1 会合①と②
「暑いな、おい」
「暑いね、うん」
俺とシルフと夏蓮は今、祭りの会場にいる。今は準備時間といったとこだ。ちなみに日本の時間は午後6時ほどだ。
俺は朝のうちから親に「友達の家で泊まってくる」と言って、そのまま夏蓮の自宅に瞬間移動し、ここに来るまでの時間を潰していた。⋯⋯正直、夏蓮と2人きり(?)になれたからと言って、特に良いことはなかった。夏休みの課題やらされたからね!
「とりあえずボクは手続き済ませて来るね!」
「おう、任せた⋯⋯⋯⋯はぁ」
気持ちを切り替えて、元気よく駆けていく夏蓮を見送って、俺は1つため息を吐く。
それにしても、暑い。異世界だから少しは過ごしやすい気候の場所を選んでくれているのかと思っていたのだが⋯⋯これは、地元と大差ない感じだ。
「じゃあ俺達も、屋台の場所に移動するか⋯⋯」
(そうだな)
事前に渡されていた地図を見て、祭りの会場を歩く、歩く、歩く。
「おっと、すみません」
「あ?」
地図を見ながら歩いていたため、目つきの鋭いお兄さんにぶつかってしまった。白髪で黒目で、俺よりやや背の高いお兄さんだ。⋯⋯いや、これは多分お姉さんだな。雰囲気が男勝りの夏蓮に似ているから!
「じゃあ僕はこれで」
面倒事の気配がしたので、俺はさっさとその場を後にしようと試みる。⋯⋯小心者でゴメンね!
「⋯⋯おい、あんた。ちょっと待ってくれよ」
「⋯⋯⋯⋯なんすか?」
なんだろうとドキドキしながら振り向くと、
「ここ、どこにあるんだ?」
彼女(?)地図を突き出し、その中のある1点を指さしていた。
「ああ、ここですか⋯⋯えーと、この先の十字路を左に曲がって、―――」
「⋯⋯⋯⋯」
えーと、大丈夫だろうか。表情が一向に変わらないんだが。
「⋯⋯っと、そんな感じです」
「⋯⋯ん。あ、ああ! サンキューな」
本当に大丈夫だろうか? しばらく彼女(?)を見ていることにしよう⋯⋯。
「いやそこ左だって!」
やっぱり大丈夫じゃなかった!
「いやーほんと悪いな。ここまで送ってもらっちゃって」
「いや、いいっすよ。それじゃあ!」
「ああ、またな⋯⋯若旦那」
? まあ、今はいいか。準備しねえとな!
「? なんだ、これ?」
俺が走って目的地へ向かっていると、地面に光り輝いている、小さな物体を発見した。
(お、珍しいな。これは契約の指輪の残骸だな)
(まじか⋯⋯確かに、俺のしている指輪とよく似ているような⋯⋯そうでもないような⋯⋯)
(⋯⋯ふむ、珍しい物だし、拾っておいた方がいいんじゃないか?)
(そうだな、後で落とし物として届けるか)
俺は指輪を拾い、ポケットに入れてから、再び走り出す。
「きゃっ!」
「ああ! すみません!」
しばらく走っていると、物陰から現れた人と、ぶつかりそうになってしまった。⋯⋯おお、金髪ロングで黄色い瞳の女の子だ。金髪⋯⋯異世界で初めて見たな。
「いえ、こちらこそ⋯⋯あの、この辺りで指輪を見ませんでした?」
「ああ、それだったら⋯⋯はい、こんなのですか?」
俺は先程拾った指輪をポケットから取り出す。
「そう! これです! あぁ⋯⋯ありがとうございます!」
「い、いえいえどうも」
こんなに喜ばれるとは、よっぽど大事な物だったんだろうな。
「それじゃあ俺はこれで!」
「え、あ、はい! ありがとうございました!」
俺はまたまた走る。もうすぐで着くはずだ。
いやー、今日の俺はいいことしまくってるな。⋯⋯ていうか、男性とは1度も話せてないんですがそれは。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
感想、誤字脱字の指摘はお気軽にどうぞ。
今回はいつもより中身のない内容ですみません!
次回はある程度進展があると思いますので、なにとぞご容赦のほどをよろしくお願いします。




