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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
『土の賢者』編 第1章
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3 老人と孫



「今日はどういった目的でここに?」

「ええと⋯⋯まあ、野暮用です」


 俺は、隣に座っている老人と話している。たまにあるよね、電車とかバスの中で話しかけられること。

 ⋯⋯でも、今回はなんか違和感があるな。異世界だからか?


「そちらは?」


 俺はあえて話を続けることにした。残り時間はあと5分だが、今更ここを離れるのもどうかと思うからな。


「私は散歩ですよ。あとは、孫を見守るためと言いますか⋯⋯」

「へえー」


 俺は適当な相槌で会話を続ける。


「⋯⋯1つ、質問してもよろしいですか?」

「あ、はい。どうぞ」

「君には、与えられた役目を全うする自信がありますか?」


 そこで一瞬、線のように細いお(じい)さんの目が開かれた気がした。


「ええっと⋯⋯?」


 予想外の質問に俺は戸惑っていると、


「いい加減、暇なんだケド! ヒマヒマヒマヒマヒマヒマヒマヒマヒマヒマ!」


 突然お爺さんの俺と反対側の隣から子供が出てきて、駄々をこね始めた。

 見た感じ、シルフと同じぐらいの体格で、茶髪の女の子だ。⋯⋯この子が孫なのだろうか。


「⋯⋯ええっと?」

「なら、私と遊ぶか?」


 またしても予想外の出来事に俺は戸惑っていると、いつの間に現界したのか、俺のもう一方の隣にシルフが座っていた。


「うん! 遊ぶー!」

「はぁ⋯⋯仕方ないなぁ。こっちに来い」


 と言って、シルフが手招きする。⋯⋯契約のせいで、あんまり離れられないからな。




「何して遊ぶノ? 何して遊ぶノ?」

「知らん、自分で考えろ」

「えぇー、そんな⋯⋯冷たいナ〜もう!」


 すぐ近くで幼女2人の楽しそう(?)な会話を聞き流しながら、俺は質問の答えを練る。まあ、真面目に考えたが、ある程度は適当に応えようか。


「申し訳ないんですけど⋯⋯わかりませんよ、その時その時の気分によりますから。⋯⋯今は、その気はありますけどね」


 残念ながら、時空龍や魔王軍、そしてエリシャ達に色々と尽くしてもらって、この世界での役割をもらって、ここまで来たけど、まあ所詮(しょせん)俺は一般人⋯⋯ころころ気分が変わる平凡な人間ですから。


 いつしか、お爺さんは、俺を見定めようとしている⋯⋯そんな気がした。


「ふむ⋯⋯では、もうあと2つだけよろしいですか?」

「ええ、まあ」


 ここまできたらもうやけだ。恐らくコレットの方で土の大精霊は見つけてくれているだろう。


「君は、今の自分に、今の境遇に、満足していますか?」

「⋯⋯」


 まさか、こんな質問がくるとは⋯⋯これに対する俺の答えは1つ。


「してるわけないじゃないですか。まだまだまだまだ、上を目指しますよ」


 少し語気が荒くなってしまったかもしれない。あんまりにも威勢よく言ってしまったためか、お爺さんが驚いたように目を見開いている。

 一言、付け足しておこう。


「まあ、自分は恵まれてるし、今のままでも十分幸せなんだろうなと思いますけど」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ふむ、そうですか。では最後に、あなた、鈴木翔太の調()()()としての⋯⋯いや、1人の人間としての、モットーを教えてくれませんか?」


 モットー⋯⋯つまり座右の銘か。


「ええっと⋯⋯あるにはありますけど⋯⋯恥ずかしいんで、言いたくはないというか」

「翔太の理想はな〜全てをこうt―――もがっ!?」


 おおっと危ない。いつも通りシルフが隣でなんか口走っているではないか。


(言えるうちに言っておけ、翔太。相手は、お前の考えを笑うようなやつじゃないから)


 いつものように口を抑えていれば、黙っていてくれるだろうと思っていたが、今回はそういう問題でもないらしい。シルフがここまで言うのなら、きっと何かあるのだろう。

 はあ⋯⋯っとため息をついてから、俺は口を開く。


「全ての意見を肯定した上で、自分は最も良いと思った側に就くこと⋯⋯が、俺のちょうていしゃ?としての振る舞い方です」


 ああ、恥ずかしい。かっこつけみたいじゃないか。俺、あんまりそういうキャラじゃないのに


「なるほど、なかなかどうして、普通の人かと思っていましたが⋯⋯⋯⋯これはいい。あなたになら、孫を任せてもよさそうだ」

「え?」


 孫って⋯⋯シルフと一緒に遊んでる子のことか?


「あれ? シルフ、そこにいた子は?」

「? ああ、少し前からどっかに言ってしまったぞ。私が『そろそろコレットに会ってきたらどうだ?』と言ったらささっとな」

「⋯⋯へぇ」


 慌てて振り向くが、そこに先程までいたお爺さんの姿はなく、周りを見ても、彼の姿は確認出来なかった。


 ⋯⋯⋯⋯まさか。俺に、初めからあった違和感は⋯⋯。


「じゃあ、今の子は⋯⋯」

「ああ、土の大精霊、チャイドだ」

「あのお爺さんは?」

「恐らく、コレットの祖父だろう。そして⋯⋯元土の大賢者だ」

「えぇ⋯⋯えぇ⋯⋯」


 そういうの、先に言ってよね!



ここまでお読みいただきありがとうございます!

色々と喋っていましたが、要するに「コレットを頼んだよ」ということです!

感想、誤字脱字の指摘はお気軽にどうぞ。


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