幕間その2 ちょっぴり魔王サイド
「ンッフッフー♪」と、上機嫌な様子で食事会場に1人の男が突っ立っている。悪目立ちしている黒いマントを羽織った、風変わりな男だ。
「今日は結構収穫あったんじゃね? なあギムギス?」
傍らでせっせと料理を取る腹心の部下に同意を求める。
「⋯⋯いえ、まあまあと言ったところですね」
片手間で今回の屋台の反響を調べ、率直な感想を述べる。
今回の魔王の屋台⋯⋯盛況ではあったし、多少の効果は見込めるだろうが、やはり突然やりだした事だ。賛否両論が出て当然と言える。
⋯⋯ついでに、鈴木翔太が「身元不明の謎の少年」として話題に上がっているのも確認出来た。この世界は、彼の世界に負けず劣らずの情報流通速度がある。悪い噂が発生したら、広まる前に早々に断ち切らねばならない。
「はぁ⋯⋯あんなに周りに侍らせて、大丈夫ですかね」
魔王に加えて新たに面倒事を持ち込んで来そうな人物に対して憂いのため息を吐く。
「まあ、いいんじゃね? それより聞いてくれよ! 今回の1件で、チャイドから眷属を三体まで貸してくれるってさ!」
上機嫌に話す我らが魔王。
「ふむ⋯⋯それは良かったです。試練をコレットと共に乗り越えた報酬か何かですか?」
「それもあるけど、1番は時空龍の幸せを願ってなんじゃねえか?」
「なるほど」と納得する。時空龍はわずか1000年前に誕生した新米の神だ。それなのに彼女は、100年前の大戦で機能のほとんどを停止したこの世界を維持し続けてきた。
そんな、彼女に対して古参の神々が施しを与えないわけがない。
「にしても、百と千って横文字だとわかりにく!」
「⋯⋯そこにツッコまないで下さい。最近の出番についても触れなくてはならなくなるでしょう?」
「⋯⋯とまあ、その話は置いといて。あのお固い時空龍が、今や『翔太の幸せが私の幸せ〜♡』とか言ってるからな」
⋯⋯とっつきやすくなったと言えば聞こえがいい(?)が。
自分達が眠っていた約90年間に何があったのか、魔王とギムギスには全く想像ができない。
「とりあえず、チャイドは人材が確保出来れば翔太さんの苦労も減ると考えたわけですか」
「おう。たぶんそうだな⋯⋯実際は、」
その先の言葉は、魔王の視界にフローラの姿が入ったことで遮られた。
「やべ⋯⋯! じゃ、俺ちょっと逃げてくるわ!」
「また何かやらかしたんですか?」
懲りない人だな、と一言言っておく。
「違うんだって! 今回のは流石に身に覚えがないんだって!」
そう言って駆け出して行ってしまった。
本当に、とことん悪目立ちする人だなと思い息を吐いてから、彼に背を向けるギムギス。
空には騒々しく、次々と花火が打ち上がっていた。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
感想、誤字脱字の指摘はお気軽にどうぞ。
今回は三人称に挑戦してみました。いやー、難しいですね。というか、慣れない感じでした。
あと、今回は短い上に男2人のよくわからない話ですみません!
次回からは浮気調査もしくは夏のバカンス編になると思います。
……ただ、全然ネタを考えてないので、1日だけ時間を下さい。それでは!




