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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
『土の賢者』編 第3章
63/233

7 その2

いきなりタイトルでサボっていくスタイル



 この後も夏蓮に先程会った指輪を落とした女性が俺の休んでいる部屋に入ってきた。


(今度は金髪か)


 と思ったが、先に情報を整理しよう。


「えーと、俺はなんでここにいるんだ?」


 周りでは既に談笑をしている者がいるため、独り言のようにぼそっと(つぶや)いた。


「翔太とコルトの決着がついた時に、丁度魔王とギムギスによる演説も終わってな。そろそろ関係者の収集に取り掛かるため、気絶したお前達も構わず集めたわけじゃ」


 エリシャが親切にも説明をしてくれた。そしてチトセもそれの補足をしてくれる。


「ごめんなさい。私としては戦いを避けたかったんですけど、気づいたら『時空龍との契約者の強さを見たい』って話になっちゃって⋯⋯」

「いやー、そう言われた時はハラハラしていたな。まあ翔太の事情を知っている(わらわ)達だけじゃったが」


 なるほど、そんな話があったのか。ちなみにチトセは俺以外のひとがいる中では敬語口調になるようだ。⋯⋯そういえば初めて会った時の会話も最初は敬語だったな。


「じゃあ、俺の怪我の手当は」

「もちろん、翔太とコルトの怪我は責任持って妾が治したぞ。許可書に署名をしたからな」


 ふふん。と得意げにエリシャは語る。⋯⋯流石だな。




「それはそれとして⋯⋯この状況どうにかならない?」


 俺の近くにいたふたりがキョトンとする。冷静に考えてみたら、俺以外男がいないというまるでハーレム主人公のような状況になっているではないか。


「そうだ! 魔王達はどこにいるんだ?」

「別室でコルトや他の関係者と待機しているが、それがどうした?」

「いや、このままだと俺がハーレム主人公みたいに見えるかなと思って⋯⋯」

「みたいもなにも、翔太はハーレム主人公じゃし⋯⋯まあデレてるのはこいつとシルフぐらいじゃがな!」

「ぐふっ!」


 だから嫌だったんだ⋯⋯ここにいるほとんどがデレてないのに男が俺しかいないのが。


「はぁ⋯⋯どこかにヒロイン力の高い人いないかなー⋯⋯いでで」

「私がいるじゃないですかー?」


 チトセに頬をつねられている。一応俺少し前までは怪我人だったんだけど。


(シルフ、起きてるか?)

(ああ、これだけうるさいと寝てもいられないからな)


 やっぱり起きてたか。


(なんで出てこないんだ?)

(翔太、気づいているか?)

(ん? 何が?)


 質問に質問で返してきたことが気になって、意識を傾けながら聞いてみる。


(ここには神しかいないんだぞ)

(え⋯⋯)

(つまり⋯⋯そういうことだ)


 ははーん。わかったぞ。


(プライドの高い、コミュ障のシルフ様は寝たフリをして切り抜けたいと)

(変な事を言うなバカ! 別にそんなんじゃないんだぞ! あと、私はデレてなんかないからな!)


 俺の予想を否定するのと同時に、ハーレム主人公にとっては結構大事な部分も否定されてしまった。⋯⋯というか、さっきの話聞いてたんだな。


「なんですってー!!」

「おうおう、言った通りだっての」


 俺が脳内会話をしていると、男(まさ)りな女の子と指輪を落とした女の子が口論をしだした。⋯⋯今度はなんだってんだ。


「まあまあふたりとも落ち着いて⋯⋯」


 夏蓮がなだめ役に入るが、どちらも聞く耳持たずといった感じだ。

 2柱(ふたり)の鋭い視線でバチバチと、電気が通っているような錯覚を覚える。


 今にも喧嘩(けんか)でも始まりそうな雰囲気だったのだが、それは意外にも1人の少女によって(はば)まれた。


「ちょっと! 2柱(ふたり)のせいで天候が嫌というほど乱れてるんだけど!」


 そう言いながらドアを勢いよく開け、中に入ってきたのはコレットだった。


「⋯⋯⋯⋯!」


 ここの気温は高い、だから必然と皆薄着になる⋯⋯それは良かったんだが。

 恐らく、外では雨が降っていたのだろう。コレットの運営用のシャツが透けて、下着が見えてしまっている。


「それは⋯⋯ごめんなさい」


 指輪の子が申し訳なさそうに謝った。

 え、誰もつっこまないの? ⋯⋯ああ、みんな女性だからか。


「いやーそいつは悪かった。それはそうと、下、見てみろよ」

「下?」


 もう1人は悪びれもなくあやま⋯⋯ん? コレット、なんでぷるぷる震えてんの? なんで、片手に魔法で岩を創り出してるの?


「ずっと凝視してるなー、と思ったら⋯⋯⋯⋯この変態!!」

「ゴバァ!?!」


 しまった。いくらなんでも見すぎたか。



 ただ、飛んできた岩、尋常(じんじょう)じゃないくらいに痛かったんですけど。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

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