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魔王城へようこそ!  作者: 大和(大)
1章
15/233

3 いじりますね、ダイア様



「ほら、ここが(わらわ)の部屋じゃ」


 王様に案内されるがままここへ来たわけだが、1つ、聞きたいことがある。


(なあシルフ、なんでこの人城の中で一人暮らししてるんだ?)


 先程の風呂場を出て、廊下を十数メートルほど歩いた所に今の部屋はある。ちなみに、反対側の扉を出ると、ボディーガードと思しき人達が数名いらっしゃるそうだ。


(さあ? わかんない)


 シルフからは当然の返答。


「妾は幼少期から自立というものがしたくてな、昨年毎日のように駄々をこねたらこういったスペースを設けて貰えたというわけじゃ」

「あ、ああ。そうなんですか」


 2人でそわそわとしていたら王様自ら説明して頂けた。


 「適当にくつろいでくれ」と言われたので、俺はとりあえずその場で座る。⋯⋯あれ、シルフ?


「所で、だそろそろ名前を聞かせてもらおうか」

「ふん⋯⋯人に名前を聞く時はまず自分から名乗るのが常識じゃろ?」

「な、なにおう!?」


 王様の小馬鹿にするような言い方にシルフがキレる。⋯⋯テンプレかよ。


「ま、まあまあ! シルフ、落ち着いて」

「ちっ⋯⋯風の大精霊シルフだ。以後よろしく頼む」


 王様は、「大精霊」と聞いて一瞬目を丸くされたが、すぐに戻り、


「エリシャ・ダイア。2人とも気楽にエリーと呼んでくれて構わん」


 と、名乗った。


 さて、


「じゃああとは俺だな⋯⋯」

「いや、お前はいい」

「鈴木翔太じゃろ? わかっておるわ」


 ⋯⋯さいですか。


「それで、ゲームをするのか?」

「うむ、そうじゃ。このボードゲームでな!」


 バンッとエリシャはボードゲームを机に置く。


「こ、これは⋯⋯! 互いに条件を付けて、敗者だけがそれを飲むという伝説の悪魔の遊戯じゃないか!」


 なんだよその危険な遊び。闇のゲーム並に怖いよ。ぶっちゃけ言ってやりたくねえよ。


「さあ! お前達は何が望みだ? 心臓か? 腕か? 脚か?」

「え? え?」

「妾の能力が欲しくてここまで来たんじゃろ? 遠慮することはない、全力でかかってくるがいい!」


 なんだろう、このどう考えても話が噛み合っていない感。

 止めたほうがいいのだろうか? というか止められるのだろうか。






「⋯⋯なんじゃ、そういう事だったのか」


 あの後、「フハハハハッ!!」と不敵に笑い始めたため、いよいよこれはまずいと全力で止めた俺達は、現在、魔王軍についてのこれまでの経緯(いきさつ)をエリシャに説明していた。


「それで、妾から城の内部事情を探ろうとしていたわけだな?」

「え、あ、はい」

「ちょっと翔太! わざわざバラしてどうする!」


 あ、ごめんと言おうとしたが、時すでに遅し。シルフにバシッと頭を叩かれた。あれ? 意外にも痛くないぞ。もっと全力でくると思っていたんだが。


「ほうほう、じゃが妾としてはお前の方に興味があるな。時空龍に選ばれるほどの者だ。この世界の者として、興味を抱かないわけがない」


 エリシャがこちらに顔を近づけてくる。


「へ? ええっと⋯⋯」


 緊張のあまり言葉が出なかったため、救いの手を差し伸べてもらおうと隣のシルフの方を見ると、


「確かに、それについては私もまださっぱりだな」

 そう言って、こちらに顔を向けてきた。

 ⋯⋯ダメだった。シルフも味方じゃなかった。


「いや、その⋯⋯」


 俺は仕方なく立ち上がって後退するも、その後ろは本棚で、広い室内なのに、即行で既に追い詰められてしまった。


「俺も、さ⋯⋯」


 逃げ場がなく後ろにもたれようとすると、


「うわっ!!?」


 ガコッと言う音がして、扉のようにズレて、俺はそのまま倒れてしまった。


「だ、大丈夫か翔太!」

「あー大丈夫大丈夫。⋯⋯てなんだここ?」


 奥の隠し部屋を見渡すと、至る所にさまざまなゲーム機やカセットが置かれていた。


 ふとエリシャの方を見ると⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯。


「⋯⋯こ、これは⋯⋯! その、あ、あれだ。あの、資料という⋯⋯という⋯⋯」


 先程の饒舌(じょうぜつ)が嘘のように、しどろもどろでなにやら話している。⋯⋯ちょっと突っ込んでみたくなってしまった。


「資料って⋯⋯この未開封で積んであるやつも?」

「う、うむ」

「全シリーズ揃ってるどころか番外編まで買ってあるこれも?」

「そ、そうだ」

「この、見るからにやばそうなBLゲーも?」

「それは⋯⋯! そ、そ、それもそうだ!」

「なんの資料なんですか?」

「え⋯⋯? ええと、その、あの⋯⋯⋯⋯」

「⋯⋯一応、写真とか撮っといてもいいですか?」

「嘘ですごめんなさい趣味で隠れてやってましたぁぁ!! だからこれ以上漁らないでぇぇぇぇ!!」

「ええと、どれどれ? あ、乙女ゲーもあるじゃん!」



 嬉々(きき)としてエリシャをいじる俺を、ゴミを見る目でシルフは見ていた。



ここまでお読みいただきありがとうございます!

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