2 始まる聖戦と極まる混沌
あのくだりの伏線、貼っとくの忘れてた……。
読んでいただけたら幸いです。
『いいですか。いつ寝首をかかれるかわからないんですから、私が迎えに行けるようになるまでそちらで耐久してて下さいよ?』
耳に付けた装置から聞き慣れた声が頭に直接送られてくる。
「わかってるって、そんなに心配すんなよ」
俺は彼を安心させるように落ち着いた口調で答える。ここはそこそこの高さのある山々と、それらに至る所から生えている緑の木々しかない、とりあえず「大自然」な場所だ。
『用心せずしてこの軍の参謀なんて務まりませんよ!』
ギムギスが声を大にして叫んできた。頭がグラグラするからやめとくれ⋯⋯。
「まあいいや、それじゃあいつものやついっとこうか」
『?』
俺は少しだけ間をあけ、次に繋がる大事な、大事な伏線を貼ることにした。
「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ⋯⋯」
『誰とですか、ていうかもうしてるでしょうが!』
「やったか!?」
『まだ現れてもいないだろ!』
「別に、あれを倒してしまっても⋯⋯」
『構わないからもう切るぞ!』
この参謀、俺に対してはそこまで忠誠心がない気がするのは俺だけか? ⋯⋯時々敬語じゃなくなるし。
「まあいいや⋯⋯城で言いそびれたけど、必ず勝ってやり遂げようぜ」
『ええ、当たり前です』
ギムギスから返答がきた瞬間、大地が大きく揺らぎ始めた。俺はその鳴動にかき消されないように声を張って言う。
「どうやら開戦みたいだ! んじゃあな!」
『はい、健闘を祈ります』
回線が切れたのを確認して、俺はうちの城に勝るとも劣らない巨躯の龍を見上げる。⋯⋯先程眺めていた山の1つが、実は地龍の身体だったようだ。
「さあて⋯⋯全力で逃げ回りますかねえ!」
地龍の咆哮を合図として、俺こと魔王の戦いは幕を開けた。
「⋯⋯おい、宿題終わっちまったぞ」
俺が宿題をやり始めて既に4時間が経過した。
「ありゃ、まあ昨日出されたのは量が少なかったからね。⋯⋯あとは暗記だけ?」
「おう」
まだなのか? というか今日誰も来ないんじゃないのか?
(明日の間違いとかない?)
(それは流石にないな、魔王が地龍を討伐しに行く日に来るはずだから)
「うーん⋯⋯エリシャにでも聞いてみるか」
「あいつに聞いても、分かるのか?」
「エリシャって、あの女王様?」
「ああ」
そう言って、先日交換したばかりの連絡先にメッセージを送る。
「⋯⋯お、」
「どうかしたの?」
「『今からこっちに来て。渡したいものがある』⋯⋯だってよ」
「へー、エリシャってこういうのだと口調が変わるんだな」
「ああ、オンラインゲームの癖っぽいな」
俺は立ち上がって、夏蓮に一声かける。
「んじゃ、ちょっくら行ってくるから、留守番頼むわ」
「うん、任せて」
シルフが側にいるのを確認し、俺はエリシャの部屋に瞬間移動した。
「おお⋯⋯来たか」
「おう、それで、渡したいものって?」
「ああ⋯⋯」
そこでエリシャはポケットから何かを取り出す。
「これじゃ、これこれ」
俺達はエリシャから受け取ったそれを確認する。
「⋯⋯お守り?」
「ああ、妾お手製安全祈願お守りじゃ!」
「おお! これは⋯⋯」
シルフが、関心したような声を上げた。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
縫い目に、人の温もりを感じる。「わざわざ1から作ってくれたのか?」なんて質問は野暮だろう。
「ありがと⋯⋯俺、頑張るよ」
「うむ! 必ず勝てよ! 妾の下僕なのじゃからな!」
いや、それはちょっと⋯⋯。
「それじゃ、また夜に」
「ああ!」
俺はエリシャに一旦別れを告げてから、魔王城へと戻った。
「早かったね」
「まあな」
「⋯⋯よし、準備は万端だ! あとはインターホンが鳴るのを待つのみ!」
シルフが気持ちを切り替えるように覇気のある声を上げた。
「インターホン、ねえ⋯⋯⋯⋯」
「あれ、使われるかな?」
魔王が3日前ぐらいに設置したインターホン、正門の脇に付いているが⋯⋯果たして使われる時がくるのだろうか。
「多分奇襲してくるでしょ。いくら勇者を志すものでも流石に―――」
ピンポーン⋯⋯⋯⋯。
「鳴った!? 今鳴った!??」
「鳴ったな」
「うん鳴ったね」
俺と2人の温度差が凄いな。切り替えが速いということかな。⋯⋯まあ、いいや。
「よっしゃ、それじゃあ行ってくる」
「うん、行ってらっしゃい」
俺は、今日何回「行ってくる」と言うのだろうか? と思いながら⋯⋯エリーに貰ったお守りを握りしめながら、正門へと向かった。
いよいよ開戦です!
なんとか7日中に更新出来ました!
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