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12、突然の模様替え ② side フランシス

少し副題を変更しました。 内容は変わっていません。

 寝室の模様替えが終わった夜のこと。


 フランシスは久しぶりに屋敷に帰宅していた。

この2週間は社交界の関係で書類仕事が多く、帰れる日もあったのだが、

疲れが溜まっていたこともあり、王宮に寝泊まりをしていた。


 そして今日、寝室の模様替えが終わったと同時に書類仕事もほぼ片付けたのである。

言い換えると、今日寝室でゆっくり寝るために王宮に篭って仕事をしていたとも言える。



 早めに帰宅したフランシスは、領地の仕事もそこそこに寝室に入る。


 寝室は青と緑、茶色の3色で統一されている。

これもブリジットの資料に書かれていたのだが、

部屋が何色もの色で満たされていると心理的に落ち着かない状況を引き起こすそうだ。

だから3色を限度にコーディネートするよう書かれていた。

 しかも誰の考えか、どの本に記載されているかの出典つきである。

 


「本当に抜けのない資料だったな」



 改めてジーンから貰った資料の内容を思い出す。

 

 以前は赤や黄色、橙色など明るめの色を沢山使っていた。

しかし資料には赤は寝室には宜しくないと書かれており、驚きながら見ていたものだ。



「赤は思考が活発になる興奮作用を持っていると書かれていたから、色が良くなかった、と言うことか。」



 確かに、以前の部屋はそわそわして落ち着かなかった事が多かった。

しかし、今は思った以上に穏やかな気持ちで部屋でくつろぐ事ができていた。

 


「意外とこの部屋を気に入ったのかもしれないな。」



 と微笑みながら座っているのはベッドである。

 ベッド自体は木でできており、床や天井と同じような茶色をしている。これは職人に塗らせたものだ。

同じようにクローゼットやテーブルなども茶色で統一することにした。

 茶色には緊張を和らげる効果があるらしい。

確かに以前のようにガラガラとした印象はなくなったので、家具にも満足していた。


 また枕やシーツは薄緑色にし、他にも頭側にあるカーテンの色は同じような薄緑色に仕立てさせた。

カーテンには遮光ができるような工夫がされている。

 同じように緑は彼女の資料にリラックスさせる癒し効果を持っている事が書かれている。


 そしてシーツやテーブルクロスなどは全て青色で統一させた。

自身の目も青色だったため、目と同じようなサファイヤの青にさせた。


 彼女の資料を見て驚いたのは、青は心身を落ち着かせる効果があるだけではなく、

夏の暑い時期に青色にすると、体温を下げ寝やすくしてくれるとのことであった。

今の時期はジメジメしていて暑い時期である。

フランシスはこの点については半信半疑ではあったが、今日全てわかるだろう、と考えていた。


 眠れるかは置いておいても、今の時点でフランシスは部屋の内装を気に入っていた。

そんな彼が少しだけ本を読んでゆっくりしよう、と考えたその時、ドアがノックされた。



「旦那様、お茶をお持ちしました。」

「入れ」



 フランシスが答えるとすぐにヨハンが入室をする。

本を読もうとしていたフランシスに向けて一言だけ声をかけた。



「こちらは、カモマイルティーでございます。強い香りが苦手、と仰っていた旦那様用です。」



 と言ってカモマイルティーをカップに注ぐ。

 強い香りが苦手なフランシスだが、カモマイルについては問題がないようで、

ヨハンが入れたものを直ぐに口つけていた。



「うん、飲めそうだ。香りも強くなさそうだしな」



 ヨハンもホッとしたようで、胸をなで下ろしている。


 

「そちらはブリジットさんが選んだ紅茶でございます。」

「・・・ブリジットが、か?」

「はい、旦那様が夜はコーヒーを飲んで寝ている事を知ったブリジットさんが用意したものです。」



 ヨハン曰く、コーヒーは思考を活性化してしまうため、寝る前に飲むと寝付けなくなるそうだ。

フランシスがハーブティーを苦手になった理由を聞いて、強い香りが苦手なのでは、と思ったブリジットが

勧めたハーブティーがカモマイルティーだったらしい。


 なんでも、不眠に効果がある上に、身体を内部から温めてくれるようだ。


 

「何でもお見通しなんだな、彼女は。」

「ええ、素晴らしい洞察力と観察力も兼ね備えているらしいですよ」



 そしてお茶を飲み終わると、失礼します、と言ってヨハンは下がる。


 フランシスは本を置きベッドに入ることにした。

すると直ぐに心地よい眠りに誘われ、夢の中に落ちるのであった。



 そして翌朝。

鳥のさえずりで目が覚める。

テーブルには昨晩ヨハンが置いていった、水差しがある。

フランシスはコップの中に水をそそぎ、飲み干す。

すると目覚めがスッキリすると共に、身体の疲れが取れたように感じる。



「ブリジット、起きる時まで考えているとはやるじゃないか。思った以上に優秀だな。さて、次は・・・」



 この水差しも今まで無かった、つまりは彼女の提案だろう、そう考えつつ

 コップの中に入れた水を見ながら、誰にも見せない笑顔で彼は呟いていた。

ブリジットはハーブやインテリア等の事にも詳しいです。

学生時代、王都の図書館で論文を読んでいました。

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