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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
4章
35/233

2 始まる聖戦と極まる混沌

あのくだりの伏線、貼っとくの忘れてた……。

読んでいただけたら幸いです。



『いいですか。いつ寝首をかかれるかわからないんですから、私が迎えに行けるようになるまでそちらで耐久してて下さいよ?』


 耳に付けた装置から聞き慣れた声が頭に直接送られてくる。


「わかってるって、そんなに心配すんなよ」


 俺は彼を安心させるように落ち着いた口調で答える。ここはそこそこの高さのある山々と、それらに至る所から生えている緑の木々しかない、とりあえず「大自然」な場所だ。


『用心せずしてこの軍の参謀なんて務まりませんよ!』


 ギムギスが声を大にして叫んできた。頭がグラグラするからやめとくれ⋯⋯。


「まあいいや、それじゃあいつものやついっとこうか」

『?』


 俺は少しだけ間をあけ、次に繋がる大事な、大事な伏線を貼ることにした。


「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ⋯⋯」

『誰とですか、ていうかもうしてるでしょうが!』

「やったか!?」

『まだ現れてもいないだろ!』

「別に、あれを倒してしまっても⋯⋯」

『構わないからもう切るぞ!』


 この参謀、俺に対してはそこまで忠誠心がない気がするのは俺だけか? ⋯⋯時々敬語じゃなくなるし。


「まあいいや⋯⋯城で言いそびれたけど、必ず勝ってやり遂げようぜ」

『ええ、当たり前です』


 ギムギスから返答がきた瞬間、大地が大きく揺らぎ始めた。俺はその鳴動にかき消されないように声を張って言う。


「どうやら開戦みたいだ! んじゃあな!」

『はい、健闘を祈ります』


 回線が切れたのを確認して、俺はうちの城に勝るとも劣らない巨躯(きょく)の龍を見上げる。⋯⋯先程眺めていた山の1つが、実は地龍の身体だったようだ。


「さあて⋯⋯全力で逃げ回りますかねえ!」


 地龍の咆哮を合図として、俺こと魔王の戦いは幕を開けた。











「⋯⋯おい、宿題終わっちまったぞ」


 俺が宿題をやり始めて既に4時間が経過した。


「ありゃ、まあ昨日出されたのは量が少なかったからね。⋯⋯あとは暗記だけ?」

「おう」


 まだなのか? というか今日誰も来ないんじゃないのか?


(明日の間違いとかない?)

(それは流石にないな、魔王が地龍を討伐しに行く日に来るはずだから)


「うーん⋯⋯エリシャにでも聞いてみるか」

「あいつに聞いても、分かるのか?」

「エリシャって、あの女王様?」

「ああ」


 そう言って、先日交換したばかりの連絡先にメッセージを送る。


「⋯⋯お、」

「どうかしたの?」

「『今からこっちに来て。渡したいものがある』⋯⋯だってよ」

「へー、エリシャってこういうのだと口調が変わるんだな」

「ああ、オンラインゲームの癖っぽいな」


 俺は立ち上がって、夏蓮に一声かける。


「んじゃ、ちょっくら行ってくるから、留守番頼むわ」

「うん、任せて」


 シルフが側にいるのを確認し、俺はエリシャの部屋に瞬間移動した。




「おお⋯⋯来たか」

「おう、それで、渡したいものって?」

「ああ⋯⋯」


 そこでエリシャはポケットから何かを取り出す。


「これじゃ、これこれ」


 俺達はエリシャから受け取ったそれを確認する。


「⋯⋯お守り?」

「ああ、(わらわ)お手製安全祈願お守りじゃ!」

「おお! これは⋯⋯」


 シルフが、関心したような声を上げた。


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」


 縫い目に、人の温もりを感じる。「わざわざ1から作ってくれたのか?」なんて質問は野暮(やぼ)だろう。


「ありがと⋯⋯俺、頑張るよ」

「うむ! 必ず勝てよ! 妾の下僕なのじゃからな!」


 いや、それはちょっと⋯⋯。


「それじゃ、また夜に」

「ああ!」



 俺はエリシャに一旦別れを告げてから、魔王城へと戻った。



「早かったね」

「まあな」

「⋯⋯よし、準備は万端だ! あとはインターホンが鳴るのを待つのみ!」


 シルフが気持ちを切り替えるように覇気のある声を上げた。


「インターホン、ねえ⋯⋯⋯⋯」

「あれ、使われるかな?」


 魔王が3日前ぐらいに設置したインターホン、正門の脇に付いているが⋯⋯果たして使われる時がくるのだろうか。


「多分奇襲してくるでしょ。いくら勇者を志すものでも流石に―――」


 ピンポーン⋯⋯⋯⋯。


「鳴った!? 今鳴った!??」

「鳴ったな」

「うん鳴ったね」


 俺と2人の温度差が凄いな。切り替えが速いということかな。⋯⋯まあ、いいや。


「よっしゃ、それじゃあ行ってくる」

「うん、行ってらっしゃい」


 俺は、今日何回「行ってくる」と言うのだろうか? と思いながら⋯⋯エリーに貰ったお守りを握りしめながら、正門へと向かった。



いよいよ開戦です!

なんとか7日中に更新出来ました!


ここまでお読みいただきありがとうございます!

感想、誤字脱字の指摘はお気軽にどうぞ。

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