4 恐怖と絶望と地獄を見てもなお……
初めからギャップが凄いですが、最後まで読んでいただけたら幸いです。
⋯⋯地獄を見た。
魔王軍と名乗る者達に蹂躙されていく都市。ある父親は母親に子供を預け、他の人達を救いに行った。その母親は子供達を安全な場所へ送るために、追ってきた敵を足止めした。⋯⋯その後の2人がどうなったのか俺にはわからない。
生かされたのは、数人の子供だけだった。
だから、彼は勇者と成れるのだろう。だから、死のリスクを知っていてまで、ここまで来たのだろう。
魔王軍に復讐するために。
⋯⋯でも、それは叶わない。だって、
「俺が、止めるからな」
「それが最後の言葉でいいんですね?」
「お前の盛大な勘違いを正すために、戦うことにした」
俺は直立不動のまま、自分語りをする。何故かというと⋯⋯時空龍から一向に神格が送られてこないから!
「お、おらあ⋯⋯かかってこいよお」
ポーカーフェイスでいきたかったが、俺には不可能だったらしい。すでに逃げ腰だが、なんとか少しづつ前に出る。
「⋯⋯呆れた。魔王城での最初の相手がこんなやつだなんて」
「あ? 今なんつ―――」
俺が若干コルトに苛立ちを覚えたその時、
「⋯⋯かっ⋯⋯!?」
コルトが槍を俺の心臓に向けて突き放った。
俺はあまりの突きの勢いに、容赦なく門の横の壁に叩きつけられた。そして、俺の身体はそのままドサリと崩れ落ちる。
⋯⋯地獄を見た。いや、絶望か?
「みんな、1つだけ聞いてほしい。この戦いは、はじめから負けが決まっている戦いだ。その時どうなるかは俺でもわからない。⋯⋯でも、それでも、俺と共に来る気はあるか?」
その男の自信のない投げかけに、城にいた全ての者が賛同した。
何度も殺し、何度も殺された。魔王軍は不死者の集団で、結果的に、数多の選択と、未来を切ることになった。
「後悔はしてないよ⋯⋯でも、もう少しだけこのままでいさせてほしい」
「はい」
そう言って、子供のように、最愛の妻の腕の中で何度も泣いていた。
100年前、魔王軍はダイア国と戦い続け、そして敗れた。⋯⋯⋯⋯この異世界の全てのために。
最初の1週間で、俺はこれを夢という形で見させられた。そして毎回最後に問われるんだ。『お前はこれを背負えるか?』と。
当然、俺は「保留で」と答えて、昨日まで逃げ続けて来た。
だけど、昨日コルトの過去を垣間見て、俺は1つ宣言した。
「魔王だろうが勇者だろうが賢者だろうが女王だろうが神様だろうが、意地でも俺がなんとかしてやる」と。
そして最後には⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
「みんな揃ってハッピーエンドってなぁ!!!!」
そう言って、俺こと鈴木翔太は、勢いよく立ち上がる。
「な!?」
コルトが驚いた顔をしてこちらを見ている。なかなか仰々しい反応で、わざわざ叫んで立ち上がった甲斐があったというものだ。
「槍使いは凡人を心臓一突きで殺しにくるって信じてたよ」
俺はアニメや漫画でよくある服に付いたほこりをはたいて落とす動作をする。⋯⋯このあとも汚れるからどうせ意味ないんだけど。
「とりあえず、お前は1発殴っとかなきゃ気が済まない」
そう言って、俺は片手を突き出し、半身になって構える。俺は生意気な年下が嫌いだからな。
「いいでしょう⋯⋯次は、他の急所を狙うだけです」
「一般人代表として、最後まで足掻いてやるよ」
緊張も不安もいい具合に打ち解けてきた。⋯⋯これは勝つる!
『君の、その言葉が聞きたかった!』
「うお!?」
突然、どこならともなく声が響き。俺の中から活力が一気に湧き上がってきた。心なしか、身体が光っているように見えるな。
⋯⋯とは言ったものの、すぐに光は消え、俺の中に残ったのは、湧き出た活力のみになった。まあ、これが1番凄いやつなんだけど。
「神格キターーーー!!」
(やっと来たか。遅かったな⋯⋯とはいえ、これでなんとか互角の戦いが⋯⋯こ、こら翔太! 調子に乗ってスキップしだすんじゃない! 戦闘中だぞ!?)
「な、なんであんなのに神格が⋯⋯?」
そこ、「あんなの」とか言わない。舞い上がっててもちゃんと聞いてるからな。
よし、これでいつも通りのノリでいけるな! ⋯⋯いけたらいいなあ。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
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20ポイント超えました! ありがとうございます。
これからも頑張っていこうと思います。……め、目指せ30ポイント(?)




