4 突如として始まる観光(?)
魔王から来たメッセージには驚きを隠せなかったが、それでも俺は出された料理を完食する。
「食べ終わるの早いですね、ショータさん」
「え⋯⋯ああ、はい。品がなくてすみませんね」
(ほら、シルフも速く食え、騎士が来る前に移動するぞ)
(わかってる! ⋯⋯でもせっかくだから味わって食べたいんだ。あと、移動するって、コレットはどうするんだ?)
(一緒に着いてきてもらおう)
俺は自分でも自信を持って言えてしまうほどに、品の欠片も無く、急いで完食した。味は⋯⋯まあ、美味かった。⋯⋯ただ、一庶民の俺にはそれ以外の感想はない。
騎士が来たら、コレットも恐らく彼らに協力するだろう。賢者とは普通「そういうもの」らしい。俺達が魔王達の関係者だと知られたら元も子もない⋯⋯と思う。だからその前に布石を打つ。
「あの、コレットさん。この施設にはよく来るんですか?」
「ええまあ、ここは色々と便利ですからね」
「へえー。じゃあ、少し案内してもらえませんか?」
「⋯⋯え?」
⋯⋯むむ。 まずかったか?
「ほ、ほら! 俺達田舎から来てて、一通り見ましたけど、ここについてまだよく分かってなくて!」
これは一気に畳み掛けるしかないな。実際俺達は施設内を散策してきたが、全てを見てきたわけではないし、お金を消費してまでなにかをしてきたわけじゃないし。
「⋯⋯いいですよ。このあとなにするか決めてなかったですし」
「あ、ありがとうございます! さあシルフ、早速行くぞ!」
「おま⋯⋯ちょっと待ってくれ」
「な、なにもそこまで急がなくても⋯⋯」
コレットに若干引かれながも俺はシルフを急かす。⋯⋯もちろんシルフにはあとで謝っとくが。
⋯⋯数分後。
「よし! 翔太、コレット行こうか!」
「よっしゃ、じゃあまずはコレットさんのおすすめの場所に行きましょう!」
「あ、はい。では行きましょうか」
俺とシルフは逃げるように料理店を出た。コレットも俺達に続いて出てきた。
⋯⋯そして、俺達の異世界観光が始まった。ハハッ⋯⋯今更すぎて泣けてくる。
「あれが今話題のスイーツ屋台、ここが夜になると賑やかになる居酒屋ね」
「へ〜、あの屋台気になってたんだ。今度行くか!」
「わあったよ。⋯⋯コレットも一緒ならな」
だってなんか恥ずかしいし。
「え⋯⋯?」
「あ、だ、だめだった? ⋯⋯ていうか、呼び捨てと同伴どっちがだめなんすか?」
ちくしょう。緊張して口調が安定しない。やっぱり俺に陽キャラみたいなノリは無理だったのか⋯⋯?
「ううん、どっちもいいけど。それならあたしも口調変えるよ?」
「あ、ああ、大歓迎だ」
ぐぬぬ⋯⋯。こうしてみると普通の女の子よりエリシャや時空龍みたいな変人の方が話やすかったのかも。
まあ、それはこれから慣れていくとして、今は無理矢理にでも口調を揃えて話していくしかないか。
(翔太⋯⋯コレットの後ろを見てくれ)
シルフに言われ、その方向を見ると、
(うわ⋯⋯あの服装は騎士か)
騎士が2人、巡回中のようで、こちらに向かって来ている。あの様子だとここにコレットがいることはバレてないはず⋯⋯!
「こ、コレット! 次はあっちの方を見てみたいな!」
「きゃっ!? ちょっとショータ!?」
俺はコレットの手を引っ張って、強引に移動を開始する。
「し、シルフはなにか食べたい物ないか?」
「あ、あれがいいな! 新発売のやつ!」
「え、ええ⋯⋯?」
こうして、コレットを振り回しながら、俺達の異世界観光は進んでいった。
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今回ちょっと短くてすみません。




