幕間1
「あれ!?」
気がついたら、真っ白な世界にいた。床も天も、全てが真っ白な世界だ。
この空間にいるということはあれだ。
「寝落ちしたか⋯⋯」
「まあ読みきれたみたいでなによりだよ」
俺の目の前には当然時空龍が腕を組んで佇んでいた。そうか、俺はちゃんと完走出来たんだな、あのラノベを。
「それはそうと、なんの用だよ? もうテストプレイは終わっただろ?」
俺は体にまだ溜まっている疲れを感じながら問う。⋯⋯すると彼女はきょとんとして、
「何言ってるの、別にテストプレイが終わったからって夜這いが無くなるわけないじゃん?」
「1度も成功してないのに『夜這い』とか言うのやめろ!」
彼女の何気ない発言に、俺は疲労感そっちのけでツッコミをいれた。
俺はこの1週間で、時空龍から、魔王軍から、異世界についてのあらゆる知識を叩き込んでもらった。まあ教えてもらったのは基礎的なことばかりなんだけど。特に時空龍から教えてもらったことは、複雑怪奇極まる種類のもので、何度も何度も噛み砕いて、繰り返して説明してもらい、ようやく頭にインプット出来た。
昨日の去り際に彼女は言ったのだ。
「これで私が教えるべきことはお終いだね⋯⋯あとは自分で調べてみてね!」
⋯⋯⋯⋯と。だから―――
「まじで今から何すんの?」
俺にはその疑問しか湧かなかった。
「そりゃあもう、イチャイチャラブラブの⋯⋯」
「だからそれがおかしいんだって! 大体なんで異世界の最高神がいきなり俺にデレてんの!?」
俺は2日目辺りに回答の出た質問をあえてもう一度尋ねる。
「え~、前にも言ったじゃん。君が世界を救った英雄だからだって」
「でも、異世界の誰の記憶にも残ってないし、そもそも俺本人やその周りにもなんの記録もないんでしょ?」
「そうだよ⋯⋯⋯⋯けどね、」
⋯⋯「けどね」?
「私は知ってるの⋯⋯ううん、私だけは知ってるよ、君の勇気と愛を」
前回言われなかったことを言われて少し困惑したが、結局の所⋯⋯
「何もわかんねえよ!」
この一言に尽きた。
「だってわかんないほうが面白いじゃん?」
「ほらきた、神様っつーのはなんでこうも面白さを優先するかねえ、俺はこれでもわからないことがまだまだ多すぎてモヤモヤしてるってのに」
「えへへ⋯⋯ちょっとSMプレイでも目指そうかと思って⋯⋯」
そう言って、彼女の瞳が鈍く光ったのを見て、
「ハ、ハハ⋯⋯またまたご冗談を」
流石の俺も苦笑いするしかなかった。あの眼⋯⋯ちょっと本気だしな。
彼女はすっと昏い笑みを消して、顔に明るみを取り戻し、
「まあ、いいよ。翔太君も疲れてるみたいだし、今日のところはこれでお開きってことで」
優しい口調でそう提案した。
「う⋯⋯ういっす」
俺は背中に冷や汗をかきながら同意する。
「じゃあ、またね~」
俺は手を振りながら見送る時空龍を見て、「まあ、この愛を断る理由もないんだけどなあ」と思いながら意識を闇の中へ傾けていった。
空白について覚えましたよ!
それはそれとして、ここまでお読みいただきありがとうございます!
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