10 荒波に揉まれる
なぜ、こうなったのだろう。ついさっきまでみんなで楽しくビーチバレーをしていたというのに……。
「どうしたもこうしたもありません!!」
頭上からカラットの激しい叱責が浴びせられる。……正直怖い。
浜辺に戻った俺達は待ち構えていたコレットらと共にビーチバレーをすることにした。ネットを張った、ちゃんとしたやつだ。
始めこそ特に問題もなく極めて安全で健全な遊びだった……。しかし、何気なく誰かが異能力を使った瞬間に自体は混沌を極めることとなった。
ある者は一蹴りで砂塵を巻き上げ、ある者はボールの軌道をありえないほど変化させ、ある者は山を砕くほどの力でボールを打ち込み、ある者は……いや、もういいか。
「一応聞いておきますけど、何か正当な理由はあったんですか?」
正当な理由だと……? そんなもの1つしかないな。
「「「むしゃくしゃしたからやった」」」
「「そこにボールがあったから」」
「だああああまらっしゃい!!!!」
雷鳴のような怒号があたり一帯に響く。……まさかカラットがこんなに叫ぶ人だったとはなあ。意外だぜ。
「はあ……まったく、ちゃんと元に戻してくださいよ?」
「はいはい」
「『はい』は一回まで!」
うわぁ……むちゃくちゃキレてるじゃん。
その後、なんとかして浜辺を元の状態に戻すことができた俺達は、カラットの提案で島の奥にある祠に行くことになった。
(むー、めんどくさいな~)
(我慢しろシルフ、彼女の機嫌を取るにはこれしかないんだから)
(別に私は気にしないんだがな……)
(おう、面白い冗談だな)
シルフの強がりともいじけているだけとも取れる微妙な発言を軽くあしらい、俺は周りに合わせて歩き続ける。ちなみに、俺は極力禍根は残したくない派だ。これだけは地球が何度回っても変わらない自信がある。
「着きましたね」
適当に当たり障りのない話をしていると、目的の祠に無事到着した。
「……へえ」
「小さいな」
確かに小さい……が、手入れがきちんとされており、林の奥にあるだけあって神秘的な雰囲気を醸し出している祠だった。
「ほら、皆さん土地神様に謝ってください」
カラットに言われるがまま俺達は祠に向かって、謝罪の意を込めた祈りを捧げる。といっても、正式な作法を知らない俺には周りに適当に合わせて動くことしかできないけど。
「………………」
しばらくの間、木々の音が辺りを支配する。
「……はい、それじゃあ戻りましょうか、そろそろ昼食の時間ですし」
……ふぅ。
声音と表情から察するに、カラットの機嫌はある程度良くなってきたみたいだ。
この世界で祈るとかなんか新鮮だな……いや、そもそもこっちにも神様が三柱いるわけで祈ることとかあるのだろうか……といった疑問がふつふつと浮かんできたが、今はあえて流しておくことにした。
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次回こそは日中に出したいと思っています。それでは!




