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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
『土の賢者』編 第2章
54/233

5 熱いねィ!



「いやだ」

「まあまあそう言わずに、やってくれよ。な?」


 魔王の「祭りで俺と一緒に店やってくんない?」という頼みを俺は問答無用で拒否した。

 魔王の頼みは即答で拒否する。これ、この城で生活するための鉄則な。


「大丈夫だって、コミュ力のいる仕事じゃねえから」

「⋯⋯でもやらん」

「頼むって! 俺他に当ていないんだぞ!?」

「⋯⋯⋯⋯」


 他に当てがいない⋯⋯か。なるほど。その心細い気持ちは理解できるな。


「仕方がない、条件付きでならいいぜ」

「おお⋯⋯!」


 ふむ。この、救世主になった気分、悪くはないな。






「ということで、レン、翔太、よろしくな!」

「へいよ」

「うん」


 俺が提示した条件は、夏蓮も一緒であること。彼女がいれば、もしもの時も安心だろう。まあ俺が話しかける間もなく、向こうから来られてしまったが。あと魔王、テンション高いな!


「えっと、早速だが翔太には鉄板料理をマスターしてもらう」

「鉄板料理?」

「そう、鉄板で作る料理な。焼きそばとかお好み焼きとか」

「⋯⋯また無茶を言いますなあ」


 料理スキル⋯⋯というか料理経験皆無(かいむ)な俺にやらせる仕事だろうか。まあ接客とかじゃなくてホッとしてはいるが。ちなみに「異世界に焼きそばとかお好み焼きなんてあるのか⋯⋯」なんて話は過ぎた事だ。


「レンには呼び込みをやってもらうつもりだ⋯⋯だから、今日やってもらうことは、特にない!」

「ええ⋯⋯」


 うわ、まじか。ということは夏蓮に練習風景を見てもらうわけなのか。⋯⋯なんかちょっと恥ずかしい。



 ―――魔王城、調理室にて。

 鉄板が熱を放っている。熱い。俺熱いの苦手なんだよなあ。

 とかなんとか思いつつも、俺は魔王から言われたマニュアル通りにやってみせる。正直味はそこまで重要じゃないんだろうな。特別な素材を使うわけでもないし。


「まあ店っつっても、祭りの屋台だから客から直に翔太に注文されるんだけどな」

「基本役割全部俺じゃねえか!!」


 魔王の藪から棒な発言に俺は思わず突っ込んだ。


(翔太、気をつけろ、(つば)が飛ぶぞ)

(ああ、すまん)


 ちなみに調理はシルフにも手伝ってもらっている。調理台まで背が足りないため、常に宙に浮いているが。


「なら、魔王は何をするんだよ」

「ふふん、それを訊いてしまうのか」


 魔王の声は、何故か得意げだ。⋯⋯絶対訊いて欲しかったんだろうなー。


「俺は、自分達の屋台が他の屋台に埋もれないよう、パホーマンスするのさ!」


 そこで、魔王の背中から無数の(はと)⋯⋯いや、これは(からす)だ! なんで烏なんだ!


「おおー」


 夏蓮がパチパチと拍手を送る。うん、余裕があるのは夏蓮だけってことだ。


「ちょっと待て、食べんなよお前ら!」

「そうだぞ! これは私のものだぞ!」

「いやシルフだけのものじゃないけどな!」


 突如現れた烏達が鉄板の周りに集まってきた。


「あ、」


 そして、そのうちの1羽がつまみ食いをしてきた。


「⋯⋯⋯⋯」

『⋯⋯⋯⋯』


 目を(つむ)って、味わってそうな雰囲気を醸し出している。⋯⋯烏のくせに。


『ふむ、少し⋯⋯味が薄いですね』

「喋ったぁぁぁあ!?!?」

『あ、どうも。お初にお目にかかります。カラスです』

「あ、どうも」


 ぺこりとお辞儀をされたため、条件反射で俺もし返す。


「こいつらはな、影を(つかさど)る神の眷属(けんぞく)だ。なに、最近やることなくて暇らしいんで、ちょっと呼んでみたのさ」


 す、すげえ⋯⋯。あ、1羽魔王に反抗的なひとがいるや。頭をつついてるな。


「なるほど、ボク達だけじゃあ翔太達が作ったものを食べきれないから?」

「そういう事だ。⋯⋯ちなみにこいつら、こう見えてうるさい時はうるさいからな」



 な、なるほど⋯⋯ていうか、俺以外みんな冷静だなおい。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

感想、誤字脱字の指摘はお気軽にどうぞ。


……予定通りに投稿出来なくてすみません。

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