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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
『土の賢者』編 第4章
73/233

6 今日も散々な役割だ



「『いつも通り』ね。ええ、わかったわ」

「よし、頼んだ!」


 そう言い残し、俺は飛んでくる岩塊を吹き飛ばしてもらい、チャイドに向かってもう一度跳躍する。


「こうすればいいんでしょ!」


 その後ろから、コレットが作り出した岩塊が追従(ついじゅう)する。


「ふむ、ようやく本領発揮カナ?」

「そういうことだ!」


 言い終わると同時に手にした御神木刀(ごしんぼくとう)を勢いよく、ぶん投げる。


「?⋯⋯!?」


 前方に迫るを、怪訝(けげん)な面持ちで弾こうとしていたチャイドは、突如(とつじょ)自身の背後に瞬間移動した木刀に、一撃をもら―――


「ふぅ⋯⋯危ない危ない」


 ―――いかけたところで、受け止めた。


「やっぱり無理か!」

「やっぱりとかそういう問題じゃないぞ! 急すぎて私も対応が遅れたじゃないか!」


 シルフに、すまんすまんと謝罪を入れる。そういえば能力がレベルアップしたと報告していなかった。


 だが、奇襲(きしゅう)に注意を()かせれたため、こちらの準備は整った。


 唯一の不安は、コレットを下に置いてきた事だが⋯⋯まあ、そもそも彼女の強みは拳に装着した武具と、強化の魔法を使っての近接戦闘が可能であることなんだから、機動力はある方だし、大丈夫だろう。


 俺はコレットがチャイドの周囲をぐるっと囲む形で展開された無数の岩の1つを足場とする。


「よっしゃ、そろそろ〆だな。大精霊!」

(私とあいつ、どっちのことを言ってるんだ?)

「それ、どっちのことを言ってるのカナ?」


 あ、あれ? ちょっとかっこつけて宣言したのに、言葉が足らなかったみたいだ。ま、まあいいや。



 俺は、「準備は整ったか?」と眼下のコレットに目で確認をとった後、


「うおららららら!!」


 今だしうる最高の初速度で、浮遊している岩を蹴って、蹴って、蹴って⋯⋯速度を増していく。


「よっ!」


 そして、チャイドにも、適度に攻撃を仕掛ける。ヒットアンドアウェイと言うやつだ。




 そして、ある程度時間を稼いだ後、


(行くぞシルフ! 全開全力だ!!)

(おお!!)


 洞窟の壁に突き刺さっていた木刀を瞬間移動で手に持ち直し、再度チャイドに向かって投げる。そしてすぐに能力で背後へと()()()


「流石に、2度も同じ手は食わんヨ」


 くるっと回転し、余裕そうに片手木刀を受け止める。だが、先程とは威力が(けた)違いであるため、しばらく片手で勢いを殺している状態だ。


 そこに、もう一撃、俺が拳で飛び込む。


「! ⋯⋯くっ」


 もう片方の手で、反対側の一撃も抑えるチャイド。やはり神様というのは、格が違うらしい。


 常人では目で追えない速さで仕掛けたというのに、正確に受け止められてしまった。まあ俺は常人なんですけどね!


「なんにせよ、こんな感じで、いいかな?」

「?」


 俺の視線を、チャイドが追う。


 そこには、脚に魔力を集中させている、土の賢者見習いがいた。


「これで無理なら、また今度だな」

「ウワオ⋯⋯」


 次の瞬間、コレットがさっきまでの俺に勝るとも劣らない超高速度で、チャイドの懐に飛び込み、全力の一撃をお見舞いした。同時に、木刀と俺の拳の勢いが消える。


「ぐふっ―――!!」


 と、腹の奥底から一言漏らし、土の大精霊は吹き飛んだ先の壁にめり込んだ。


 その途端、周囲に浮いていた岩は落下し始め、俺とコレットの身体も、落ち始めた。どうやら、シルフとコレットは力を出し切ったらしい。


「よいしょ⋯⋯っと」


 コレットをいつかのように両腕で抱え、瞬間移動で着地する。



(いて)え!」


 着地時に走った鋭い痛みに悲鳴を上げなければ格好がついたんだけどなあ。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

感想、誤字脱字の指摘はお気軽にどうぞ。


こんな時間に投稿してすみません。戦闘描写のある話は今日中に終わらせたかったので……。

次回からは日常パートです!

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