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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
2章
19/233

1 雑用は辛いよ……



「ああ、やっと今日が終わった⋯⋯」

「今日はゆっくり休んだほうがいいぞ、翔太。生命力が小さくなってきてるからな」

「うん、そうする」


 昨日はなんかよく分からないが機嫌が良かったエリシャと数時間ゲームをして、その後シルフを風呂に入れて、「また女の子にデレデレしちゃって⋯⋯」と言って機嫌が悪かった時空龍を納得させるため数時間拘束されてもう⋯⋯クタクタのまま寝て起きて今日の学校を乗り切ったわけなんだが⋯⋯。


「おい、シルフ⋯⋯俺が今見てるのは幻覚か?」

「いいや翔太、残念ながら現実だな」


 俺の目の前にはこっちの世界の魔術師で同じクラスの八月一日(ほずみ)夏蓮(かれん)が立っていた。

 ⋯⋯しまった。あれから「来週には話すから、それまで待っててくれ」と言ってからまだ何も言ってないんだった。


「今日こそは吐いてもらうよ」


 やめてくれ、そう言って駐輪場までついてくるんだろ? もう分かってんだよ。⋯⋯頼むから来ないでくれ、周りの視線が痛くてしょうがないんだ。

 そこで俺は打開策を考えた。


「あいわかった。じゃあそこで待っててくれます?」


 俺は夏蓮に校門で待機してもらって、1人駐輪場へ向かう。これならまだましだろう。


(シルフ、どうやって説明する?)

(うーん、めんどくさい上に翔太も疲れ気味だから、この際一度強引に向こうに連れていけば?)

(なるほど、それでいこううんそれがいい)


 そして向こうに行ったら自室で俺はもう寝る!


「待たせたな」

「うん、だいぶ待ったよ。1週間とちょっとも」


 俺はできるだけ声に生気を込めて夏蓮に話す。


「それで、八月一日さんてそもそも俺のこの指輪について知りたいだけなのか?」

「うん、今のところはね」


 うわー⋯⋯めんどくさいことになりそうな気配がするなあ⋯⋯。


「まあいいや、八月一日さんになら⋯⋯いや、れ、レンになら話してもいいよな」


 あえて夏蓮を愛称で呼び、人気(ひとけ)のないところに招く⋯⋯⋯⋯別に危ないことはしないよ? ホントだよ?


(誰かに見られたか?)

(いや、大丈夫だぞ)

(りょーかい)

「え? し、翔太⋯⋯?」


 レンは突然俺が腕を掴んだことに驚いているようだったが、そんなことは知ったこっちゃない。


 俺は自転車とレンを連れて魔王城に()()()





「着いたな⋯⋯⋯⋯っていてててて!? 折れる、折れるから!!!!」


 俺は魔王城に着いた途端、レンに関節をキメられた。も、もうギブギブギブゥ!!

「おー、今日は随分と早かったな⋯⋯って、何やってんだよ?」


 魔王が俺達が今いる大部屋へ入ってきた。いつもはこの部屋でみんな集合するらしい。


「魔王、紹介しよう。異世界の魔法使いの八月一日夏蓮と、その友人で、彼女に関節キメられてる翔太だ」

「俺を初対面の人みたいな扱いすんな!」


 そこで俺は瞬間移動で夏蓮の腕から抜け出す。


「おーおー、荒い息ついちゃって⋯⋯これは本格的に修行パート入れるかねえ」


 魔王が落ち着いた口調でそんな恐ろしいことを言う。


 夏蓮がこちらに向かって身構え、警戒している。


「ああー、レン⋯⋯こちら、異世界の魔王様。で、こっちのちっこいのが風の大精霊シルフね」

「ちっこい言うな!」


 シルフに代わって今度は俺がレンにふたりを紹介する。⋯⋯そのシルフから何か言われたが、まあスルーで。


「異世界⋯⋯魔王⋯⋯?」

「あー⋯⋯めんどいけど、俺が1から説明しよう」




「なるほどー、それで翔太はここ最近忙しくしてたんだ」


 魔王がこれまでの経緯をざっくりと説明してくれたおかげで、レンの警戒も解けたようだ。


「そういうこと⋯⋯で、関節キメた理由は?」

「あはは⋯⋯ちょっとビックリしちゃって⋯⋯なら、その罪滅ぼしとして、ボクも手伝うよ」

「ほんとか!? 助かる!」

「う、うん⋯⋯⋯⋯それに、友達だもん」


 レンはやや俺の歓喜の声に驚きつつも、そんな嬉しいことを言ってくれた。


「それで、翔太の役割はどんなのなの?」

「⋯⋯⋯⋯」


 レンのその質問には流石の俺も(だんま)りを決め込む。


「翔太はな、フグッ!?」


 俺は咄嗟(とっさ)にシルフの口を塞ぐ。なんか余計なこと言いそうで怖かったからな。


「ああ、翔太の役割? 毎晩女の子の部屋に言ってスキンシップをとること⋯⋯かな?」


 もっと危険なやつがいるのを忘れていた⋯⋯。


「え⋯⋯他には?」

「うーんと、幼女の誘拐とか?」

「えぇ⋯⋯」


 絶対わざとだ! あの()め絶対わざとだよ!

 そこで俺は手のひらにある感覚を思い出す。恐る恐る下を見ると⋯⋯シルフが、若干(じゃっかん)お怒りモードであった。


「いつまで抑える気だ!」

「ゴバァ!!」

「ぶっちゃけると、あんな感じで壁役とか含めた面倒事をなんでも押し付けられる雑用係かな?」

「え、えぇ⋯⋯」


 衝撃の中でも、レンの哀れみの声はしっかりと聞こえてきた。こんな友人ですまんな。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

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