5 ワクワクすっぞ!!(疲弊気味)
こんな時間になってすいません(23時46分)。
「「いやっほぅー!!」」
真っ先に上陸したのはシルフとチャイドの大精霊コンビだった。船に乗ってからずっとテンションが高いため、正直そろそろついていけない頃合いだ。
「みんな、荷物は私たちのほうで運んでおくから先にこれを持って掃除をお願い」
コレットのお母さん……ヘレナ・アガルダさんからコレットが鍵を受け取る。
「部屋は好きなように決めておいていいからね」
周囲を見渡すと浜辺に面して屋敷が建っているのを発見した。今夜はここに泊まるのだろう。
「なんか……趣がある建物だな」
それが掃除担当のメンツと正面に瞬間移動して初めに出た感想だった。
「何十年も前からあるからな」
「あと、基本的に年一でしか使われないから島に着いたらここを一通り掃除するのが普通だネ」
「潮風に強い素材を使って造られており、屋敷全体が魔法によって強化されているんじゃぞ」
「ちなみに、鍵がかかった状態で無理やり入ろうとすると屋敷が爆発するから、翔太は気をつけるのよ?」
なるほど……みんな詳しいなおい。毎度のことだがここまでくると無知な自分が情けなくなってくるな。
「じゃあ、早速始めるわよ!」
「「「「おおー!!」」」」
お、おおー。……俺が荷物運びをやったほうが良い気がしたんだが、まあいいか。
「疲れた~。意外と時間がかかるもんなんだな」
屋敷の掃除と荷物運びが何事もなく終わり、俺はあまりの疲労感にベッドに飛び込む。
「おい起きろ翔太!」
(あん? ……なんだよ?)
めんどくさいからテレパシーで応対する。
(別に休んだっていいだろ。俺、ホコリアレルギーなのに健闘したほうだと思うぞ)
「掃除中に発生したホコリなんて私が大半カットしてただろうが!」
ズビシッ!
珍しいことにシルフからツッコミのチョップをもらう。
「……わかったよ。それで、何がしたいんだ?」
「屋敷の探検だな。私はここを訪れたことは一度もないからな」
「へえー」
意外だなと言いそうになったが、そういえばシルフは100年という長い眠りから最近になって目覚めたばかりだったな。
仮眠もとりたかったが俺も屋敷を探検したいという気持ちがあったため自室となった部屋から出る。
「あ、ショウタさん」
「あ……どうも」
ある程度屋敷内を散策し終えぶらぶら廊下を歩いていると、チャイドを連れたカラット出会った。
「丁度良かった。これからチャイド様と海に行くんですけど、もしよろしければ姉の傍にいてあげてもらえませんか?」
「お、おう……いいぜ」
口調は遠慮気味だったが、強い意志を感じる声音だった。
「ここ最近ずっとうなされてて……『楽しんでおいで』って言われたんですけど、やっぱり誰かが傍にいてくれないと不安で」
「了解、俺にできることはやってみるよ」
「はい! ありがとうございます!」
彼女の笑顔は宝石のように眩かった。……対応としてはこんな感じでよかったかな?
(口調の安定しないやつめ)
(ぐっ……)
相変わらずシルフの評価は厳しめだった。
「ここがコレットの部屋か」
俺とシルフはカラットに教えてもらった部屋の前に来ていた。ちなみに、屋敷内を散策したといっても扉が閉まっているところは入ってはいない。
「一応言っておくが、人の部屋に入る時はノックをするんだぞ」
わかってるつーの。……いや、瞬間移動の使い過ぎで最近は忘れかけてたけど。
「おーい、コレットー」
ノックをしてから、中のコレットに呼びかける。反応がない……。
「寝ているな」
シルフが扉に触れて中の様子を把握する。
「おーい?」
念のためもう一度呼びかける。これは本当に寝てるな。……さて、どうしようか。
とりあえず部屋の前をうろうろしてみる。改めて周りを見渡すと壁の装飾やほのかに光を放っているランプのようなものの作り……どれも手が込んでいてここが俺にとって非現実的な空間であることを実感する。
「いや、単にいつもの俺が周りをじっくり見る余裕がないだけかもな」
ため息交じりに独り言を吐いていた丁度その時。
「いやあああああああああああああああああああああああああ!!!!」
部屋に中から悲鳴ともとれる絶叫が聞こえた。
「どうしたコレット!!」
ノックもせずに扉を開ける。Gか!? Gが出たのか!?
「し、翔太……!」
ベッドの上で泣いていたコレットは、涙も拭わずにベッドから降りてこちらにかけてきて、
「お……おおう!?」
俺の胸に飛び込んできた。そしてそのまま泣き続けるコレット。
衝撃で固ま……りかけたが、倒れそうになるコレットの体を慌てて支える。
この感じ、別に部屋に虫が出たとかではなく怖い夢をみたのか。……それはそうと、誰かがここに来た時この状況をどう説明すればいいんだろうか?
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