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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
『土の賢者』編 第2章
56/233

7 準備中



 気がつけば白い世界にいた。床も(そら)も全て真っ白な世界だ。

 俺はいつも通り呼ばれたんだなーと思いながらその場でつっ立っていた⋯⋯が、いつもと違う点が1つだけあった。

 ()()の姿がない。毎回毎回俺の目の前で幸せそうな顔をして(たたず)んでいたのだが。⋯⋯どこにいったのだろう。


「あれー、神さま?」

「はーい♡」

「うおわあ!?」


 呼んだ瞬間、俺は後ろから思いっきり抱きしめられた。


「びっくりした? いつもと趣向を変えてみたの!」

「うんびっくりした! だから離してくれませんか!?」

「うんうん、いっぱい話そうね〜」

「漢字が違う!」


 せ、背中に⋯⋯柔らかいものが当たってる⋯⋯⋯⋯。


「まあそれは冗談として、いい加減その呼び方やめてくれない?」


 意外にも速く拘束が解かれ、俺は逆に混乱してしまう。


「呼び方⋯⋯ですか?」

「うん、ちゃんと名前で呼んでよね」

「時空龍って?」

「そうじゃないの! 私にもちゃんとした名前があるんだから!」

「はあ⋯⋯じゃあそれは一体?」

「それを、翔太君が考えるんだよ?」

「え、ええ⋯⋯」


 予想外すぎる返答が返ってきた。名前か⋯⋯名前。


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」


 割と真面目に考える。「白」⋯⋯はなんか普通すぎるし。ううむ。⋯⋯そうだ、


「今何歳でしたっけ?」

「⋯⋯それを、女性に聞くの?」

「はい」


 俺は迷わず答える。女性とはいえ、パートナーみたいなものだから、知っておいて損はないはず。


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯せ、千歳です」

「⋯⋯はあ」

「やめて! その『なんだよBBAかよ』みたいな目やめて!」


 しまった。いじりすぎたな、瞳が潤んできている。とはいえこれなら簡単だ。


「じゃあ『チトセ』で」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」


 沈黙がしばらく続く。⋯⋯何故だ、「ええ〜適当すぎ!」と言われるのを覚悟して言ったんだが⋯⋯。まあ半分本気なんだけど。


「う、うん⋯⋯! じゃあ今日からそうやって呼んでね!」

「え。なんで泣いてるの!? 駄目だった!?」

「違う違う、嬉し泣き」


 え、ええ⋯⋯。名前言っただけで泣いちゃうとか、なんというか⋯⋯


「チョロイン?」

「べ、別にチョロくないから!」


 すごいチョロインっぽい反応な気がするが。


「ちなみに、名字は?」

「え⋯⋯」


 それは流石に考えてなかったなあ。どうしよう。


「冗談だよ。鈴木だもんね」

「う、うぐ⋯⋯。」


 なんだかんだ言ってチトセの方が1枚上手のようだ。⋯⋯まあそれは置いといて。



「それで、今日俺を呼んだのはなんでですか?」

「ああ、それはね〜翔太君もそろそろ次のステージに移行する時かなーと思って」

「次のステージ?」

「うん、『瞬間移動Lv2』ってね」


 次のステージって、能力のことか! ⋯⋯というか、


「俺の能力って向上性あったんですね」

「そりゃああるよ。魔王さんから言われなかった?」

「あ、ああ〜」


 そういえば言われたような、言われなかったような。


「ともかく、そういう事だから。明日にでも渡すね! ⋯⋯今日は、もう眠いから⋯⋯」


 そう言って、本当に眠たそうに(まぶた)(こす)るチトセ。彼女にも疲れはくるらしい。


「じゃあまた明日」

「うん、またね〜」




 瞬間移動Lv2か⋯⋯一体どんな能力なんだろう。⋯⋯と一晩中考えていたため、結局今日はよく眠れなかった。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

感想、誤字脱字の指摘はお気軽にどうぞ。


次回から章が変わります。

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