3 高!!!!
「すみません、土の賢者のコレット・アガルダさんですか?」
俺はできるだけ自然な感じで土の賢者⋯⋯もとい、コレットさんに近づき、声をかけた。
「え⋯⋯ええ! はい、あたしがコレットです!」
彼女は一瞬驚いたようだが、すぐに目を輝かせて返答した。⋯⋯よしよし、いいんじゃないか?
「会えて光栄です! 握手してもらってもいいですか?」
「もちろんです!」
事前に調べた通りだな。
土の賢者見習いコレットは、土水火の三大賢者の1つの家系とは思えないほどの平凡さで、スター性というのがあまりなく、外で声をかけられることが少ないらしい。
彼女自身「普通」すぎることは気にしているらしく、試行錯誤した結果、素の口調が人と少し違ったり、愛用している武器も賢者らしからぬ物らしい。
それはさておき、
「あの⋯⋯もしよろしければ相席してもいいですか? 俺、コレットさんをここで見かけたっていう情報を聞きつけて、来たんです」
よしよし、昨日練習した甲斐があったな。ここまで噛まずに言えてる。これで了承してもらえれば完璧だ。
「! ⋯⋯いいですよ。丁度1人でここにいて暇だったので」
1人⋯⋯か、明日から魔王城へ出発するのにか⋯⋯? まあ相席出来たからいいか。
「では失礼して⋯⋯。⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
「? どうかしましたか?」
⋯⋯テーブルの下に、シルフが現界していた。
(なんで出てきてるんだよ! 風の大精霊がいると怪しまれるかもしれないだろ!?)
(ここはリスクを犯してでも翔太のフォローに回ろうと思ってな⋯⋯)
ジュルッ。
「お前、飯食いたいだけだろ!?」
(し、翔太! 声に出てるぞ!)
「⋯⋯あ」
しまった。慣れない環境でツッコミなんてするべきじゃなかったようだ。
「あの⋯⋯どうかしましたか?」
「ああ⋯⋯その、実は連れがいまして」
「よっと! それじゃあ自己紹介といこうか」
シルフが下からぬっと飛び出してきて場を仕切り始める。
「こいつは翔太、元ただの人間だな、それで私がシr―――もがっ!?」
(お前なに口走ってるんだよ! 『シルフ』ってよくある名前なのか!?)
(むぐぐ⋯⋯⋯⋯ないな)
「ゴホン! ま、まあ、私のことは後にして⋯⋯」
「は、はあ⋯⋯」
まずいな⋯⋯先程からの行為で、不審がられてしまっている。ここはなんとか流れを変えないと!
「と、とりあえず俺ら料理頼みますね! ⋯⋯⋯⋯て、高!!?」
わかっちゃいたけど、やっぱりそこそこの値段はするのね。
「私これがいいー!」
「どれどれ⋯⋯うわあ⋯⋯」
ちょ⋯⋯シルフ、それ1番高いやつじゃないか! ⋯⋯まあいいけど。
「へいへい、じゃあ俺はこれでいいや」
俺は1番安い物を頼むことに決める。⋯⋯あとでお釣りでなんか買おう。
「ふふっ⋯⋯なんか、兄弟みたいですね」
おぉ⋯⋯笑ってもらえた。この調子で好感度を上げていきたいところだな。
(翔太、向こうのテーブルを見ろ)
シルフが目で示した方向を見ると、
(なんだよ⋯⋯⋯⋯なんだよ)
魔王御一行様がいた。
「こ、コレットさんはなにか食べたんですか?」
「いいえ、ここに来たはいいものの全然喉に通らなくて⋯⋯」
「そ、そうですか⋯⋯」
くそっ! なんかむっちゃ恥ずかしい! ⋯⋯ていうか、魔王捕まったんじゃあなかったのかよ。
俺が魔王達の方を気にしながらコレットと交流していると、俺の端末にメッセージが送られてきた。すみません、と断ってから見てみると⋯⋯
『現在、騎士団から逃亡中!』
⋯⋯⋯⋯マジで?
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