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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
2章
21/233

3 一気に行くぞ!



『魔王軍3名、参りました』

『うむ、入れ』


 謁見の間の扉が開く。俺達は意識せずともモニターに集中する。⋯⋯あれ?


「なんで魔王がへりくだってんだ?」

「あいつらも一応国民だからな。そういうことなんだろう」


 俺の素朴な疑問にシルフが答える。


 魔王軍の3人が部屋の中央まで来て言う。


『よおエリシャ、はじめましてだな』


 魔王が片手をあげて親しげに挨拶をする。⋯⋯あれ?


「いきなり馴れ馴れしくなったぞ?」

「魔王だからな、仕方がない」

「なるほどな。なら仕方がないな」


 俺の素朴な疑問にまたしてもシルフが答える。俺も即効で納得してしまった。


『ああ、はじめましてじゃな』

『これから色々と迷惑かけると思うがよろしくな!』


 魔王が笑顔で放ったその一言で、周囲がざわざわし始めた。


「賭博のやつかよ」

「それはボクも思った」


 モニター越しにでも伝わってくる緊張感を和らげようと俺は無理矢理にでもツッコミを入れる。


『1つ、よろしいでしょうか?』


 エリシャの後ろで控えていた男性が声をあげ、騒音が消える。


『なんだい、エリシャの父親ポジの人?』

『父親ポジではない! どちらかというと参謀ポジだ!』


 「参謀ポジ」という言葉にギムギスさんがピクリと反応する。


『参謀ポジ、ですか。そういうのは最低でも眼鏡(めがね)を掛けてから言っていただきたい』


 メガネをかけ直してそう言ったギムギスさんを、魔王が⋯⋯

『そう言うなギムギス、あの人騎士団(のうきんぐみ)出身だからしゃーないだろ?』


 (なだ)め⋯⋯るには宥めたけど、再び周りがざわつきはじめた。


「あいつ⋯⋯なんで(あお)ってくんだよ」


 敵増やしたいのか?


「あいつだって緊張してるんだ。多めに見るしかないだろ」

「それはわかるけど、そろそろ不味いんじゃない?」


 確かに、なんとなくだが、周囲の雰囲気が殺気だってる気がする。ギムギスさん、頼むから周りを宥めてくれ。


『なるほど、それもそうですね。私としたことが、失礼しました』


 あの人もナチュラルに煽ってんなー。ハハ⋯⋯


「もうどうにでもなれ⋯⋯」


 そう言って、俺は項垂(うなだ)れる。


『おう。⋯⋯いや、そんなことはいいんだよ! とりあえず、みんな聞きたがっているであろう今日ここに来た目的を言おう』


 そこで魔王は一息ついて、



『地龍は俺達に任せてほしい』



 声を1段階張り上げて、言った。


 そこでまたしても周りがざわつく。


「地龍って確か⋯⋯」

「ああ、時空龍を基盤としたこの世界を維持する神々の1柱だ」

「立場的にどうなの? これ俺の方が上?」

「⋯⋯どうなんだろうな。まあ、敬語を強要されるいわれはないレベルなんじゃないか?」

「へー、翔太ってそんなに凄いかったんだね」


 ほうほう。俺も大きくなったもんだ。⋯⋯⋯⋯なんか手汗やばくなってきた。

 俺達が少し脱線した話をしている中、画面の向こうでは事態が着々(ちゃくちゃく)と進んでいく。


『ほ、ほう⋯⋯なぜじゃ? 理由によっては考えようではないか』

『陛下! 正気ですか!』


 と、後ろの参謀ポジの人が叫ぶ。


『失った国民からの信頼を、取り戻すためだ』


 そこで、1人の騎士が叫んできた。


『ふざけるな! お前達が100年前にしたことが許されるとでも思っているのか!?』


 その発言を筆頭に、次々と抗議の声が上がる。

 うわあ、魔王達大丈夫かな。⋯⋯なんとも言えないが、いよいよやばい感じだ。⋯⋯どうでもいいけどよくそんなテンプレみたいなこと言えるよね。



 しばらくの間、罵声や、暴言が上がったあと、エリシャが手で制し、


『⋯⋯ふむ、皆の意見はよくわかった。国民だってそう思うじゃろう。⋯⋯⋯⋯じゃがな、いつかは通らなければならない道じゃ。違うかの?』

『ゴホンッ⋯⋯陛下のおっしゃる通りだ。先程の発言は訂正しよう⋯⋯⋯⋯そして、過去を乗り越えなければ、この国だっていつかは滅びるだろう』


 エリシャに続いて、参謀ポジの人も謁見の間にいる全ての人を説得しにかかった。


「おお、これはなんとかなるんじゃないか?」

「ここからが大事だぞ、魔王⋯⋯」


 ゴクリと唾を飲み込みながら、俺達は見守る。


『よし、ならば、お前達がこの案件に対してどのように解決するのか、教えてもらおうではないか。それでここにいる全員を納得させれれば、お前達にある程度自由を許せるよう議会進言してやる』


 ⋯⋯⋯⋯⋯⋯いよいよだな。



 てか、そういえば議会なんてものがあるんだったな。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

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