5 熱いねィ!
「いやだ」
「まあまあそう言わずに、やってくれよ。な?」
魔王の「祭りで俺と一緒に店やってくんない?」という頼みを俺は問答無用で拒否した。
魔王の頼みは即答で拒否する。これ、この城で生活するための鉄則な。
「大丈夫だって、コミュ力のいる仕事じゃねえから」
「⋯⋯でもやらん」
「頼むって! 俺他に当ていないんだぞ!?」
「⋯⋯⋯⋯」
他に当てがいない⋯⋯か。なるほど。その心細い気持ちは理解できるな。
「仕方がない、条件付きでならいいぜ」
「おお⋯⋯!」
ふむ。この、救世主になった気分、悪くはないな。
「ということで、レン、翔太、よろしくな!」
「へいよ」
「うん」
俺が提示した条件は、夏蓮も一緒であること。彼女がいれば、もしもの時も安心だろう。まあ俺が話しかける間もなく、向こうから来られてしまったが。あと魔王、テンション高いな!
「えっと、早速だが翔太には鉄板料理をマスターしてもらう」
「鉄板料理?」
「そう、鉄板で作る料理な。焼きそばとかお好み焼きとか」
「⋯⋯また無茶を言いますなあ」
料理スキル⋯⋯というか料理経験皆無な俺にやらせる仕事だろうか。まあ接客とかじゃなくてホッとしてはいるが。ちなみに「異世界に焼きそばとかお好み焼きなんてあるのか⋯⋯」なんて話は過ぎた事だ。
「レンには呼び込みをやってもらうつもりだ⋯⋯だから、今日やってもらうことは、特にない!」
「ええ⋯⋯」
うわ、まじか。ということは夏蓮に練習風景を見てもらうわけなのか。⋯⋯なんかちょっと恥ずかしい。
―――魔王城、調理室にて。
鉄板が熱を放っている。熱い。俺熱いの苦手なんだよなあ。
とかなんとか思いつつも、俺は魔王から言われたマニュアル通りにやってみせる。正直味はそこまで重要じゃないんだろうな。特別な素材を使うわけでもないし。
「まあ店っつっても、祭りの屋台だから客から直に翔太に注文されるんだけどな」
「基本役割全部俺じゃねえか!!」
魔王の藪から棒な発言に俺は思わず突っ込んだ。
(翔太、気をつけろ、唾が飛ぶぞ)
(ああ、すまん)
ちなみに調理はシルフにも手伝ってもらっている。調理台まで背が足りないため、常に宙に浮いているが。
「なら、魔王は何をするんだよ」
「ふふん、それを訊いてしまうのか」
魔王の声は、何故か得意げだ。⋯⋯絶対訊いて欲しかったんだろうなー。
「俺は、自分達の屋台が他の屋台に埋もれないよう、パホーマンスするのさ!」
そこで、魔王の背中から無数の鳩⋯⋯いや、これは烏だ! なんで烏なんだ!
「おおー」
夏蓮がパチパチと拍手を送る。うん、余裕があるのは夏蓮だけってことだ。
「ちょっと待て、食べんなよお前ら!」
「そうだぞ! これは私のものだぞ!」
「いやシルフだけのものじゃないけどな!」
突如現れた烏達が鉄板の周りに集まってきた。
「あ、」
そして、そのうちの1羽がつまみ食いをしてきた。
「⋯⋯⋯⋯」
『⋯⋯⋯⋯』
目を瞑って、味わってそうな雰囲気を醸し出している。⋯⋯烏のくせに。
『ふむ、少し⋯⋯味が薄いですね』
「喋ったぁぁぁあ!?!?」
『あ、どうも。お初にお目にかかります。カラスです』
「あ、どうも」
ぺこりとお辞儀をされたため、条件反射で俺もし返す。
「こいつらはな、影を司る神の眷属だ。なに、最近やることなくて暇らしいんで、ちょっと呼んでみたのさ」
す、すげえ⋯⋯。あ、1羽魔王に反抗的なひとがいるや。頭をつついてるな。
「なるほど、ボク達だけじゃあ翔太達が作ったものを食べきれないから?」
「そういう事だ。⋯⋯ちなみにこいつら、こう見えてうるさい時はうるさいからな」
な、なるほど⋯⋯ていうか、俺以外みんな冷静だなおい。
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……予定通りに投稿出来なくてすみません。




