13 真面目な話になると思ってたらただの惚気話になりかけてたぜ……
「……で、『島を消してほしい』とは?」
俺は具体的に何をすればいいんだ?
「うーんとね。むむむ……」
俺の当然の質問に、彼女は少し考えるそぶりを見せる。
「……そもそも、あれら二つの島は100年前に起こった大戦争の被害者を追悼するために造られたの」
「造られた」ということは、
「そう、二人の天才と地の神に選ばれた勇者によってね」
……なんで俺の考えがわかったんだろうか。まあそんなことは今更なので気にせず次を促す。
「それでこの約100年間、混霊島と呼ばれる島々は人々に祈りを捧げられてきたんだけど……」
「だけど?」
ようやく目の前の光景に慣れて、緊張が解けてきた俺は彼女の言葉をそのまま返してみる。
「あの二つの島、維持するのがなかなかに面倒でねぇ。夜には悪霊がわんさか湧くとか言われてるし、専門家に調べてもらったら地の底の冥界に繋がりかけてるとか言われちゃったらしいし……」
ハァ、と溜め息を吐くチトセ。
ここまで真剣な彼女を見ていると……なんというか、
「な、なに……? き、急に見つめちゃて」
少し頬を赤らめて「顔に何か付いてる!?」と呟いてオロオロしだす、その仕草が堪らなく愛おしかった。
「いや、そういえばチトセって神様だったんだなあって」
「………………天罰下すよ?」
「ごめんなさあい!!!!」
スライディング土下座で精一杯の謝罪の意を伝える。割と眼がガチだった。これほどキレた彼女を見たのは嫉妬に狂った時ぐらいだ。……うん、結構な頻度で見てるわ。
「私はいつも真面目ですぅ。神様のお仕事だってきちんとこなしてますぅ」
「つっても、水着で言われても説得力ないんだよなあ……」
「うっ……と、とにかく! これで混霊島を消去する理由はわかったでしょ!?」
俺のクリティカルな指摘に、チトセは言葉に詰まり、半ば強引に話を変える。
「おう」
と、簡潔な返事をした後に気づく。
「そういえば、魔王達の方は今真夜中だよな? 大丈夫なのか?」
チトセは先ほど「夜に悪霊が湧く」と言っていた。そして魔王達の島は今、夜のはず……モグラたたきよろしく霊をボコスカと殴っているのだろうか?
「ああ、うん。その点は大丈夫、あの子を送って昼夜を逆転させたから」
「へえ」
スケールの大きい話に思わず生返事をしてしまう。
しかし昼夜逆転か。俺も使わせてもらえないだろうか? この夏はいつにも増して不規則な毎日を過ごしていて、逆転どころか二転三転している感覚がある。
「島を消せる条件は大まかに分けて三つ。大戦においてそれぞれの代表だった“ダイヤ”の王と魔王がいること。……これは後継者でも問題ないからね。地龍に正式に認められた勇者がいること」
「そして……」と、ここでチトセは澄んだ瞳で真っ直ぐにこちらを射抜く。
「島を囲む結界に触れることなく二つの島を行き来できるものがいること」
ゴクリと音を立てて唾を飲み込む。……なるほど。
久しぶりに大役が回ってきた気がした。
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