(第二部)四十八章 馴れてないことを
(第二部)四十八章 馴れてないことを
「馴れてないことをやると上手くいかない物だな。」
手のひらで気を感じるのが当たり前になってきたので、体内で気を感じる練習をしている。
手のひらでは上手くいくのだが、体内となると雲を掴むようなもので端緒がつかめない。
体内に意識を向けてもかろうじて判るのは、心臓の鼓動と血管の脈打つというのが微かに判るだけだ。
意識を集中する、肩に力が入りすぎたのか呼吸が不安定になる。
呼吸の不安定さに気付いて一旦体内に意識を向けるのをやるて、呼吸を整える。
呼吸を安定させるのも体内の気を感知することに意識が行きすぎて、制御が甘い。
時間がかかる。
いや時間がかかりすぎる。
それでも何とか呼吸を整え、体内気の感知を進めようと意識を体内にかけていこうとすればするほど呼吸が乱れる。
呼吸の乱れに気付く。
今回は早めに気付いたので修正は早い。
気を取り直して体内に意識を向ける。
深く意識を集中している・・・つもり。
深く意識を集中する・・・つもり。
眼球に妙な疲れを感じる。
次は肩ではなくて体内を目で見ようとして目に力が入る。
目に力が入っていると気付いて、一度目を明けて視界を外に移して軽く眼球周りをほぐしてゆく。
あるていど目の緊張感が取れて行き始めたので、体内気の感知の練習を進める。
妙に力が入ることから導入として呼吸に集中する。
とにかく体に力が入りすぎないように注意していく。
体に力が入りすぎないようにという意識も、体の力を抜くに意識が行きすぎて普段よくわからないところに力が入っていることがある。
変なところが重たいと思ったら普段使わないところに力が入っていたらしく不思議な筋肉痛を数回体験したことがある。
導入を呼吸法にして進めてゆく。
吸排気の呼吸音が聞こえてくる。
心臓の脈の調子がだんだん判ってくる。
手首で血管がひょこぴょこと脈打つのを感じる。
ただ手のひらで感じた圧迫感や熱気を感じない。
体内だとどう感じるのだろう?。
判らないまま一月ばかり体内気の感知練習を進めてみたが、よくわからなかった。
それから数ヶ月後、はやり風邪をいただいてきた。
それも順番的に終わりの外れに。
そういう風邪は大概に重たく重症だ。
風邪に苦しむ。
体中の節々が痛む。
寝返りをうつのも一苦労だ。
大抵の風邪の時にでも食欲があるものだが一向に何か食べたいという気持ちもわいてこない。
自分でも思った。
「今回結構な風邪だなぁ。」
思いつつも感傷に浸っているわけでもない。
一番症状で重たい箇所に自然と手がいっている。
お腹が痛ければ手で自然と押さえるというヤツだ。
あれ?と思って手を動かしてみる。
なにやら体内でもぞもぞとした感じが手のひらから感じる。
手を動かしてみればそれについて、もぞもぞが動く。
「あっ、これか・・・体内の気の感覚というヤツは。そうかそうだったんだ、なるほどなるほど。」
どうも体内気を感じるという所に意識が行って、ものすごく特別な物という意味で受け取っていたらしい。
その勘違いが一ヶ月の体内気感知練習の末に上手くいかなかった原因らしい。
勘違いを忘れるのに数ヶ月、忘れた頃に風邪を引いたのが良い巡り合わせであったようだ。
次話投稿は26日か2月2日の17時の予定です。
よろしくお願いします。
(*^_^*)