2 ろくなことがないという
「あ、やっと来た。もう⋯⋯遅いよ!」
「⋯⋯すまん」
俺は既に手続きを済ませて屋台の準備をしていた夏蓮に謝る。やっぱり遅すぎたか。
「ああ、そっち持つよ」
「うん、いくよ。⋯⋯せーの!」
重い横長のテーブルを運ぶ。⋯⋯本当に重いな!
俺と夏蓮、時々シルフで着々と準備を進めていっていると、
「大変だ! 翔太! 今すぐ俺を運営まで飛ばしてくれ!」
そんな、聞き覚えのある、多分厄介事ぐらいしか運んできた試しのない声が聞こえた。
(おい翔太、呼ばれてるぞ)
(⋯⋯⋯⋯ああ、うん。わかってる)
少し心の葛藤をね。
「翔太!」
「あいわかった! だが最低限の事情は説明してもらおうか! 魔王さんよぉ!」
⋯⋯なんか、涙が出てきた。魔王が俺を頼るということはつまりそういう事なんだが、それでもやっと男と話せたという感動は大きい。
「祭り参加者の約数千人に追われています!」
「⋯⋯ふざけんな!!!!」
⋯⋯なんか、涙が出てきた。いや、詳しい事情を聞けば多分魔王にほとんど比がないんだろうけども。
「任せろ! ぱっぱと送り出してやる!」
「すまん、頼―――!」
「「「居たぞ! 魔王だ!!」」」
「―――む⋯⋯あ」
「やべ」
見つかっちまった! まあそりゃそうだ、人数多いし⋯⋯。「逃○中」だったらとっくの昔に捕まっている人数だ。
「とりあえず急ぐか!?」
「いや待て翔太! このままここを離れると『魔王』の字が書いてあるあの屋台も危ないぞ!」
確かに。事情はよくわからないが、なんか八つ当たりで壊される可能性がある。
ちなみに今言ったのはシルフだ。俺達口調一緒でわかりずらいよね!
「なら、夏蓮も一緒に⋯⋯」
「いや、ボクはここで守りながら待つよ」
「何言ってんだよ! いくらレンでも数で押し切られちまうぞ!」
「ああ、俺も翔太の意見に賛成だ。相手の実力だって俺も詳しくはわかってないんだからな」
「でも⋯⋯」
ああ、もし屋台が壊されでもしたら本当に勘弁してもらいたい。⋯⋯が、今は人命が大事だ。俺は、自分にとっての優先順位はハッキリしている方だと自負している。
「⋯⋯うーん」
「どうしたんだよ?」
「みんな、お前には触れてるぞ?」
「すぐそこまで人波が迫ってきてるよ!?」
「いや、もう少し、もう少しだけ⋯⋯」
言い出しっぺなのに申し訳ないが⋯⋯直前までは悩ませてほしい。何かないのか? このまま行くと世紀末みたいな光景がここに広がりそうだ。
「うーん⋯⋯モヒカン、モヒカンだけは嫌だなあ」
「モヒカンってなんだよ!? ⋯⋯! あれは!」
魔王がツッコミと同時に顔を上げたので、どうやらなにかが見えたらしい。俺達も間髪入れずにそちらを向く。
「ちょっと待ったああああ!!!!」
「おお! あれは! いや、あいつは!」
空から見覚えのある小さなシルエットが降ってきた。
「話は聞かせてもらいました! ここを守れば良いんですね!?」
「ショタだ!」
「ショタだな」
「ショタじゃないか!」
「え、ショタ!?」
「ショタショタうるさい!! 僕はそんな歳でももうないですから!」
なんの縁かは知らないが、助けに来た(?)彼に対しての感想がショタ一択だったのは置いといて、今はとりあえず、
「じゃあここは任せた!」
「はい! 言っておきますけど、これは貸しですからね! そこの黒髪男2人組!」
なんかよくわからんが事態の収集が先だな。
俺達はその場を地の勇者見習い―――コルトに任せて、運営本部へと瞬間移動した。
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個人の感想ですが、やっぱり毎日書かないと感覚がわからなくなる気がします。
それはともかく、活動報告でも再開しようかなと思ったり、思わなかったり……。




