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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
『土の賢者』編 第3章
61/233

5 すごく、痛い



「よし、それじゃあはじめるか」


 そう言って、俺は木刀を強く握る。手汗が結構出てきたな。心臓の音も大分大きくなっていると感じるな。

 ちなみにエリシャから貰っていたお守りは屋台の方へ置いてきてある。ここで使うのはなんか違う気がするからな。


「では、このコインが落ちたら開戦ということで」

「お、おう」


 コインが落ちたら、か。大丈夫かな? 俺フライングしたりしないかな?

 という一抹の不安を抱きながらも、コルトの指でコインが弾かれた。コインはそのまま綺麗な放物線を描いて、地面についた。


(先手必勝―――!)


 その瞬間、俺はコルトの目の前に()()()、木刀を勢いよく振った。もちろん、風の大精霊(シルフ)の力で威力倍増されている一撃だ。


「ぐっ⋯⋯!」


 これには槍で受け止めたコルトも踏ん張らざるをえないようだ。


「おらおらおらぁ!!」


 せっかくなので、少し調子に乗ってみる。


「ふんっ!」

「ぇ⋯⋯うお!?」


 数回打ち合ったあと、俺の足下の地面が勢いよく隆起し、そのまま宙に投げ飛ばされた。ノーモーション⋯⋯だと!?


「と、とと⋯⋯」


 俺はシルフの能力で空中で体勢を整える。うん、シルフさまさまだな。

 とはいえ、これでしばらく安全⋯⋯


「甘いですよ!」

「うぉお!?」


 じゃなかった! 何今の!? 透明な力で吹っ飛んだんだけど!


(今のはなんだよ!?)

(ああ、どんな者であれ地や海の神と契約すると勇者と呼ばれ、ある魔法の適性が高くなる。それが“引力と斥力”の魔法なんだが、それをコルトは生まれつき扱えるようだな⋯⋯ってウィキで見た!)

(ウィキで見たのかよ!)


 ええと、引力が引っ張る力で斥力はその逆⋯⋯だったっけ?


 俺とシルフが会話をしている間もこちらにどんどん力が飛ばされてくるので、一度地面に瞬間移動してみる。⋯⋯ただし! コルトの背後にな!


「後ろですか!」

「なんで!?」


 今度はコルトがこちらを見ることもなく、俺は隆起した地面に吹っ飛ばされる。⋯⋯くそ! つまり地面は俺の敵ってことだな! もう大分痛いけど。


 そのまましばらくの間は、コルトと一定の距離を取りつつ、不規則な動きで、見えない攻撃をなんとか(かわ)す。


(ちなみに翔太、今の状態だとコルト本体には一撃も当たらないぞ)

(まじか、もしかしてあいつ常になんかバリアとか出してるの?)

(そうだ。さっき打ち合ってみてわかったが、コルトは自分の周りに常に斥力のようなものを展開しているぞ)


 コルトが開始から1歩も動いていないのは、あれか、距離を詰めてもすぐ逃げられるとわかっているからか。⋯⋯って、あぶねえ!


「⋯⋯ああもう! 鬱陶(うっとう)しいな!」


 俺はついにコルトの攻撃に苛立(いらだ)ち始める。一人称視点なんだからもうちょっと話させてほしい。


(シルフ! そろそろ決めにいくぞ!)

(え、おう! てっきり翔太はこのままなんとなく負けようとしているのかと思ってた!)


 ⋯⋯それは言うな。どうせなら攻めて終わりたいからな、時間を割いてもいいことはないだろうし。あと、いい加減俺の体力がもたないからな。


「誠心誠意、倒しに行ってやるよ!!」


(シルフ、木刀ぶん投げるから任せるぞ!)

(おう! どんとこい!)


 俺は宣言通り木刀をぶん投げる。


「⋯⋯!」


 投げた木刀はシルフが後押ししているだけあって超高速で回転し、コルトに一直線に向かう。お⋯⋯俺のエイム力もなかなかじゃないか?


「うおおお!!」

「ぬおらああああ!!」


 現界したシルフが木刀を槍で受け止めているコルトと押し合いをしている最中、俺はポケットから取り出したスタンプを自分の右の手のひらに押す。うん、ここが暑いのもあるけど、手汗すごいや。


 ちなみに、この魔王から貰ったスタンプは押された者の魔力を使用されるため、魔力Zeroな俺には全くといっていいほど無害な代物(しろもの)だ。


「はっ!!」

「く⋯⋯!!!!」


 木刀が横に吹き飛ぶ⋯⋯が、コルトの槍もあまりの威力に割れたようだ。そりゃあ、俺じゃなくてシルフがやったんだから、当然だよね!


 シルフにスタンプを手渡し、共にコルトの真正面に()()


「よっと!」


 俺は右手の爪で左の手のひらを切ってから、そのまま右手でコルトの腕を掴む。うん、むっちゃ痛い、左手。⋯⋯自分から血を出すやつってやっぱり頭おかしいと思う。尊敬はするけど。

 どうでもいいかもだけど、今日は暑いからコルトも半(そで)なんだな。


「いたいいたいいたいいたいいたい痛い」


 (つぶや)きながら、俺はコルトの顔の前に血のたれた左手をかざす。


(シルフ!)

(ああもう! なにからなにまで私頼みだな!)


 勢いよく飛ぶ血飛沫(ちしぶき)が、コルトの顔に降りかかる。


「⋯⋯! これは!」

「特に意味の無い目潰しだ! 俺が最後は決めてやるよ!」

「⋯⋯⋯⋯」


 ドスっと、鈍い衝撃が俺の身体に入った。見れば、鳩尾(みぞおち)に地面から突き出た岩が当たっている。


「⋯⋯ここまで、だな」


 もう身体がもたん。これが今の俺の限界ってやつだ。最後に、一言。


「俺には、一般人らしくできることをやればいいって、あの(ひと)に言われてるような気がするんだけどな」

「はいはい、翔太、お疲れ様⋯⋯コルトもな」

「んな!? 身体が⋯⋯」


 コルトが、自分の身体が封じられていることに気づいたらしい。⋯⋯そこに、シルフがダメ押しして、このよく分からない戦いの幕は閉じた。



細かい説明は次回する予定です!

今回もなんかノリが悪くてすみません。


とりあえず、ここまでお読みいただきありがとうございます!

感想、誤字脱字の指摘はお気軽にどうぞ。

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