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(第二部)五十章 今日自分の部屋で

(第二部)五十章 今日自分の部屋で


「今日自分の部屋で22時頃南向きに座って手を合わせておきなさい。」と祖父より言いつかる。

 どうも遠縁の叔父が遠隔祈祷をしてくださるようだ。

 遠隔祈祷の内容は聞いていない。


 とにかく22時、南向き、手を合わせて座る。

 時間は?、しっかり座れ。

 以上。


 こういうときの祖父は怠けていると見ていないのに、気付いてやってきて一喝という具合になる。

 非常に不思議なことだが実際察知してやってくるのだからどうしようもない。

 足がしびれて辛いんだけどなぁ~と内心思いながらも、時間になったら手を合わせて座ることを約束した。


 テスト期間中なのでテスト勉をする。

 机に向かってテスト範囲を復習するのだが、目がチカチカするわ頭が誰かに揺すられているような感じが出て、さらには足のふくらはぎが絞られているかのように妙な圧迫感がある。

 とてもではないがテスト勉なぞやれる状態では無い。


 ふらふらしながらも22時少し前に目覚まし時計を作動するようにセットして布団の中に入って休む。

 布団の中に入って休もうと思って目を閉じるのだが、今度は下腹から突き上げるようなむかつき感が出てくる。


 目を閉じて意識が落ちてゆくようにイメージをする。

 目を閉じて呼吸を整える。

 目を閉じて何も考えないようにする・・・考えないという事を考えていたり。

 目を閉じて・・・ああ駄目だ、妙な過去の記憶が出てくる。

 失敗や恥ずかしい経験の記憶。

 ぐるぐる回る恥ずかしい記憶のリピート再生。

 仮眠を取れない状況に真っ向からあがらい何とか寝ようと試みるが、寝ようとすればするほど目が冴えてくるという悪循環に陥っていた。

 仮眠を取ろうにも取れないでいた。


 りんりんりん・・・

 無情なる目覚まし時計。

 目覚まし時計がセットした時間を告げる。

 なんとも仮眠を取ることも出来ず諦めて寝間着の上に半纏を羽織る。


 気持ちの悪い中でとりあえず正座して手を合わせる。

 なんとなく姿勢を正してみる。

 なんとなく手を胸の前に上げてみる。

 なんとなく目を閉じてみる。


 しばらく待つが何も起こらない。

 しばらく呼吸を整えてみるが何も起こらない。

 しばらく目を閉じているが何も起こらない。


 もう暫く経った頃・・・

 急に首が締め付けられる感覚に陥った。

 つぎに体中の節々が一斉にきしむような悲鳴を上げ始めた。

 それが高まってくると脇腹をバットで殴られたような衝撃感があって、正座の姿勢を保つことが出来なくなった。

 倒れ伏して脇腹を押さえる。

 目がしみる、じっとりとした汗が噴き出してくる。

 汗が目に入ったようだ。

 どうにもならない痛みで声にならない声がでる。

 これがうめき声というヤツかなどと観察できている自分が驚きだった。


 さらに嘔吐感が襲ってくる。

 それも急激に。

 口を手で押さえながら部屋の窓を開ける。

 外は竹藪となっており他人に迷惑をかけないで済むのでそれだけはありがたかった。


 吐き出した後も嘔吐感が続く。

 何かが胸のところで詰まっている。

 胸のつまりが酷くなる。

 胸のつまりが上に上がってくる。

 呼吸が難しい。

 息が詰まる。

 どうしようも無く吐き出す真似をする。

 息が出来ない。

 息が出来ねぇ。

 

 一瞬は永遠の時間。

 永遠の苦しみに感じる。

 背中を何かで叩かれた感じがした。

 胸の詰まり首が締め付けられる違和感が口から出ていった。


 急に呼吸が戻ってくる。

 急に戻ってきた呼吸に咳き込む。

 呼吸困難の名残であろう。

 しばらく続く。

 

 呼吸が落ち着いた頃、祖父が部屋へとやってきた。

 叔父と祖父が話をしているときに、どうも私に場合により命に関わるような敵意を持った御霊さんが憑依していたらしい。

 昨日、そういえば日頃話もしない同級生がやたらとベタベタとしてきたと思ったら目眩がして体が重たく感じるようになったなと、そういう場面を思い出した。

 それを話してみると昨日帰ってきたら顔つきが違っていたという事らしい。

 どうもその時の違和感も合わせて色々と抱えていたらしい。


 かなり苦しい体験だったが遠隔祈祷の体験だった。

次話投稿は23日か3月2日の17時の予定です。

よろしくお願いします。

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