2 そろそろ仕掛けようか……
「へえ、なかなか凄いじゃん」
「ありがとう! 魔王にそう言ってもらえるなんて光栄だよ」
レンがもう既に魔王と打ち解け始めている。なんか妬みたくなるな⋯⋯。
「嫉妬と言えば、フローラさんは?」
「ここにいるわよ」
ぬっと、俺の背後からフローラさんが現れる。
「ヒッ!?」
ちなみに、今の悲鳴は魔王のだ。いい加減シルフのおかげで慣れたからな。
「まったく、あなたという人は⋯⋯次から次へと女の子に手を出して⋯⋯」
「いや、人を女たらしみたいに言わないでくれよぉ」
フローラさんが魔王に向かって何か言っていると、ギムギスさんが部屋に入ってきた。
「準備完了です⋯⋯おや、そちらのお嬢さんは?」
「ああ、紹介しますよ、ギムギスさん」
魔王軍と夏蓮が一通り自己紹介して打ち解けたところで、
「よし! それじゃあ行くか!」
「丁度いいわ、レンも一緒に来てくれない?」
「え⋯⋯どこに?」
(シルフ⋯⋯俺達今からどこ行くんだっけ?)
(知らないぞ)
えぇ⋯⋯。俺達も知らないんですけど⋯⋯。
「ああ、翔太達にも言ってなかったな。今から俺達はモンド城に向かう!」
うっそだろ⋯⋯。
モンド城とは、エリシャが住んでいる城のことだ。大きさは魔王城に負けず劣らずの100階建て構造で、その最大の特徴が、地面から浮いている浮遊島の上に建っていることだ。
「Hxkesp!?」
「やべぇ⋯⋯何言ってんのかマジでわかんねえよ」
俺達は今、その城の城門前にいる。
ここの景色を写真で見せられて、なんとかこの四人を連れて来たんだが⋯⋯。
門番さんが異世界語でこちらに向かって何か言っている。
「仕方ない、交渉はギムギスに任せて、俺とフローラで通訳してやる」
以下、2人の通訳だ。
「なんだお前達は!?」
「私は魔王軍参謀担当のギムギスと申します」
「魔王軍!? 至急城内全てに伝えろぉ!! 魔王が来たぞぉー!!!!」
⋯⋯⋯⋯。
「これ、穏便に済むの?」
と、一応魔王に聞いておく。
「⋯⋯無理かもな」
⋯⋯⋯⋯⋯⋯俺、生きて帰れっかなぁ。
「俺生きてる! 生きてるよ俺!!」
「はいはい翔太落ち着いて」
奇跡的に⋯⋯というか、エリシャの判断によって、暴力沙汰にはならなかった。魔王軍の3人は謁見の間へと呼ばれ、俺とシルフとレンは、応接室のようなところで謁見の間をモニターから見る形になっている。
ただ、エリシャ達の準備がまだらしく、俺達は今暇なのであった。
「一応監視が外についてるからな。変な行動は控えてくれ」
「変な行動て⋯⋯あ、この菓子食ってもいいのかな?」
俺が指で指し示した場所には、なんか高そうな紅茶(?)と、菓子が置いてあった。
「いいんじゃない? わざわざここまで来たんだし」
レンがそう言って席を立ち、それらのティーセットを持ってくる。⋯⋯まるで緊張してないんだな。震えが止まらない俺とは大違いだ。
「うお! これむっちゃ美味いぞ!」
「翔太、品がないぞ」
「確かにね⋯⋯折角だから、ボク達で色々と作法を教えてあげるよ!」
「え〜めんどくさいな」
とかなんとか言いつつも、俺はふたりの話を聞く体勢になる。
「へー、異世界と地球に存在するマナーでも、似てるとこあるんだな」
一通り説明を聞いたところで、俺は感心して呟く。
「この世界とあっちの世界は影響しあってるからな⋯⋯わかりやすい例で言うと私の名前とかな」
「おお、ほんとだな」
向こうの「シルフ」のことはよく知らないけど。
「あ! そろそろ始まるよ!」
というレンの声を聞いて、俺達はモニターの方に目を向ける。
「翔太には私の能力を少し分けてなんとかなるが、レンは魔法で言語理解できるか?」
「もちろん! それくらいなら余裕でできるよ」
レンは魔法で、俺は神様特権で言語理解するわけね。
モニターを見ると、エリシャが偉そうなポーズを試行錯誤しながら玉座に座っている。
周りにも続々と騎士や役人達が集い始めた。
いよいよ、会談が開始されるようだ。
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