13 まさか誘導役で死にかけるとは……まあ、大体予想してたけどね!
「ど、どうするんだよ!?」
ズズンッズズンッ! と、城が鳴動し始める。……これは、まずいぞ。
城が小刻みに揺れるほど、今のフローラさんはキレているということだ。
こんなことは、今までに一度しか経験したことがない。
「!! まずい! コレットの神性で私達の居所がばれてるぞ!」
「こっちに来てるってことか!?」
晴れて土の大精霊と正式契約を結んだコレットには、契約相手であるチャイドの神性が流れている。
シルフのような熟練者ならともかく、成り立てのコレットには神性の制御が出来ないらしい。
『すまん! そっちでどうにか時間を稼いでくれ! 俺もブツを受け取ったらすぐにいく』
魔王から追加のメッセージが届いた。⋯⋯どうやらプレゼントの準備がまだ済んでいないらしい。
「それなら早めにやっとけよ!」と言いたかったが、向こうにも向こうの事情があるんだろう。
それよりも今は⋯⋯
「どうフローラを止めるか⋯⋯だな」
シルフが重々しく口を開いた。
その場にいた全員で顔を見合わせる。数秒間だが、誰からも話し出さなかった。
俺はゴクリと唾を飲み込んでから切り出す。
「⋯⋯俺が、行くよ。元々あの人、俺に用事があるみたいだし」
何してくるか分からないから俺が行った方が安全だし⋯⋯。
「「「⋯⋯⋯⋯」」」
異論はないみたいだな。⋯⋯ちょっぴり呼び止めて欲しかった気持ちがあるが、まあそこは仕方ないか。
「その代わり⋯⋯2人には―――」
『⋯⋯いや、なら翔太。お前の端末の位置情報をオンにしとけ。2人とも、座標が分かれば支援魔法くらい出来るな?』
魔王といつの間にか通話状態になっていた。⋯⋯強制措置ってやつか?
「り、了解っ!」
「⋯⋯任せて」
やや間があったが、2人の了承を得ることが出来た。
俺が思っている以上に、この端末には色んな機能があるようだ。
「やあ、フローラさ―――んんん!?!?」
出来るだけ爽やかな雰囲気で彼女の前に顔を見せたというのに、出会って1秒も経たずに茨の鞭の攻撃が飛んできた。
「ちょっと!? 話を聞いてくれ!!」
夏場だと言うのに、嫌にひんやりとした石造りの廊下を右へ左へと転がる。
「問答⋯⋯無用!!」
「くっ!」
フローラさんは、生命を成長、後退させる魔法を得意としている。
そして、普段は青々とした蔓が出てくるのだが、今日は違う⋯⋯! 紫色の、見るからに毒々しい棘のある蔓だった。
「なんでだよ!? 俺、なんもしてないだろ!?」
理不尽な展開に、つい口調が荒くなる。
そこでやっと、フローラさんは攻撃を中断する。
「初めから、協力する気なんてなかったんでしょう?」
「いや、そんなことは⋯⋯」
「嘘よ!! だって魔王に直接聞いたんだもの! 『翔太はこっち側だ』って、証拠だって見せられた!」
あまりの気迫に気圧される。オマケに証拠となる、俺と魔王が同じ部屋にいる写真をこちらに見せてきた。⋯⋯あの店にいた時か⋯⋯!
「⋯⋯なんで、魔王の言うこと信じるんだよ。魔王があんたを撒くための都合のいい理由付けかもしれないじゃないか」
「そんなことどうでもいいわ。⋯⋯だって、しょーちゃんを捕まえて頭を弄れば分かることだもの」
背筋がゾクッとした―――と同時に、正面から茨の鞭が飛んでくる。
「⋯⋯ぐ!?」
間一髪避けたつもりだったが、足元から生えてきた茨に肩を貫かれていた。
「さあ、観念して捕まってちょうだい」
⋯⋯今までで1番やばいかもしれない。
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……やっぱり朝は辛いです。




