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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
「浮気調査」編
94/233

13 まさか誘導役で死にかけるとは……まあ、大体予想してたけどね!



「ど、どうするんだよ!?」


 ズズンッズズンッ! と、城が鳴動し始める。……これは、まずいぞ。

 城が小刻みに揺れるほど、今のフローラさんはキレているということだ。


 こんなことは、今までに一度しか経験したことがない。


「!! まずい! コレットの神性で私達の居所がばれてるぞ!」

「こっちに来てるってことか!?」


 晴れて土の大精霊(チャイド)と正式契約を結んだコレットには、契約相手であるチャイドの神性が流れている。


 シルフのような熟練者ならともかく、成り立てのコレットには神性の制御が出来ないらしい。

 

『すまん! そっちでどうにか時間を稼いでくれ! 俺もブツを受け取ったらすぐにいく』


 魔王から追加のメッセージが届いた。⋯⋯どうやらプレゼントの準備がまだ済んでいないらしい。

 「それなら早めにやっとけよ!」と言いたかったが、向こうにも向こうの事情があるんだろう。


 それよりも今は⋯⋯


「どうフローラを止めるか⋯⋯だな」


 シルフが重々しく口を開いた。

 その場にいた全員で顔を見合わせる。数秒間だが、誰からも話し出さなかった。


 俺はゴクリと(つば)を飲み込んでから切り出す。


「⋯⋯俺が、行くよ。元々あの人、俺に用事があるみたいだし」


 何してくるか分からないから俺が行った方が安全だし⋯⋯。


「「「⋯⋯⋯⋯」」」


 異論はないみたいだな。⋯⋯ちょっぴり呼び止めて欲しかった気持ちがあるが、まあそこは仕方ないか。


「その代わり⋯⋯2人には―――」

『⋯⋯いや、なら翔太。お前の端末の位置情報をオンにしとけ。2人とも、座標が分かれば支援魔法くらい出来るな?』


 魔王といつの間にか通話状態になっていた。⋯⋯強制措置ってやつか?


「り、了解っ!」

「⋯⋯任せて」


 やや間があったが、2人の了承を得ることが出来た。


 俺が思っている以上に、この端末には色んな機能があるようだ。






「やあ、フローラさ―――んんん!?!?」


 出来るだけ爽やかな雰囲気で彼女の前に顔を見せたというのに、出会って1秒も経たずに(いばら)(むち)の攻撃が飛んできた。


「ちょっと!? 話を聞いてくれ!!」


 夏場だと言うのに、嫌にひんやりとした石造りの廊下を右へ左へと転がる。


「問答⋯⋯無用!!」

「くっ!」


 フローラさんは、生命を成長、後退させる魔法を得意としている。

 そして、普段は青々とした(つる)が出てくるのだが、今日は違う⋯⋯! 紫色の、見るからに毒々しい(とげ)のある蔓だった。


「なんでだよ!? 俺、なんもしてないだろ!?」


 理不尽な展開に、つい口調が荒くなる。


 そこでやっと、フローラさんは攻撃を中断する。


「初めから、協力する気なんてなかったんでしょう?」

「いや、そんなことは⋯⋯」

「嘘よ!! だって魔王(あの人)に直接聞いたんだもの! 『翔太はこっち側だ』って、証拠だって見せられた!」


 あまりの気迫に気圧される。オマケに証拠となる、俺と魔王が同じ部屋にいる写真をこちらに見せてきた。⋯⋯あの店にいた時か⋯⋯!


「⋯⋯なんで、魔王の言うこと信じるんだよ。魔王があんたを()くための都合のいい理由付けかもしれないじゃないか」



「そんなことどうでもいいわ。⋯⋯だって、しょーちゃんを捕まえて頭を(いじ)れば分かることだもの」



 背筋がゾクッとした―――と同時に、正面から茨の鞭が飛んでくる。


「⋯⋯ぐ!?」


 間一髪避けたつもりだったが、足元から生えてきた茨に肩を貫かれていた。



「さあ、観念して捕まってちょうだい」



 ⋯⋯今までで1番やばいかもしれない。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

感想、誤字脱字の指摘はお気軽にどうぞ。


……やっぱり朝は辛いです。

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