#1 少し、ガチってみるか
細かい説明は次回やります。
時は、島へ向かう数日前に遡る。
「なんで僕があなたたちと一緒に行動しなきゃいけいんですか!?」
俺こと魔王と、その配下のギムギスは地の勇者であるコルトのもとを訪れていた。
「うわー、なんか感じ悪いよこの勇者……ヒソヒソ」
「察してあげましょう。反抗期なんですから……ヒソヒソ」
「聞こえてますからね!? …………まあ、こんな所ではなんですから移動しませんか?」
それもそうだと頷き、コルトの後を付いていく。
ここは天下の大通り。向こうにとっては少し話しずらい環境なのだろう。
「……で、どうなんだ?」
「どうと言いますと?」
コルトの住んでいる邸宅の客間へ案内され、俺は単刀直入に確認をとる。
「本当に俺達と仕事をするのは嫌なのかって聞いてんだ」
「それは……別に嫌ではないんですが……」
もじもじと動きながら、何やら言っている。
「ツンデレですね……ヒソヒソ」
「ツンデレだな……ヒソヒソ」
「だから聞こえてますからね!?」
「申し訳程度にヒソヒソとか付けなくていいですから!」とコルトに怒鳴られる。
「じゃあ、なんか行きづらい理由でもあるのか?」
「その、あの人はいるのかなーって思って」
「ん? ……ああ、翔太のことか。安心しろ、あいつは来ないから」
コルトにとって、翔太は関わりづらい人物なようだ。別に翔太が嫌っているわけではないと思うんだが、色々あったせいで何となく気まずいのかもしれない。
「それなら、行きます」
今更だが、やっぱりさっきの外での態度は建前だったらしい。
「ようし、それじゃあ細かいことはギムギスから聞いてくれ。俺は仕事に戻るから」
「……?」
コルトが怪訝な表情をしている。
「どうした?」
「いえ……魔王も仕事をするんだなーと思って」
「酷い言われようだな!?」
こうして、無事コルトから言質を取ることができたため、俺は今、フローラ、ギムギス、コルト、ネムイ……そしてエンドラと共に幽魂島を目指して船で移動しているわけだ。
「今頃あいつら元気にしてるかな……」
「しょーちゃんとコレット以外は元気なんじゃあないかしら」
確かに……。大変そうだな、あの二人。
「まあ、こちらも大概だと思うんですけどね」
「というかそもそも、どうしてこんな小型の船なんですか!?」
はなっから諦めているギムギスの代わりに、コルトがこの船について突っ込んでくれる。……というか、舟と言った方がいい気がするんだが。
「それについては儂が教えてやろう……」
両腕を広げて堂々と座っているエンドラが口を開く。
「……金が無かった」
「え……それ、本気で言ってます?」
うん。悲しいなぁ。
「仕方がないんだ。こんな重要な役割を魔王達にやらせるとなると、なんか圧力がかかるらしくてな、最低限の資金しかくれなかった」
俺達、別に金持ちじゃないんだぜ? 遊園地造らないといけないんだぜ? ……金持ちだったわ。
「どうやら、魔王軍の大規模な動きがある前に、こちらの懐を減らしておきたかったみたいですが、そんなことはさせまいと必死に貰った資金だけでやりくりした結果がこれです」
ギムギスがそれっぽく魔王側を正当化している。
「こんな調子でこれから大丈夫なのかな……?」
コルトの不安が杞憂で終わることを願うばかりだ。……割とマジで。
ここまでお読みいただきありがとうございます!
感想、誤字脱字の指摘はお気軽にどうぞ。
今回から魔王側の話も書いていこうかなと思った次第です。それでは!




