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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
2章
25/233

7 明日に備えて



 魔王達とモンド城を訪れてから数日が経った。


 そして気がつけば、真っ白な世界にいた。地面も(そら)も、全てが真っ白な世界だ。


「どう? 勉強は(はかど)ってる?」


 いつも通り、時空龍がそこにはいた。俺は「順調です」とだけ答えておく。今日は緊張でそれどころではないのだ。


「明日は日曜日だねー」

「そうっすね」

「女の子とばっかり話してる気分はどう?」

「⋯⋯心臓に悪いですね」


 ぶっちゃけ言って、俺はもうこれ以上女性と交友関係を持ちたくないとすら思っている。というか、むこうの世界で男の知り合いがたったの2名なのが問題なんだろうと思うが⋯⋯。


「⋯⋯明日は楽しみ?」

「いえ全然」


 即答だった。

 その理由を、これから話そう。






 それは、今朝の事だ。

 数日前から始まった魔王の対人戦講座を、いつも通り受けていた時、魔王の口から唐突に放たれた一言だった。




「明日、土の賢者に会いに行きまぁす! ⋯⋯異論は認めない」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯はい?」


 それが、体力を消耗して肩で息をしていた俺が精一杯言った言葉だった。魔王が早口で説明をする。⋯⋯もうそろそろ俺も戻らないとだからな。今日平日だし。


「正確には賢者の見習いだが⋯⋯そいつと、地の勇者見習いが1週間後この城に訪れることがフローラの未来予知でわかった」

「はあ⋯⋯ここの海域を2人だけで乗り越えてくるのか?」

「いや、本物の勇者と賢者も同行するつもりらしいが、未来予知では見えていない⋯⋯つまり、ここに来るまでに何らかの事故にあい、結果2人だけで乗り込んでくる⋯⋯ということだろう」


 なるほど、海龍とかなんとか言ってたもんな⋯⋯と俺は1人納得する。


「まあいいや。それで、どうして明日、その賢者見習いさんに会わないといけないんだ?」

「ああ、説明しよう。


 ⋯⋯そもそも、俺達は明日、買い物に出なければいけない。城の物資が(とぼ)しくなってきたからな、これは確定事項だ。そこで、いつも通りこっちの世界最大級のショッピングモールへ向かおうとしたら⋯⋯なんとびっくり、地の勇者見習いと、土の賢者見習いも来週ここを攻めるためにそのショッピングモールに来るということが、ギムギスの調べでわかった」


 ドバっと早口で言われたため、ところどころ頭の整理が追いついてないが⋯⋯大体事情がわかった。あと、俺にくるであろう任務もわかった。


「それで、俺はその土の賢者ってやつにアプローチしろと?」

「そういうことだ。理解が速くて助かる。まあ、あわよくばの話だから会えなかったらそれでいいんだがな」

「ふむふむ、勇者の方はいいのか?」

「ああ、あいつは男だし、翔太と性格合わなさそうだからむしろやめといた方がいいな」


 つまり、土の人は女性なのか⋯⋯。ああ〜、男の方と仲良くなりたいけど性格合わないって言われたから無理っぽいよなー。⋯⋯⋯⋯まあそういうのは見てから考えるか。






「じゃあそんな感じで頼むわ」


 ―――と、魔王がお気楽な笑みを浮かべて言っていたのが印象的だった。


「ああー明日大丈夫かなー」


 言ったところでどうにもならないだろうが、俺はそれでも口に出して言う。


「大丈夫だって、翔太には私がついてるから!」


 時空龍は、口癖のようなものを言って、俺を励ましてくれた。



「ねえ⋯⋯来週、やっと暇な時間が取れたんだ」

「おおー、良かったじゃん」


 話題は切り替わって、今度は彼女の話のようだ。


「だから⋯⋯その、どこかふたりで行けたらなーと思って⋯⋯」


 頬を若干染めて放たれた言葉に、俺は一瞬見惚(みと)れて、咄嗟に言葉が出なかった。


「あ、ああ⋯⋯いいよ」


 「俺で良ければ」と、心の中で言う。⋯⋯本当に、俺でいいのだろうか。能力を使う(たび)、ここに呼ばれる度にそう思ってしまう。

 ⋯⋯待てよ。ふたりで?


「シルフは? ⋯⋯どうする?」


 ここは完全なる別時空だからともかく、ここ以外の場合、俺には常にあの幼女が付きまとってるわけだ。⋯⋯契約なだけで、好きでしてることではないとわかっているんだが。


「魔王城にでも置いてくつもりだけど、ダメかな?」

「お、おお⋯⋯」


 思わず顔がにやけてしまった。⋯⋯別にシルフが嫌いなわけではないが、久しぶりに1人になれるわけだ。

 まあ、時空龍がいるんですけどね!


「じゃあ今日はこの辺でお開きにしましょうか。明日も忙しいし」

「うん、そうだね。それじゃあ―――」


 彼女が手を挙げた瞬間、俺は自宅のベッドの上に帰された。


「⋯⋯⋯⋯来週、か⋯⋯」


 明日からも頑張ろうと、俺は固く決意するのだった。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

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