2 このまま終わればいいんだけど
「母です」
「あ、ああどうも」
まじかよ。知り合いの身内と言っても俺にとっては赤の他人と同じだからな⋯⋯話しづらい。
「調停者と聞いてどんな変人なんだろうと会ってみれば⋯⋯なーんだ、普通にいい人じゃない。良かったわね、コレット」
「何が!?」
うん、それは俺も聞きたい。
「まあそれはそれとして、今日の私時間がないから、2人にアドバイスだけ言っておこうかな」
「は、はあ」
俺は困惑しながらも相槌を打つ。
「2人とも、もっと協力して戦いなさいな。どうやらチャイド様もコレットにはそういうのを期待しているみたいよ?」
協力と言ってもなあ⋯⋯。前衛と後衛に別れている作戦じゃあダメということだろうか?
「それじゃあ私はここで、シルフ様もごきげんよう。⋯⋯ダーリンとのデートに遅れちゃうわ!」
「ふんふーん♪」と鼻歌を歌いながら立ち去るコレットのお母さん。ダーリンて⋯⋯。
「ごめんなさい、うちの母親って⋯⋯色々となんかおかしくて」
「いや、全然別にそんなことはないよ。それより、次の場所に移ろうか」
「うん」
「で、結局あの人は何を伝えたかったんだ?」
場所を移して、今俺達は「最果ての地」と呼ばれるところに来ている。かっこいい名前が付いているが、暗雲立ち込める空に、草木が全く生えていない死んだ大地があるだけだ。殺風景とはこのことを言うのだろう。
「うーん⋯⋯私はだいたいわかってるんだけどね⋯⋯まあ、その時になったら伝えるわ。今は⋯⋯多分1番楽な素材集めだと思うから」
「うん、それは同感」
俺達が集めているのは、この地にある石ころだ。手のひらサイズの物ばかりで、とても軽い。表面から、気泡のようなものが入っているような様子も伺えない。中身は詰まっているが、その割には軽すぎる石ころだ。
俺が今言いたいのはただ一つ
(あー、木刀全く使えてねえー)
(別にいいだろ。そもそも剣技だって十分に教わっていないんだから⋯⋯)
う⋯⋯それを言われると、返す言葉もない⋯⋯。
「よし、注文通りの最果ての軽石20個、集め終わったな!」
「うん⋯⋯意外と早く終わったわね」
それじゃあ早く戻ろうか、なんかコレットの体調悪そうだし。
俺達はとりあえず、式典の会場へ移動して、軽石を届けた。
「まだ大丈夫って言ったからここに来たけど⋯⋯ほんとに大丈夫?」
「ええ、まだまだ私はいけるわよ!」
コレットが「まだ大丈夫」と言ったので、俺達は次の素材を取ろうと、ヴァルナ火山に来ている。ヴァルナ⋯⋯それっぽい名前だな。
「熱いなー」
「我慢しろ、今の私の能力ではこれが限界だ」
俺達は火山の中の、整備された道を通る。この道は、どうしてかは知らないが、比較的綺麗に整備されている。⋯⋯ちなみに、すぐ隣では溶岩が流れている。あっついな!
「すまんなコレット、手汗がやばくて⋯⋯」
「ううん、大丈夫」
より風の大精霊の恩恵を受けるために、コレットと俺は今手を繋いでいる。緊張するな!
「急げよ、翔太の意識が朦朧としてきた時点で詰みだからな」
指輪の中からシルフが声を発している。熱いからって引きこもりやがって!
「お、そろそろ目的地に着くぞ」
全身から汗を流し続けながら、俺達はついに火山の中心部に来た。
「⋯⋯⋯⋯うわあ」
そこで待ち構えていたのは、巨大な龍だった。言わずもがな、その姿を見た瞬間、俺はピタリと立ち止まった。
⋯⋯どうやら寝てるみたいだ。なら、このまま事を済ませられないだろうか。
「む、寝ているのか。おーい! 起きろ!! ヴァルナァー!!」
「ええ!?」
「ちょっ!?」
起こすの!? シルフ!?
「んん⋯⋯⋯⋯あっ⋯⋯」
ムクリと、龍は瞳を開けて、首を動かす。⋯⋯怖い。⋯⋯⋯⋯いや、待てよ。
「ヴァルナ、熱いから速くしてくれ」
「す、すみません! すぐ渡しますから!」
⋯⋯え。
「シルフのほうが立場が上なの? というか、あの龍とは戦わなくていいの?」
「当たり前だ。私は結構な位についているからな! あと、コレットは別としても、この素材集めは試練でもなんでもないからな、わざわざ力を示す必要はない⋯⋯と、時空龍がいたら言うだろう」
へえー。時空龍⋯⋯そういえば、この世界の龍は人語は操るし話は通じるしと、なかなか優しい生物なんだったな。
「すみませんすみません、今出してますから⋯⋯すみません」
「すげー謝るんだけど、この龍」
「なんか、いい意味で拍子抜けね」
結局、龍ことヴァルナさんから特製の火山岩を受け取り、俺達はそのまま解散した。
今日戦ってねえな! あと前々から思ってたけど数年ぶりに女の子と手繋いじゃったよ! ⋯⋯正直嬉しい。
地の文多めでなんかすみません。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
感想、誤字脱字の指摘はお気軽にどうぞ。
気づけば40ポイントを超えてる…………ありがとうございます。酔いが冷めないうちに、このまま頑張ります!




