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11、突然の模様替え ①

フランシス、屋敷に帰ってなかった説。

 公爵家に勤め始めて1ヶ月ほどが経った。

ブリジット自体はフランシスに会ったのは挨拶の一回であった。

フランシスと会わない理由は、彼の仕事量が半端なく多くて公爵家に帰れないからだ。

この2週間ほどは王宮で寝泊りをしているらしい。


 もし足りない者があればヨハンが王宮に持って行っているらしい。

つまり彼自身が屋敷にいないため、会うこともないのである。


 その間に執事やメイドたちの中でのブリジットの評価は非常に高くなっていた。

洗剤の件だけでなく、あっという間にヴェラの話やザックの話なども広まり、

メイドや執事の鏡として彼女を一目置く様になったのだ。


 しかし当本人はそのことを知る由もなくーーー仕事に直向きな姿がまた評価を上げているのだった。




 そんな日が続き、ブリジットが課題について忘れかけている頃、それは起こったのである。

ある日の夕礼のこと。ジーンが発表した事に、ブリジットは最も驚いていた。



「皆さん、明日は旦那様の寝室の模様替えがございます。家具等を変えますので、業者が入りますので覚えておく様に。」



 つまり、ブリジットの提案が採用された、という事だった。

何も聞いていなかった事に驚きを隠せなかったーーーむしろ不採用だと思っていた彼女にジーンが声をかける。



「貴女の説明書類を見せた所、旦那様は納得されまして、模様替えをする事に決定されました。この事は旦那様から貴女に言って下さる筈だったのですが・・・」


 

結論を言うと、忙しくて言うことができなかったとの事。

困った様な顔をしたジーンが



「事前に伝えられなくてごめんなさいね」



 と言ってくる。いいえ、と彼女は返事をする。フランシスの指示には従うのが使用人だ。しょうがない。

むしろブリジットが気になったのは、フランシスが彼女に会おうとしていた点だろう。

最初にあんな暴言を吐いたのだから、旦那様は私に会いたくないのだ、とブリジットは思っていたからだ。



・・・でも、あの時点で解雇されないところを見れば、会いたくない訳ではないのかもしれないわね。



 そう思いつつも、謝罪してくれた事に対して感謝を述べ、彼女は自室に戻って行ったのだった。



 そして模様替え当日。

聞いた話によると、寝室の家具全てを取り替えるらしい。

ブリジットの提案には、家具を全て取り替えることなど記載していない筈なので、彼女は少し焦っていた。

 しかし焦ったとしても彼女には何もできないのだ。

仕方なく昼食にしようと、台所に向かう。


 台所に着くや否や、声をかけてきた者がいた。


「いやー、寝室に興味がない旦那が、家具を一新するのは珍しいなあ、おい」



 後ろから感心した様な、驚いた様な声が聞こえる。

料理長のザックの声であった。

ブリジットがザックの顔を見ると、ザックは笑っていた。



「嬢ちゃんの案が大層気に入ったらしくてなあ。

あの旦那がアンドレア様にも寝室を模様替えする許可を頂いたらしいぞ」

「ちなみにあの家具は旦那様が選ばれた物ですよ」



 ザックの話を遮るかの様にヨハンも話に割り込んでくる。

ザックはヨハンの顔を見ると、はいはい、と彼の仕事に戻っていったのだった。



「旦那様が自身で買い付けられた家具ですから、心配なさらなくて宜しいですよ。」



 ヨハンはブリジットの心配を見抜いていた。

彼女を安心させるために言ったのだろう。実際ブリジットもそう言われて安心していた。

 しかし、その安堵を吹っ飛ばしてしまう言葉をヨハンから聞くこととなってしまったのだ。



「明日、旦那様がブリジットさんに会いたい、と仰っております。よろしくお願いします。」



 詳細はまた後程、と伝えるとサッとヨハンはいなくなる。呆然と佇んでいた彼女を残して。

 恋愛要素がないのは、フランシスが帰宅していないからです・・・

やっと帰宅できて良かったです^^ブラック企業だ。


次話は明日更新予定で、時間は未定です。

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