2 先に予定が埋まっていくスタイル
「それで、シルフがご機嫌ナナメなのか」
「おう」
シルフにマッサージを施した後、俺はいつも通りエリシャの部屋を訪れた。そしてそこで、事の顛末をエリシャにも伝えたのだ。
「シルフが普段出さない声を出してくれて、凄かったなー。『んああ!?』とは『はひ!?』とか⋯⋯」
(⋯⋯⋯⋯⋯⋯)
おっと、これ以上は言わないでおこう。俺も自分の身が1番大事だからな。
「ツボ⋯⋯か。それが見えるようになるには、相当の修練がいるみたいじゃな」
「へぇー」
やっぱりフローラさんはすごい人なんだなあ。なんかちょっとヤンデレっぽいけど。
「それより⋯⋯ほれ、もっとこっちに近寄れ」
「?」
俺がほんの少しだが、エリシャに近寄ると、
「⋯⋯うむ、これで全て元通りじゃ」
「!? おい⋯⋯良いのか?」
エリシャの手が俺の腕に伸びてきて、触れた瞬間、俺の身体から痛みが全て消えた。
「良いも何も、妾が好きでやっていることじゃ。別に、翔太が気にするものでもないのじゃぞ?」
「⋯⋯」
コルトと決闘をした時⋯⋯あいつは「ここに女王からの許可書がある」と言っていた。
つまり、まあ、何となく分かってはいたが、エリシャの能力は、俺が好き勝手に使わせてもらっていいものではなかったわけだ。
「⋯⋯ありがとな」
「うむ、それで十分じゃ」
それでも、本人がしてくれると言うなら、遠慮なく受け取ることにしよう。
「それより、喜べ翔太! 今日は⋯⋯⋯⋯ホラーゲームじゃぞ!」
「⋯⋯マジすか」
まあこっちの時期的にはピッタリだけれども。
「うん、楽しかった⋯⋯けど、もうこりごりだ⋯⋯」
ゴミ箱が追ってくるとか、どういうことだよ。せめて宝箱にしてくれ。
「翔太はビビりだからなー」
「うっせいやい」
途中でさらっとシルフが現界してきたが、きちんといつも通りの対応を心がけた。⋯⋯こちらも元に戻って何よりだ。
「⋯⋯これで今日はお開きなんじゃが、最後に2人に伝えておくべきことがあってな」
「おう?」
「なんだ?」
そこでエリシャが一間いれ、再度口を開く。
「翔太、妾のことは好きか?」
「は?」
それはどういう⋯⋯?!
「あ⋯⋯ま、間違えた。⋯⋯コホン! 実はじゃな、翔太とシルフ、2人にアガルダ1家から誘いが来ていてな」
「お、おう⋯⋯?」
アガルダ⋯⋯コレットの名字だっけ?
「それで、妾も招待されていてな。そこの護衛を2人に頼みたい⋯⋯ほら、好きでもない相手の護衛なんてやりたくないじゃろ?」
「ああ、なるほど⋯⋯」
そういう事ね。
「ちなみに、なんで俺達なんだ?」
「なあに、ちょっとした親睦会みたいなものでな、そこには極力部外者は入れないようにしているから、同じく誘われているお前達に護衛を任せようと思ってな」
なるほど、「親睦会」という単語に不穏な空気を感じたが、ここはあえて突っ込まないでおこう。
「ほうほう。日時と集合場所はどこなんだ?」
「今日から約12日後じゃな、時間は妾があとから連絡しよう。集合場所も、写真を送ってやる」
シルフがエリシャと細々としたことを打ち合わせている。⋯⋯なんだかんだいって、しっかりしてるよな。
〜おまけ〜
そういえば、エリシャにもツボはあるのだろうか?
「⋯⋯それじゃあ、また明日じゃな」
「うん、じゃあな」
目の前でシルフとエリシャが挨拶をしている。
「翔太もまたな」
「おう⋯⋯そいっ!」
俺は興味本位からエリシャの肩辺りを適当に押してみた。
「んひゃあっ!?」
エリシャが身体をビクンと震わせ、変な声を出す。
「⋯⋯翔太」
やべっ⋯⋯。まさか当たるとは⋯⋯!
「じゃ、じゃあな!」
俺は手早く挨拶を済ませ、自室へと帰宅した。
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