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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
序章
8/233

3-3 シルフとの1日③



「そう言えばさ、その緑のワンピースってどこにあったんだ?」


 シルフとこの世界によくあるゲームで時間を潰していたところ、早くも夕暮れ時といった感じになっていた。俺はシルフが大分前から着ていた緑のワンピースについて尋ねた。


「ああこれか⋯⋯これは⋯⋯その、フローラから(もら)ったんだ!」

「へー」


 シルフは何故かいくらか考えてから返答した。昼からずっと2人でゲームをしてきたというのに、まだまだ彼女の心を開けるには時間が必要なのかもしれない。


 ちなみに、俺の家と魔王城では時差はほとんどないらしい。

 そしてここは俺と魔王が初めて会った部屋だ。こじんまりとしたところだが、だだっ広い場所よりはよっぽどいいと思う。



「!」


 と、シルフが突然部屋のドアのほうを振り返った。


「なんだ?」

「⋯⋯帰ってきたぞ」

「え⋯⋯夜まで戻らないんじゃあ?」


 俺がそう言った瞬間、扉が開き、魔王が答えた。


「事件だよ、事件が起こっちまった」

「えぇ⋯⋯それで中止ってことか?」


 俺のその疑問には後ろで控えていたフローラさんとギムギスさんが答えた。


「いいえ、『会場に爆弾を設置した』っていうアナウンスを聞いた瞬間、私達の力で犯人も爆弾も全て撤去したんだけど⋯⋯」

「目立つと困るため即行で帰ってきた、ということです。⋯⋯2時間は待ってたのに」

「は、はあ⋯⋯」


 前から思ってたけど、この3人はやっぱり超人過ぎてリアクションに困るな。


「にしても、なんで俺の行く先々では事件がよく起こるんだ⋯⋯」


 魔王が軽く(あきら)めたような口調で言う。俺はそれに対してフォローを⋯⋯


「まあ、行く先々で事件が起こるとか、どこぞの主人公みたいで⋯⋯いいのか?」

「なんで俺に聞くんだよ⋯⋯よろしくねえよ」


 出来ずに最後は疑問形になってしまった。


「とりあえず翔太さんは1度家に帰ったほうがいいのでは? もう時間が時間ですし」


 ギムギスさんに言われて時計を見ると、今は36時⋯⋯向こうの時計では18時をさしているだろう。


「おおっと! そうですね、じゃあまた⋯⋯」


 と言って去ろうとしたところ、フローラさんが俺を呼び止め、


「あ、しょーくん、夜には必ず戻って来てね。大事な仕事があるから⋯⋯」


 意味深(いみしん)な笑みを浮かべて言った。

 俺はそれにあ、はいと答えた後、急いで我が家の自室へと飛んだ。



 シルフには現界するのをやめてもらい、家で夕食を食べ早めに風呂に入り、寝巻きに着替えたあと、母親から「最近寝るの早いね」と言われながらも2階の自室に行くフリをしてそのまま魔王城へ。



 魔王城にて、


「それで、大事な仕事ってなんですか?」

「ああそれはね⋯⋯」


 俺の問いにシルフのやや遅めの夕飯を出しながらフローラさんが答えた。


「⋯⋯シルフをお風呂に入れてあげてほしいの」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯は?」


 たぶん、俺の目が一瞬点になっていたと思う。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

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