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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
3章
28/233

3 高!!!!



「すみません、土の賢者のコレット・アガルダさんですか?」


 俺はできるだけ自然な感じで土の賢者⋯⋯もとい、コレットさんに近づき、声をかけた。


「え⋯⋯ええ! はい、あたしがコレットです!」


 彼女は一瞬驚いたようだが、すぐに目を輝かせて返答した。⋯⋯よしよし、いいんじゃないか?


「会えて光栄です! 握手してもらってもいいですか?」

「もちろんです!」


 事前に調べた通りだな。



 土の賢者見習いコレットは、土水火の三大賢者の1つの家系とは思えないほどの平凡さで、スター性というのがあまりなく、外で声をかけられることが少ないらしい。

 彼女自身「普通」すぎることは気にしているらしく、試行錯誤した結果、素の口調が人と少し違ったり、愛用している武器も賢者らしからぬ物らしい。



 それはさておき、


「あの⋯⋯もしよろしければ相席してもいいですか? 俺、コレットさんをここで見かけたっていう情報を聞きつけて、来たんです」


 よしよし、昨日練習した甲斐(かい)があったな。ここまで噛まずに言えてる。これで了承してもらえれば完璧だ。


「! ⋯⋯いいですよ。丁度1人でここにいて暇だったので」


 1人⋯⋯か、明日から魔王城へ出発するのにか⋯⋯? まあ相席出来たからいいか。


「では失礼して⋯⋯。⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

「? どうかしましたか?」


 ⋯⋯テーブルの下に、シルフが現界していた。


(なんで出てきてるんだよ! 風の大精霊(おまえ)がいると怪しまれるかもしれないだろ!?)

(ここはリスクを犯してでも翔太のフォローに回ろうと思ってな⋯⋯)


 ジュルッ。


「お前、飯食いたいだけだろ!?」

(し、翔太! 声に出てるぞ!)

「⋯⋯あ」


 しまった。慣れない環境でツッコミなんてするべきじゃなかったようだ。


「あの⋯⋯どうかしましたか?」

「ああ⋯⋯その、実は連れがいまして」

「よっと! それじゃあ自己紹介といこうか」


 シルフが下からぬっと飛び出してきて場を仕切り始める。


「こいつは翔太、元ただの人間だな、それで私がシr―――もがっ!?」

(お前なに口走ってるんだよ! 『シルフ』ってよくある名前なのか!?)

(むぐぐ⋯⋯⋯⋯ないな)

「ゴホン! ま、まあ、私のことは後にして⋯⋯」

「は、はあ⋯⋯」


 まずいな⋯⋯先程からの行為で、不審がられてしまっている。ここはなんとか流れを変えないと!


「と、とりあえず俺ら料理頼みますね! ⋯⋯⋯⋯て、高!!?」


 わかっちゃいたけど、やっぱりそこそこの値段はするのね。


「私これがいいー!」

「どれどれ⋯⋯うわあ⋯⋯」


 ちょ⋯⋯シルフ、それ1番高いやつじゃないか! ⋯⋯まあいいけど。


「へいへい、じゃあ俺はこれでいいや」


 俺は1番安い物を頼むことに決める。⋯⋯あとでお釣りでなんか買おう。


「ふふっ⋯⋯なんか、兄弟みたいですね」


 おぉ⋯⋯笑ってもらえた。この調子で好感度を上げていきたいところだな。


(翔太、向こうのテーブルを見ろ)


 シルフが目で示した方向を見ると、


(なんだよ⋯⋯⋯⋯なんだよ)


 魔王御一行様がいた。


「こ、コレットさんはなにか食べたんですか?」

「いいえ、ここに来たはいいものの全然喉に通らなくて⋯⋯」

「そ、そうですか⋯⋯」


 くそっ! なんかむっちゃ恥ずかしい! ⋯⋯ていうか、魔王捕まったんじゃあなかったのかよ。



 俺が魔王達の方を気にしながらコレットと交流していると、俺の端末にメッセージが送られてきた。すみません、と断ってから見てみると⋯⋯


『現在、騎士団から逃亡中!』


 ⋯⋯⋯⋯マジで?



ここまでお読みいただきありがとうございます!

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