6 戦意喪失
フローラさんは、元々□□□□□□□□だった。
彼女はある集落の領主の娘として生まれた。
アルビノのような特異体質で、体こそ弱かったが、家族や毎日屋敷に忍び込んで遊びに来てくれる友人がいて、何不自由のない日々を過ごしていた。
―――その後、色々あって、世界の危機を救うのだが、それはまた別の話。
何はともあれ、魔王との馴れ初めは上記の通り、彼が屋敷にこっそり忍び込んで、フローラさんと出会う所からだった。
「⋯⋯⋯⋯ぁれ?」
「あ、やっと起きた」
どこだろうか⋯⋯ここは。聞き慣れた声が聞こえるが、とりあえず、たまらなく眠いため2度寝を決め込むこととする。
ゴロン。
「ええっ!?」
ゴロンゴロン。
「ちょ、ちょっと翔太! くすぐったいよ!?」
ここはどこなのだろうか? ⋯⋯とりあえず意識がはっきりする前に眠り―――
「ぐへっ!?!」
「おっとすまない。腰が滑った!」
―――たかったが、俺の腹部をかつてない衝撃が襲い、それどころではなくなってしまった。
「腰が⋯⋯滑ったって⋯⋯⋯⋯なんだよ!?」
瞳を開けて、自分の腹部を確認する。⋯⋯なんとなく分かっていたが、先程会ったばかりの女性が乗っていた。⋯⋯足を組んで、堂々と。
「ほら、喜ばぬか。儂がわざわざ騎乗してやっておるのだぞ?」
「結局わざとじゃねえか!」と言っていられるほどの余裕がなかったため、辺りを見回し、再び意識が途切れる前に、なんとか瞬間移動した。
「おお⋯⋯」
「がはっ! ごほっ!! ⋯⋯さっきから、なんなんですか!?」
「いや⋯⋯単に楽しくてな。先の見えない者をいじるのは」
「⋯⋯?」
何を言っているのか、よく分からなったが⋯⋯まあ、良しとする。文句よりもまずは状況整理だ。
「⋯⋯で、ここは一体どこなんですか?」
「ここは店の中だよ」
彼女の隣に座っている夏蓮が答える。⋯⋯⋯⋯あ。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯何が目的だ?」
先程まで夏蓮に膝枕をしてもらっていたことに気づき、目をそらしながら尋ねる。
「それは、あやつの口から聞くといい」
「あやつ?」
促された先にいたのは⋯⋯。
「あ〜、気持ちいいよ〜。最高だよ〜」
「そうでございますか? わたくし感激です!」
ネコミミを付けたメイド服を着た竜の女性と、その膝の上でくつろぐ魔王だった。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
俺はしばらく開いた口が塞がらなかった。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「ま⋯⋯そうなるじゃろうな」
もうこっちは見たくないや⋯⋯。
切り替えて、テーブルを挟んで反対側に座っているふたりに訊く。
「ちなみに、あの後どうなったんだ?」
「殴った」
「翔太をね、このひとが⋯⋯」
⋯⋯なんか、どっちの方向も見たくない。
「あ⋯⋯そうだ。シルフは⋯⋯?」
さっきから、なんとなく気配が感じられない。
「ああ、あいつなら、そろそろこっちに来るはずだぜ」
なんだろう⋯⋯嫌な予感しかしないんだが。あと魔王、人の膝の上でキリッとした顔すんな。なんかイラッとくる。
「いや、そもそもなんで宿主の俺から離れられてるんだ?」
「なんか⋯⋯このひとが切ったらしいよ」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯もう、リアクションが尽きた」
多分、何が来ても驚かないと思う。⋯⋯そう、今の俺はある意味で無敵なんだ!
「うわ〜ん!! しょうた〜!!」
直後、メイドコスを着せられたシルフが部屋の扉を勢いよく開けて俺の胸に飛び込んできた。
「これは⋯⋯1度整理する必要が⋯⋯あるな」
これが、混乱する頭で唯一発せられた言葉だった。
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次回で今回でた疑問点を片付けていこうと思います。




