4 エリシャが予想外に強い件
「なんか⋯⋯すいませんでした。ついつい調子に乗っちゃって」
エリシャをいじり過ぎて、罪悪感がある俺は、1度謝っておくことにした。
「まあ⋯⋯分かればいいんじゃ、分かれば」
「じゃが⋯⋯ほんとに秘密を守るんじゃろうな?」
「も、もちろん内密にしますよ!」
王の寛大さに少しほっとしていると、念の為と釘を刺された。
「⋯⋯そのかわり、そっちの情報を教えてくれ」
エリシャはシルフの出した条件に「ううむ」と唸ってから、
「ならば、こうしよう。妾とお前達2人でゲーム勝負をする。勝ったほうがその時予め出された命令を聞く⋯⋯どうじゃ?」
ほほう。
「それじゃあこちらにメリットがないぞ!」
「いや、メリットなら一応あるぞ。俺達がエリシャの持ってる多種多様なゲームをプレイできるというメリットがな!」
これ、意外とおいしい点だと思う。
もっと言うと、女の子2人とゲームをやるというのもメリットの1つだと思う。
「うむ、そういう事じゃ。⋯⋯これで問題ないじゃろ?」
「⋯⋯なら仕方がないな。仮にも私たちは潜入していることを黙秘してもらっている身だし、その条件を呑むとしよう」
よしよし、シルフも納得してくれたみたいだな。
「よし来た! じゃあ早速で悪いが、まずはこいつで勝負じゃ!!」
彼女の瞳が輝いて見えたのは、言うまでもない。
「⋯⋯また負けた」
エリシャと出会ってはや2時間。
俺達はとんだ読み間違いをしていた。
そうだ、プレイ時間、保有ゲーム数が絶対的に多いであろう⋯⋯
エリシャのほうが強いに決まってるじゃん!!!!
「いえーい! ⋯⋯それじゃあ次は風呂場の掃除を頼んだぞ!」
くそっ⋯⋯ゲーマー王め、目をキラキラと光らせながら言いやがって⋯⋯!
「翔太はここでも雑用なんだな⋯⋯」
くそっ⋯⋯シルフからの哀れみの目が痛い。⋯⋯ていうか途中から「負けてばっかでつまらん」って言って俺1人で戦わせるなよな!
風呂場に行こうとした俺はふと思い出して、立ち止まる。
「あ、そう言えば、そろそろ帰らないとまずいんで、続きはまた後でいいですか?」
なんとも言えないな、やっとタメ口に慣れたのに負けっぱなしだったせいで自然となんちゃって敬語に戻ってしまったこの感じ。
「ふ、ふむ。あいわかった、また後でな」
「ういっす。⋯⋯後って何時ぐらい?」
「45時ぐらいから暇だな」
「じゃあそんぐらいで」
「ちゃんと隅々まで掃除しろよ!」という声を背中で受けながら、俺は風呂場へと向かった。
風呂場に着いて、俺は即行で掃除を開始した。急がないと夕食に間に合わないからな。
(なあ翔太、まだ続けるのか?)
(何を? というかシルフも手伝え)
(私は負けてないからいいだろ。⋯⋯何って、この勝負を、だ)
くそ、自分だけ1人後ろで漫画読みやがって⋯⋯! しかもうちにあったやつだし!
俺は不満を抱えながらも、腕の動きを止めずに、返答する。
(続けるさ、これくらいの敗北、実力のない俺にとっちゃ日常茶飯事だ)
そして俺としては何より、
(やっぱゲームは複数人でやりたいんでな)
(⋯⋯そうか、なら私も手伝ってやろう。もちろん、実力を付けた後でな)
俺は少し微笑ましい気持ちになって返す。
(じゃあ明日から特訓だな)
その後無事、風呂掃除を終えた俺は、1度魔王に報告へ行くと、
「ていうか風呂から潜入したのにラッキースケベないのかよ! ⋯⋯無事だったし、うまくやれてるみたいで安心したけど!」
と言われ、俺も今更ながらに気づいた。
⋯⋯よし、次も風呂場から潜入しよう。
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ちなみに最後の文は冗談ですからね!




