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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
「浮気調査」編
95/233

14 逃走じゃない、誘導だ!(......と思いたい俺がいる)



 不思議なことに、貫かれた肩の方から痛みは感じない。


『どう? ボクの魔法で痛覚をほとんどなくして、傷ついたところを片っ端から治癒をしていってるけど⋯⋯』

『あと、(あたし)の魔法で身体能力を強化しておいたから』


 なるほど、ちゃんと2人の魔法は俺に届いているわけか。


「あら? あまり効いていないみたいね⋯⋯じゃあ」


 直後、俺の肩を激しい痛みが襲った。まるで肩から引きちぎられるかのような、鮮烈で強烈な痛みだ。


「があああああああああああああ!!!!?」


 慌てて手刀で刺さっていた茨の(つる)を切断し、フローラさんから距離をとる。


「魔法耐性がないと痛みつけるのが楽でいいわねぇ⋯⋯加減が分からないのが(たま)(きず)だけど。まあ、いっか。しょーちゃんは確か不死身だし」

『ごめん! 痛覚を元に戻されたみたい。あと、毒の侵食が速いから、ボクの方は傷口の再生で手一杯になるかも』


 フローラさんの狂気を(ふく)んだ声を聞き流しながらも、夏蓮からそんな悲しい報告を受ける。


 くそぉ⋯⋯。たとえ不死身でも、そんな何度も死んでたまるかよ!


「う、うぅ⋯⋯」


 震える脚で、足ずさりをする。


「あら? 逃げるのかしら?」

「⋯⋯そうだよ」


 ボソリと、吐き捨てるように言ってから、俺はフローラさんに背を向けて、脱兎(だっと)のごとく駆け出した。



 どうすればいいどうすればいいどうすればいい!? あの人を止めるには!? あの人と真っ当に話をするには!? どうすればいいんだ!?


 走りながら、俺は現状をどうすれば切り抜けられるのか、ただそれだけを考えていた。

 幸いなことに、フローラさんは俺をじっくりと殺し(?)たいようで、あまり必死には追ってこない。


(まあ、あまり距離を取ると、コレット達の方へ向かうかもしれないから、常に一定の距離を維持しなければいけないんだが⋯⋯)

(少しスピードを上げるぞ翔太、追いつかれてきた。)


 げっ⋯⋯まじかよ。

 ちなみにこれでも、今の俺には結構限界だったりする。



「ハアハア⋯⋯」


 そろそろ息が切れてきた。この上の階に、パーティ会場があり、そこまで無事にフローラさんを誘導出来れば、俺の仕事は終了だ。


 ⋯⋯だが。


「? ⋯⋯待てよ」


 目的地のある階への階段を1段飛ばしで登り切った瞬間、俺はふと思いつく。


「なあ、レンにコレット⋯⋯もし将来結婚して、旦那が浮気をしてたってわかった場合どうする?」

『『ええ?!』』


 この土壇場(どたんば)での唐突な質問に、2人は困惑する。

 それでもこれだけは確認しておかなければならない。


「悲しいか? 他の幸せそうな夫婦が妬ましくなるか?」

『『⋯⋯⋯⋯⋯⋯』』


 2人の沈黙は、「そんなこと言われても⋯⋯」という意味だろう。それでも俺は根気強く待つ。


『まあ、多分そうなるんじゃない?』

『うん⋯⋯多分だけど』


 よし、じゃあここからが本題だ。


「なら、少し話を変えるが⋯⋯」


 俺は今まで見聞きしてきた事を思い出しながら口を開く。


「もし、旦那が浮気をしていないのを知っている上で、浮気だなんだと騒ぎ立てる理由は、なんだと思う?」



 俺の仮説が、当たっていることを祈る。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

感想、誤字脱字の指摘はお気軽にどうぞ。


……気がつけばこんな時間(23時半)になってしまいました。

急いで書いたので、後で変更する部分が出てくるかもしれませんが、そこはご了承の程よろしくお願いします。

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