6 あまり引っ張るのはよくないと思うんだ。
(水着回を)あまり引っ張るのはよくないと思うんだ。
「ぐすっ……うぅ、なんかその……ごめんなさい」
ひとしきり泣き終えたコレットをベッドの上に座らせて、俺は話を聞く態勢を整える。なんか俺が泣かせたみたいになってない? 大丈夫だよな、俺は何もやってないよな?
「怖い夢でも見たのか?」
シルフがいたって真面目に問う。……ちなみにシルフのおかげでコレットの絶叫を聞けたのは俺達だけになっているらしい。相変わらず便利な能力だよなあ。
「実は、最近変な夢を見ることがあるの」
「変な夢?」
俺が回想に浸っている間に話はサクサク進む。
「ええ、チャイド様の過去? みたいな夢なの」
「へ、へえ……」
なんだか身に覚えがある現象だが、深く追求はしないでとりあえず相槌を打っておく。ここは一旦シルフに任せておこう。大精霊絡みの話っぽいしな。
「……それはいいことだな。コレット、お前は着実にあいつに認められているぞ」
「?」
「どういうことだよ?」
俺が問いただすと、シルフは微笑を湛えてから口を開く。
「神と契約した者にはな、契約した神の役割を半分引き受けるために過去を見る義務があるんだ。それは基本的に夢として見させられるわけだが……見せる側にも勇気のいる行為でな、よっぽど信頼していないと実現しないことなんだぞ」
「な、なるほど!」
チャイドにある程度認められたことを知り、コレットは嬉しそうだ。
……確かに、自分の黒歴史も含めた全てを誰かに見せるなんて、よほどの相手じゃないと無理な行為だな。俺はシルフの過去を見たことは一度もないんだけど。
「まあ、中にはだれかれ構わず過去を覗き見する例外もいるけどな」
シルフがすごい剣幕でこちらを睨んできた。お、俺だって好きで見てるわけじゃないんだぞと反論したいが、コレットの前で言うのも気が引けたので話を変えることにする。
「そ、そうだ! せっかくだから海行こうぜ海! チャイドとカラットは先に行ってるみたいだしさ!」
「そ、そうね! ここにいたって特にやることもないし」
ということで、俺達は食事の時間まで外のビーチで時間をつぶすことにした。
「コレットー、まだかー?」
「ええ!? 二人とも速くない!? ちょ、ちょっと待ってよ!!」
俺達は自室で即行で着替え、コレットの部屋の前に戻ってきていた。
速いと言われても……俺は旅行カバンの中にあった水着を目で確認して、瞬間移動で着ていた服と入れ替えるだけだったしな。シルフだって中に着ていたから上のワンピースを脱ぐだけで終わったし……。
でも、待つのはめんどくさいな。
「コレットー、俺が中に入ったほうがすぐに終わるけどー」
「は、はあ!? 言っとくけど入ってきた瞬間ぶん殴るから!!」
ぶん殴るって……。
「まあ、翔太は瞬間移動で勝手に中に入れるんだけどな」
またシルフが余計なことを言っている。頼むから俺が変態キャラみたいな言い方はやめてほしい。
「…………サキニイッテテ」
「お、おう」
暴力は嫌だからおとなしく去ろう。
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字数は少なめですが、一応予定通り投稿できて良かったです。あと、11月からは更新頻度高めでいこうと思います。それでは!




