7 準備中
気がつけば白い世界にいた。床も天も全て真っ白な世界だ。
俺はいつも通り呼ばれたんだなーと思いながらその場でつっ立っていた⋯⋯が、いつもと違う点が1つだけあった。
彼女の姿がない。毎回毎回俺の目の前で幸せそうな顔をして佇んでいたのだが。⋯⋯どこにいったのだろう。
「あれー、神さま?」
「はーい♡」
「うおわあ!?」
呼んだ瞬間、俺は後ろから思いっきり抱きしめられた。
「びっくりした? いつもと趣向を変えてみたの!」
「うんびっくりした! だから離してくれませんか!?」
「うんうん、いっぱい話そうね〜」
「漢字が違う!」
せ、背中に⋯⋯柔らかいものが当たってる⋯⋯⋯⋯。
「まあそれは冗談として、いい加減その呼び方やめてくれない?」
意外にも速く拘束が解かれ、俺は逆に混乱してしまう。
「呼び方⋯⋯ですか?」
「うん、ちゃんと名前で呼んでよね」
「時空龍って?」
「そうじゃないの! 私にもちゃんとした名前があるんだから!」
「はあ⋯⋯じゃあそれは一体?」
「それを、翔太君が考えるんだよ?」
「え、ええ⋯⋯」
予想外すぎる返答が返ってきた。名前か⋯⋯名前。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
割と真面目に考える。「白」⋯⋯はなんか普通すぎるし。ううむ。⋯⋯そうだ、
「今何歳でしたっけ?」
「⋯⋯それを、女性に聞くの?」
「はい」
俺は迷わず答える。女性とはいえ、パートナーみたいなものだから、知っておいて損はないはず。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯せ、千歳です」
「⋯⋯はあ」
「やめて! その『なんだよBBAかよ』みたいな目やめて!」
しまった。いじりすぎたな、瞳が潤んできている。とはいえこれなら簡単だ。
「じゃあ『チトセ』で」
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
沈黙がしばらく続く。⋯⋯何故だ、「ええ〜適当すぎ!」と言われるのを覚悟して言ったんだが⋯⋯。まあ半分本気なんだけど。
「う、うん⋯⋯! じゃあ今日からそうやって呼んでね!」
「え。なんで泣いてるの!? 駄目だった!?」
「違う違う、嬉し泣き」
え、ええ⋯⋯。名前言っただけで泣いちゃうとか、なんというか⋯⋯
「チョロイン?」
「べ、別にチョロくないから!」
すごいチョロインっぽい反応な気がするが。
「ちなみに、名字は?」
「え⋯⋯」
それは流石に考えてなかったなあ。どうしよう。
「冗談だよ。鈴木だもんね」
「う、うぐ⋯⋯。」
なんだかんだ言ってチトセの方が1枚上手のようだ。⋯⋯まあそれは置いといて。
「それで、今日俺を呼んだのはなんでですか?」
「ああ、それはね〜翔太君もそろそろ次のステージに移行する時かなーと思って」
「次のステージ?」
「うん、『瞬間移動Lv2』ってね」
次のステージって、能力のことか! ⋯⋯というか、
「俺の能力って向上性あったんですね」
「そりゃああるよ。魔王さんから言われなかった?」
「あ、ああ〜」
そういえば言われたような、言われなかったような。
「ともかく、そういう事だから。明日にでも渡すね! ⋯⋯今日は、もう眠いから⋯⋯」
そう言って、本当に眠たそうに瞼を擦るチトセ。彼女にも疲れはくるらしい。
「じゃあまた明日」
「うん、またね〜」
瞬間移動Lv2か⋯⋯一体どんな能力なんだろう。⋯⋯と一晩中考えていたため、結局今日はよく眠れなかった。
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