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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
『土の賢者』編 第3章
58/233

2 ろくなことがないという



「あ、やっと来た。もう⋯⋯遅いよ!」

「⋯⋯すまん」


 俺は既に手続きを済ませて屋台の準備をしていた夏蓮に謝る。やっぱり遅すぎたか。


「ああ、そっち持つよ」

「うん、いくよ。⋯⋯せーの!」


 重い横長のテーブルを運ぶ。⋯⋯本当に重いな!




 俺と夏蓮、時々シルフで着々と準備を進めていっていると、


「大変だ! 翔太! 今すぐ俺を運営まで()()()てくれ!」


 そんな、聞き覚えのある、多分厄介事ぐらいしか運んできた試しのない声が聞こえた。


(おい翔太、呼ばれてるぞ)

(⋯⋯⋯⋯ああ、うん。わかってる)


 少し心の葛藤(かっとう)をね。


「翔太!」

「あいわかった! だが最低限の事情は説明してもらおうか! 魔王さんよぉ!」


 ⋯⋯なんか、涙が出てきた。魔王が俺を頼るということはつまり()()()()()なんだが、それでもやっと男と話せたという感動は大きい。


「祭り参加者の約数千人に追われています!」

「⋯⋯ふざけんな!!!!」


 ⋯⋯なんか、涙が出てきた。いや、詳しい事情を聞けば多分魔王にほとんど比がないんだろうけども。


「任せろ! ぱっぱと送り出してやる!」

「すまん、(たの)―――!」


「「「居たぞ! 魔王だ!!」」」


「―――む⋯⋯あ」

「やべ」


 見つかっちまった! まあそりゃそうだ、人数多いし⋯⋯。「逃○中」だったらとっくの昔に捕まっている人数だ。


「とりあえず急ぐか!?」

「いや待て翔太! このままここを離れると『魔王』の字が書いてあるあの屋台も危ないぞ!」


 確かに。事情はよくわからないが、なんか八つ当たりで壊される可能性がある。

 ちなみに今言ったのはシルフだ。俺達口調一緒でわかりずらいよね!


「なら、夏蓮も一緒に⋯⋯」

「いや、ボクはここで守りながら待つよ」

「何言ってんだよ! いくらレンでも数で押し切られちまうぞ!」

「ああ、俺も翔太の意見に賛成だ。相手の実力だって俺も詳しくはわかってないんだからな」

「でも⋯⋯」


 ああ、もし屋台が壊されでもしたら本当に勘弁してもらいたい。⋯⋯が、今は人命が大事だ。俺は、自分にとっての優先順位はハッキリしている方だと自負している。


「⋯⋯うーん」

「どうしたんだよ?」

「みんな、お前には触れてるぞ?」

「すぐそこまで人波が迫ってきてるよ!?」

「いや、もう少し、もう少しだけ⋯⋯」


 言い出しっぺなのに申し訳ないが⋯⋯直前までは悩ませてほしい。何かないのか? このまま行くと世紀末みたいな光景がここに広がりそうだ。


「うーん⋯⋯モヒカン、モヒカンだけは嫌だなあ」

「モヒカンってなんだよ!? ⋯⋯! あれは!」


 魔王がツッコミと同時に顔を上げたので、どうやらなにかが見えたらしい。俺達も間髪入れずにそちらを向く。


「ちょっと待ったああああ!!!!」

「おお! あれは! いや、あいつは!」


 空から見覚えのある小さなシルエットが降ってきた。


「話は聞かせてもらいました! ここを守れば良いんですね!?」

「ショタだ!」

「ショタだな」

「ショタじゃないか!」

「え、ショタ!?」

「ショタショタうるさい!! 僕はそんな歳でももうないですから!」


 なんの縁かは知らないが、助けに来た(?)彼に対しての感想がショタ一択だったのは置いといて、今はとりあえず、


「じゃあここは任せた!」

「はい! 言っておきますけど、これは貸しですからね! そこの黒髪男2人組!」


 なんかよくわからんが事態の収集が先だな。


 俺達はその場を地の勇者見習い―――コルトに任せて、運営本部へと瞬間移動した。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

感想、誤字脱字の指摘はお気軽にどうぞ。




個人の感想ですが、やっぱり毎日書かないと感覚がわからなくなる気がします。

それはともかく、活動報告でも再開しようかなと思ったり、思わなかったり……。

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