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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
2章
20/233

2 そろそろ仕掛けようか……



「へえ、なかなか凄いじゃん」

「ありがとう! 魔王にそう言ってもらえるなんて光栄だよ」


 レンがもう既に魔王と打ち解け始めている。なんか妬みたくなるな⋯⋯。


「嫉妬と言えば、フローラさんは?」

「ここにいるわよ」


 ぬっと、俺の背後からフローラさんが現れる。


「ヒッ!?」


 ちなみに、今の悲鳴は魔王のだ。いい加減シルフのおかげで慣れたからな。


「まったく、あなたという人は⋯⋯次から次へと女の子に手を出して⋯⋯」

「いや、人を女たらしみたいに言わないでくれよぉ」


 フローラさんが魔王に向かって何か言っていると、ギムギスさんが部屋に入ってきた。


「準備完了です⋯⋯おや、そちらのお嬢さんは?」

「ああ、紹介しますよ、ギムギスさん」



 魔王軍と夏蓮が一通り自己紹介して打ち解けたところで、


「よし! それじゃあ行くか!」

「丁度いいわ、レンも一緒に来てくれない?」

「え⋯⋯どこに?」

(シルフ⋯⋯俺達今からどこ行くんだっけ?)

(知らないぞ)


 えぇ⋯⋯。俺達も知らないんですけど⋯⋯。


「ああ、翔太達にも言ってなかったな。今から俺達はモンド城に向かう!」


 うっそだろ⋯⋯。






 モンド城とは、エリシャが住んでいる城のことだ。大きさは魔王城に負けず劣らずの100階建て構造で、その最大の特徴が、地面から浮いている浮遊島の上に建っていることだ。


「Hxkesp!?」

「やべぇ⋯⋯何言ってんのかマジでわかんねえよ」


 俺達は今、その城の城門前にいる。

 ここの景色を写真で見せられて、なんとかこの四人を連れて来たんだが⋯⋯。


 門番さんが異世界語でこちらに向かって何か言っている。


「仕方ない、交渉はギムギスに任せて、俺とフローラで通訳してやる」


 以下、2人の通訳だ。


「なんだお前達は!?」

「私は魔王軍参謀担当のギムギスと申します」

「魔王軍!? 至急城内全てに伝えろぉ!! 魔王が来たぞぉー!!!!」


 ⋯⋯⋯⋯。


「これ、穏便(おんびん)に済むの?」


 と、一応魔王に聞いておく。


「⋯⋯無理かもな」


 ⋯⋯⋯⋯⋯⋯俺、生きて帰れっかなぁ。






「俺生きてる! 生きてるよ俺!!」

「はいはい翔太落ち着いて」


 奇跡的に⋯⋯というか、エリシャの判断によって、暴力沙汰にはならなかった。魔王軍の3人は謁見の間へと呼ばれ、俺とシルフとレンは、応接室のようなところで謁見の間をモニターから見る形になっている。

 ただ、エリシャ達の準備がまだらしく、俺達は今暇なのであった。


「一応監視が外についてるからな。変な行動は控えてくれ」

「変な行動て⋯⋯あ、この菓子食ってもいいのかな?」


 俺が指で指し示した場所には、なんか高そうな紅茶(?)と、菓子が置いてあった。


「いいんじゃない? わざわざここまで来たんだし」


 レンがそう言って席を立ち、それらのティーセットを持ってくる。⋯⋯まるで緊張してないんだな。震えが止まらない俺とは大違いだ。


「うお! これむっちゃ美味いぞ!」

「翔太、品がないぞ」

「確かにね⋯⋯折角(せっかく)だから、ボク達で色々と作法を教えてあげるよ!」

「え〜めんどくさいな」


 とかなんとか言いつつも、俺はふたりの話を聞く体勢になる。




「へー、異世界と地球に存在するマナーでも、似てるとこあるんだな」


 一通り説明を聞いたところで、俺は感心して(つぶや)く。


「この世界とあっちの世界は影響しあってるからな⋯⋯わかりやすい例で言うと私の名前とかな」

「おお、ほんとだな」


 向こうの「シルフ」のことはよく知らないけど。


「あ! そろそろ始まるよ!」


 というレンの声を聞いて、俺達はモニターの方に目を向ける。


「翔太には私の能力を少し分けてなんとかなるが、レンは魔法で言語理解できるか?」

「もちろん! それくらいなら余裕でできるよ」


 レンは魔法で、俺は神様特権で言語理解するわけね。


 モニターを見ると、エリシャが偉そうなポーズを試行錯誤しながら玉座に座っている。

 周りにも続々と騎士や役人達が(つど)い始めた。


 いよいよ、会談が開始されるようだ。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

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