移動はさせる。その時が一番大変な状況になるだろう」



 ヨハンが息を飲む。つまり、ポスフォード侯爵と決着をつけると言う事だ。



「尻尾を最近掴んだ。後は証拠のみ。何かあった時は徹底的に裁くこととなるだろう。」



 トカゲの尻尾のように切られ、証拠を残さなかった彼が、やっと残した証拠だ。

これから事態が動くのではないか、と期待しているフランシス。

 

そう、彼の予想通りに事態は動いていくのであった。

次章はちゃんと展開が動く様に……頑張ります!

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