3 話しても多分わからない
(絶対おかしいって、あのインターホン故障してるよ)
(落ち着け、敵の罠かもしれないだろ)
(お前こそ落ち着け、あんな怪しいの押したやつらがすることが罠だなんて思えねえよ)
真面目(?)な会話をしながら門前まで来た。正確には門裏? いや、そんな言葉はないか。
「さて⋯⋯」
俺は1度深呼吸し、エリシャから貰ったお守りを左胸の裏ポケット(?)に入れる。
(どうしてそこなんだ?)
(心臓狙われた時用にな、確か頭脳は大人な探偵もこれで1回救われたことがあったはず⋯⋯)
古いネタかもしれないが⋯⋯そもそも落としたくないし、1番安全なここに入れておいて損はないだろう。中に輪っかの形のした硬い物が入ってたんだから、これはきっと伏線だ。
「伏線と言えば⋯⋯1つ、言っておくことがあったんだった」
(ん? なんだ?)
「俺、この戦いが終わったら本気出すんだ⋯⋯」
(今出せよ!?)
「はは⋯⋯最善は尽くすよ」
シルフに突っ込まれて、いい具合に緊張を解せたので、俺は躊躇なく門を開けた。
開けた先にいたのは、未来予知通りのメンツだった。身長低めの、まだあどけない感じのする地の勇者(見習い)⋯⋯コルト・エルドラドと、そのお目付け役らしい土の賢者(見習い)のコレット・アガルダだった。
「ようこそいらっしゃいました」
翔太らしくないと言われそうだが、俺は割り切って敬語を使う。⋯⋯こういうのは悪役側から切り出すべきだと相場が決まっている。俺の機嫌が悪かった場合、なんなの? あんたらコミュ障なの? とわけのわからないことを喚き散らしていただろう。
「ずっと気になっていたんですけど、あなたは魔王軍の⋯⋯いや、魔王のなんなのですか?」
ほら来た。愛用の武器らしい槍を俺の喉元に向けながら脅してきやがった。年下の男からそんなことをされているのが何となく嫌だったので、煽っておこう。
「その前に素性ぐらい話したらどうなんですか? 一応初対面なんですけどぉ〜」
そもそも、フローラさんの未来予知がなかったら、絶海の孤島に突然現れた2人組なんだが⋯⋯。まず「絶海の孤島」の時点で困った案件なんだけどね!
「別にそんなことはいいでしょ? 例え知っていようが知らなかろうがどうでも⋯⋯」
コレットの突き放すような一言に、俺は救いを求めるような目を向ける。
「いいと思ってたんだけど⋯⋯『試練』なんだから、何か一言断りを入れといたほうがいいんじゃない?」
おお⋯⋯。助かった。⋯⋯⋯⋯⋯⋯?
(試練とは?)
(あれ? 言ってなかったか? 神が与えた試練をクリアすることで特別な報酬を貰える試練制度について)
(言ってたっけな〜)
(もっと言うと、その試練制度を魔王城も導引していてな)
(ああ、そういう⋯⋯)
何となく、わかったぞ。
「つまり、お前らはその試練ってやつでこの城に入ろうって魂胆なんだな」
(おお、よくわかったな)
今はほどよく頭が冴えてるからな。⋯⋯そしてここで1つ、疑問が生じる。
(試練って⋯⋯誰が担当するの?)
(⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯翔太だな)
だろうね。わかってた⋯⋯わかってたよ! だったらだったで好き勝手やらせてもらうからな!
「まあいいや! 2人とも試練受けるんだな!?」
「「う⋯⋯うん」」
俺は食い気味に2人に尋ね、
「では握手をした後、登録を行うので素性をある程度聞かせてもらいまっす!」
(無理にキャラ作らなくても⋯⋯)
止めてくれるな、もう俺はこのままよくわかんないノリでいくと決めちまったからな。
「⋯⋯すみません。握手をする意味はあるんですか?」
コルトが俺の行動に疑問を覚えたのか、質問を出てきた。⋯⋯鋭いな。だが、俺はその斜め上を行くぞ。
「そりゃあゆくゆくは勇者、賢者となるお二人ですから、握手をしない道理がないでしょう?」
と言って、俺はコレットの方へ歩み寄る。そして手を出して、小声で先に謝っておく。
「こんなことになってごめん⋯⋯」
「⋯⋯いいよ、あたしもできることなら協力するから」
「そうか⋯⋯」
その瞬間、俺は思わずニヤついてしまった。
⋯⋯その言葉が聞きたかった。
「じゃあ、悪いけどちょっと寝ててくれ」
「え?」
差し出された手のひらに、俺はできるだけ自然な動作でスタンプを押した。
そしてそのまま城内に瞬間移動する。
「この人頼む! 一時的に動けないだけだから⋯⋯後でまた謝るから!」
「え、あ、うん!」
待機していた夏蓮にコレットを預けて、俺はもう一度門前に飛ぶ。
「⋯⋯どういう事だ」
「まあ、そんな怒んなって」
お前とは、話し合いで解決できる気がしないからな。
俺達の戦いは、これからだ!
「スタンプ」は1章の5話目で出てきました。
昨日は更新出来なかったので、今日はまた夜に更新しようと思います。……出来なかったらすみません。
※追記 できませんでした。本当にすみません。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
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