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26、当日 ④

昨日更新できませんでした....すみません(−_−;)

 セザールと別れた後、フランシスは侯爵家の出迎えのためエントランスに戻る。

 迎え入れる侯爵家の内、一人は先ほど話に上がったポスフォード侯爵だ。フランシスは予想していた。ポスフォード侯爵は、侯爵家でも最後の方に訪れるだろう、と。

 無事に他の侯爵家の挨拶と案内を終えたフランシスは、使用人の様子を見ようと一旦後ろを振り返る。そこで丁度給仕の支度に奔走していたブリジットの姿が目に入った。


 ブリジットは可愛らしいゴールドピンクの髪をなびかせている。手にはワインボトルとグラスが置かれているトレーを持っているが、不安定なグラスも倒すことなく早足で会場に向かっていた。


 彼女をある切っ掛けで調査するうちに、フランシスは疑問を持つことがあった。ブリジットは伯爵家の娘であるため、使用人として働かなくても何処かに嫁ぐだけでも良かったのだ。

 だが彼女は嫁ぐことを良しとせず、今この屋敷で働いている。それは何故なのか、フランシスは非常に気になっていた。


 他人への興味を持つこと、それがフランシスの恋の切っ掛けでもあるのだが、彼は気づかない。気づくのはもう少し先の話である。 



 その後彼の予想通り、ポスフォード侯爵家は侯爵家の入場時間のギリギリに訪れた。



「お久しぶりでございます、カノヴァス公爵。」

「お越しいただき、ありがとうございます、ポスフォード侯爵。」



 フランシスを爽やかで整っている青年と称するならば、このポスフォード侯爵は、立派なヒゲがトレードマークのダンディなおじ様と言ったところだろうか。フランシスにない、独特な色気を持っている。

 38歳ではあるが美しい顔立ちのためか若く見られることが多く、社交界の女性たちからはアイドルのような存在として一目置かれている。


 軽い挨拶を終えフランシスが会場に案内しようと視線を外すと、視線を外したのを狙っていたのだろう。

ポスフォード侯爵が独り言と思われるくらい小声で呟き始める。



「……ぜいぜい、頑張るが良い」



 勿論、フランシスにはその独り言は聞こえていた。だが、構ってやる必要もない。そのままフランシスはポスフォード侯爵を会場に案内する。

 席に座った彼の様子をちらっと目で追うと、見事なほど彼の目はブリジットを追っているように見えた。



「成る程、先程の独り言は私に対しての挑戦状、ということか。」



 フランシスは彼を目で一瞥すると、後ろから執事のシリルがこちらに向かっていることに気づく。

彼は今日給仕の一人として仕事をしているはずだったが、何故裏方にいるのだろうか、と疑問に思う。


 しかし席の案内がヨハンに変わっていたことで、先程の件を知っていたヨハンが、シリルに案内を変わるよう申し出たのかもしれない、と推測した。

 その推測は正しかったようだ。



「旦那様、ヨハンさんより預かったものです。」



 先程ヨハンにお願いをした件だ。

彼はブリジットを調べる際にもう一度他の貴族も洗い出したことをフランシスは聞いていた。だから、今までの調査結果を持ってくるように伝えていたのだ。


 調査結果を読み、少しだけポスフォード侯爵が考えていることが理解できた気がする。

ただし、彼にとっては理解したくもない考えであるが。



「いいだろう、受けて立とう」



 覚悟を決めたフランシスの顔は、無表情を貫いていた。

新たな役者の登場です。

そろそろストックがなくなってきました.....頑張ります


次回は明日更新予定です!

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