4 主人公がゴネてゴネてなかったことにしようとしたけど逆にやる気を出す話
戦わないんですが、なんかシリアス風になってしまいました……。
「なあ⋯⋯ほんとにやるの?」
「当たり前です。さあ、構えて下さい」
うわあ、この感じ、俺が腹をくくらないと終わらないパターンだ。⋯⋯まあ、やるかやらないかは置いといて、
「ちなみにルールは?」
「どちらか一方が戦闘不能になるまで続けます。場所は今僕達が立っているここの通りです」
はぁ⋯⋯仕方がないな。
「それで、アフターケアとかあるのか? 俺は屋台、コルトは着任式があるわけだが」
そう、これが1番気になっていることだ。まさかエリシャが出張ってくるなんてこともないだろうに⋯⋯
「はい、その点においては問題ありません」
コルトがポケットから紙を取り出し、俺達に開いて見せた。俺達は、取り出された紙を見る。⋯⋯げっ。
「この通り、陛下からの協力許可も降りていますので、存分に暴れてもらって構いません」
「まじか⋯⋯」
あいつめ⋯⋯俺のスペックを知った上で承諾したのかよ。
「さあ、速く! 僕にはあまり時間が残されていないので!」
「そんな死ぬ前の人みたいなこと言うなよ⋯⋯あと、俺達の方はまだ準備が―――」
「終わってるよー! 翔太ー!」
後ろから夏蓮のそんな声が聞こえた。⋯⋯うそん。
コルトが心なしか得意げな顔だ。準備してくれてたのか、そこには感謝だな。
「⋯⋯くそ! 俺はやらないぞ! 別に俺はそんなことしにここに来たわけじゃないし! もし戦っても俺が瞬殺されて終わりだし!」
あと、出来れば誰かに見られながら戦いたくない。⋯⋯ちょっと言いすぎたか?
「⋯⋯それでも、ショウタには戦ってもらいます」
「⋯⋯えぇ」
ここまで言ったのになお食い下がるとは。
「そもそもですね、僕はあなたのことを認めていません」
「お、おう」
唐突の「認めてない」発言だな。これはなにか裏がありそうだ。
「なんですか、この世界の最高神に呼ばれ、愛され、挙句の果てに風の大精霊の初の契約者って⋯⋯」
うわっなんだその聞いただけでも設定もりもりなやつ⋯⋯俺ですね、はいすみません。ていうか、シルフの初めての契約者が俺って今知ったんだが。
「それなのに⋯⋯なんですか、普通の人間って⋯⋯それも、魔法すら使えない異世界の人間って」
「ぐっ⋯⋯」
結論が出るまでもう少しかかりそうなので適当に相槌を打っておこう。
「僕は、そんな神様から貰った恩恵だけの人間に負けた自分が許せません。⋯⋯さあ、もう一度勝負して下さい」
「⋯⋯ほう」
俺は特別頭が良い方ではないんだが、そんな俺でもコルトが伝えたいことがわかったぞ。
「つまり、ここで俺の努力を示せと?」
「はい」
「迷惑は承知の上で俺にそう願っている⋯⋯そういうわけだな?」
「⋯⋯⋯⋯」
黙秘か。⋯⋯コルトは嘘が下手だなあ。
(シルフ、質問に答えてくれ)
(なんだ?)
やっぱり⋯⋯あえて黙ってただろ、お前。と、思いながら俺は自分達の屋台の中へ瞬間移動する。
(つまり、あいつは『自分以外の他の大物が見てるここで力を示せ』って事だな?)
(⋯⋯そういうことになるな)
立てかけてあった木刀を手に取り、再びコルトと向き合うように瞬間移動する。
「いやー、もしもの時用に置いといて良かったよ。まあ、置いてなくても普通に取りに行けたけどね!」
「?」
怪訝な顔だな。いいぜ、
「その勝負、受けてたってやる⋯⋯ただし、俺がもし勝ったら⋯⋯なんでも言うことを聞いてもらうゾ?」
「い、いいでしょう。なんかちょっと鳥肌が立ったけど、僕が勝つので!」
ああ⋯⋯受けてしまった⋯⋯。
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次回でこんな空気はサラッと終わらせますよ!




